表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

①魔法陣に吸い込まれる予定だった日。

毎日の生活、ちょっとした嫌なことや困ったこと、考えるだけで気が重くなる事はありませんか?


なんとなく学校や仕事に行きたくないとか。

お金がないとか。

宿題が多いとか。

テスト勉強してないとか。

学校のイベントごと嫌だなぁとか。

緊張しがちとか。

人付き合い苦手とか。

些細な事を挙げるとキリがなくなりますが、この物語はそんな日々から逃げ出したい高校生の澄香(すみか)とその幼馴染の蒼也(そうや)が小説やマンガのようにいきなりパァッと世界が変わる瞬間を何もせずただただ待ち望む話です。





ドアを開く。

右足を踏み出す。

踏みしめた地面がパァッと光り輝いて

魔法陣が現れる。

ギュッと瞑った目を開くと

世界が一変している


わけもなかった。

目の前には普段となんにも変わらない教室。

机とイスが並んでて

風でカーテンがひらひらしてる。

ギリギリに登校したせいかクラスのみんなはほとんど揃ってて、それぞれ好きなことしててごちゃっとした雰囲気。

この感じは嫌いじゃないんだけど。

ぼんやり頭の隅で考えていると

「おはよう」

後ろから幼馴染の蒼也が声をかけてくる。

「おはよう」って返すけど。

頭の中はそれどころじゃない。

「今日からテストだけど。勉強した?」

ニヤニヤした笑みを向けられて、無駄に背が高い幼馴染を見上げて睨む。

「どうせしてないだろ?いつも通りドア開ける前に願ってたし」

こいつしか知らない私の願望。

「まぁね。今頃は魔法陣に吸い込まれて異世界に行けて、テストなんか関係なくなってたはずだったんだけどなぁ」



アニメや小説、映画やマンガ。

世界は急に光り輝く瞬間がある。

これは世界の変化を夢見る

ある高校生と幼馴染の変わらない物語である。



私は急いで机に向かう。

運悪く出席番号順で隣の席の幼馴染は、ゆっくり机にリュックをおろしながら

「どうぞ」

ノートを差し出してくれる。

テスト前はいつもこうだ。

勉強が苦手でやる気のない私は、テスト当日は始まる前に転生していることを願っている。

だって漫画や本ではちょっとした危機で転生したり不思議な力が手に入ったりすることあるし。

私にとってテストができないのもかなりの危機であるわけで。

まぁそれは勉強に身が入らなかった自分のせいでもあるけど。

小説とかマンガとか物語が大好きな私は、いつしか毎日ちょっとした嫌なことを見つけては世界が変わる瞬間がくることを期待して願うようになっていた。

それをちょっとだけ応援してくれつつ自分も物語に憧れを持つ幼馴染は毎回少し助けてくれる。

「なんでやってこないんだよ。物語みたいに都合のいいことが発生する確率はほぼ無いんだから」

ただちょっと意地悪でもある。

物語に憧れる割に現実的だし。

「今から頑張るの」

そう答えて一心不乱にノートを見つめる。

が、その30秒後、無情にもチャイムが鳴り響き、朝のホームルームが始まってしまった。

「さぁ、今日はみなさんの頑張りを発揮するだけの日ですよ!」

なぜかニッコニコで明るいの先生の声が響く。

最終的に、今頃は王城の中を案内されてるところだったはずだなぁとか思いながら私はノートを閉じた。


世界はそう簡単に変わらないらしい。


今日の日記。

今日も世界は変わらなかった。

ドアを開けても魔法陣は現れず、お城にも行けず、私のテスト結果にはなんの期待もできない。

テストの採点が終わる前に、奇跡が起こりますように。



読んでくれた方ありがとうございます。

小さい頃から毎日のちょっとした事から逃げ出したいなぁと思う時に、好きな小説と現実を結びつけて空想したりしてました。

短編シリーズとして続けて書けたらなぁと思います。

短いのでちょっとした時間に思い出して読んでもらえたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ