4 恐怖
「ハハハハハハハハハ!てめぇが死ねよ!」
何?今のは誰の声?
ハッとした時には仲間が怯えていた。
パワー8の一人だと思われる男が倒れていた。
何?怖い・・・・・・あたし、何も覚えてない。
みんなも恐がらないで、あたしをそんな目で見ないで・・・・・・!
「ユノ、最大の荒い血を持つ者だったんですね・・・・・・ゆのんは・・・・・・。」
一人の男が出てきた。
「な・・・・・・に、言ってるの?あたしが、何をしたの?ねぇ、皆?」
「覚えていないんですか?ご自分のなされたことを。」
何をしたというの?あたしが。
辺りが騒めき始める。
「その男、もう死んでいるんですよ。どなたが殺したと思いますか?」
「・・・・・・まさか・・・・・・あたし?」
「そうです、ゆのん・・・・・・あなたがやったことです。」
「でも、待って?あたし、何にもできないんだよ?それは皆が一番よく知ってるでしょ?」
「記憶があるかないかはわかりませんが、ユノの最も荒い血は最も戦いを好むのです。魅夢様もそれを恐れていた・・・・・・だから誰にも心を開かなかった・・・・・・いや、開けなかった。自分自身おも、信じてはおられなかったのでしょう・・・・・・辛い御方だ。それゆえに強くなられたのでしょうが・・・・・・。」
「待ってよ・・・・・・それじゃあたしの中に制御できない怪物がいるってこと!?」
「そうなるでしょうね。」
「やだ、なんでよ!?大体、あたしは魅夢なんて知らないんだってば!篠原家に住むごく普通の女の子なんだよ!それ以外の何者でもないよ!」
「定めです。恨むならユノの歴史をさかのぼって生まれる前を恨むしかありません。そしてあなたのその命は現在、ここに貴重なものとして必要とされているのです。暴走するのなら魅夢様のように堪えればよい、それだけの話ではありませんか。」
「やめてよ!あたしはミユメなんて知らないの!顔も知らない人が母親なんてありえないし!あたしは篠原サキっていう母親がいるし!ゆのんって名前だって、確かに少ないかもしれないけど、あたし以外にもいるはずだよ!あたしは・・・・・・あたしは何やってもダメでトロいフツーのどこにでもいる人間だったんだよ・・・・・・あたしの生活をかえして・・・・・・かえしてよぉ・・・・・・。」
帰りたい。篠原に帰りたいよ・・・・・・。
「あなたは篠原の人間ではありません。ユノなのです。それもリーダーで、最も若く、最も荒い血を持つものですが、それでも私たちユノにはあなたしかいないのですよ。」
この男の名前は・・・・・・なんだっけ。
「えっと・・・・・・信だっけ?」
「はい、そうです。」
「あなたは何年生きてるの?生まれる前からユノって定められてたの?」
「私は18です。自分がただ者ではないことはわかっていましたので、唐突にユノだと告げられましたが驚きはしませんでしたね。」
「どうしていつもいつも!冷静でいられるの?おかしいよ・・・・・・。」
「はい、おかしいことは知っています。何せ、今始まったことではありませんので。」
「あたし、怖いよ・・・・・・こんなんで戦えるわけない。パワー8になんか立ち向かえないよ!」
「自分を知ることは誰だって恐怖を覚えます。」
「あたし、何にもできないんだよ?こんな弱いリーダーでいいわけないじゃん・・・・・・。」
「弱さを認めることが強さへの第一歩です。力だけを求めていても強くはなれません。」
「でも、あたしが来てからユノのこととかいろいろ教えてくれたマリネもリツも死んじゃったよ?」
「あなたが忘れなければそのもの達は完璧に消滅したりはしませんよ。」
以前書いたもので、ほとんどここらへんは手を加えてないのでやたらと台詞が多く、長くてごめんなさい。
読んでくださっている読者の皆様、ありがとうございます。