表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

③超人的な能力で余裕を見せれるはずだった日。

ある日突然、超人的な能力を授けられて

世界を守るスーパーヒーローになれたり…

超人的な能力を使って普段の生活で大活躍しちゃったり

そんな世界は来るんでしょうか。

強い日差し

グラウンド

一つ前を走るクラスメイトが最後のコーナーをまわっている。

小さく深呼吸をして

バトンを受け取るイメージをする。

気持ちには余裕があり走るのが楽しみだ。

なぜかというと

実は私は超人的な速さで走ることができる能力を持っているからだ。

ゆったりと走り始めながら手を伸ばしクラスメイトからバトンを受け取る。

ちょっと力を抑えて走れば人並みの速さかな…

と前に足を大きく踏み出す。

余裕の走りを見せ、次にバトンを渡すだけ




のはずだった。

前に大きく踏み出した足は地面を踏み締めた瞬間に滑り…

気づいたらうつ伏せに倒れていた。

頭の中はクエスチョンマークの嵐だ。

体育祭の真っ只中であることを思い出し慌てて立ち上がる。

走ろうとしても足はうまく動かない。

なんとかバトンを繋いで自分の番を終えるも、恥ずかしさとパニックで顔を上げられなかった。

元々運動は得意ではなく、特に陸上と機械運動系は壊滅的だ。

幼稚園の頃から運動会は大嫌いで、今日の朝は熱が出ていないか期待をかけていた。

体育祭の前はいつも、登校の途中に運動能力が優れる特殊能力を授けられる瞬間が来ないか待ち望んでいる。

なぜかある日突然力に目覚めるタイプでもいい。

戦隊モノも足が速い能力を持った人物がいたりする。

それはもとから身体能力が高いのかなぁ。

でも変身すると身体能力はさらに上がるし。

ふと変身した状態で走るのはとても目立ってしまうことに気づき、あんまり派手じゃない方がいいなぁとも思う。

見た目はそのままで走る能力だけ備わった人はいたかなぁとか考えているとリレーは終わっていた。

私の後で誰かが頑張ってくれたのか、ビリだった順位は二つ上がっていた。


「大丈夫?」

蒼也が近づいてくる。

アンカーだった彼はまだ汗がひいてなくて呼吸も荒い。

「うん大丈夫」と答えながら自分の身体に目をやると…

肘と膝は擦り傷だらけになっており、グラウンドのサラッとした砂にまみれて茶色くなっていた。

全然大丈夫じゃない。

「洗ってくる」

水道に向かおうとすると、蒼也は

「絆創膏とか持ってきたし一緒に行く」とついてきてくれた。

さっき走り終わったはずなのに、いつそんな絆創膏とか用意したんだろう。

体育祭の最後の競技だったリレーが終わり、みんなはあちこちで写真を撮ったりしている。

私はさっきから帰りたいしか頭にないのに。

水道で足を洗いながら蒼也に聞く。

「身体能力を急激に高めるにはどうすればいいの?」

蒼也は笑って答える。

「急激には無理じゃん?ある日突然なんかしらの力に目覚めないと」

「それはずーっと前から願ってるんだけど」

「まず転ばないようになった方がいいよ」

今日こそは超人的な速さで周りを圧倒するはずだったのに。

体育祭で毎年ひとつはかすり傷をつくる私にはパワーアップはまだ先の話なのかもしれない。

「絆創膏ありがとう」

そう言って立ち上がりグラウンドに戻ろうとする。

「-」

最後の蒼也の声は風と話し声にかき消されて聞こえなかったんだけど

蒼也はなんでもないって笑ってた。

いつも超人的な能力を持つ私を想像してはバカにして笑ってくるから、きっとそんな感じだったんだろう。


毎年変化を望んでも、世界がパッと変わる時はまだ来てない。



今日の日記。

朝起きても、登校中にも世界にはなんの変化もなく、足は速くならなかった。

転んで怪我だらけなのがなんか悔しい。

来年までには身体能力が急激に上がる日が訪れますように。

読んでくれた方ありがとうございます。

3話目になりました。

作中は5月か6月くらいのつもりです。

次回は蒼也視点です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ