2 ゆのんとユノ
「ユノの一族は名前に“ゆの”がついてるんですけど、あなたの場合、ちょっと特殊で下の名前にゆのがついてる正式なユノの家系です!」
あれれ?あたし、マンガ読みすぎたかな?
「その証拠にほら、あなたは傷一つ負ってないじゃないですか!」
んなアホな?ガバッと起き上がってあたしは自分の姿を見た。
確かに小さな擦り傷以外何もない・・・・・・っつーか、ココどこよ?跳ねとばされた場所じゃないし、この野原は一体?
「さすが・・・・・・ユノの正式な血筋はもういないとされてきたのに・・・・・・。」
いやいや、あんた誰?どっから出てきた?
・・・・・まあいいや・・・・・・傷も対したことないし、あたしは帰る。
「ユノは元々戦う種族だったんですよ。人に縛られる事を嫌い、戦いを好む・・・・・・あなたはそんな最中生まれてきたゆのんという戦いを封じられた少女なのですよ。その力を封印されている少女は今日もどこかで生きているって・・・・・・」
「いやいや、そーゆーのはお姫さまから生まれた子供だ・・・・・・とかにしてよ。」
どーせ死ぬ前に見るとかいう夢でしょ?
「残念ながら、ユノの一族は縛られることを嫌うものが多いので、王族などのそういった一番というのは存在しないのですよ。もし存在したとしても、一番というのはコロコロ変わるので、姫はいませんが、ユノの中でも戦いを嫌う圧倒的力を持つ、リーダー的存在はいましたよ。それがあなたのお母様です。人のために戦う・・・・・・不思議なお方でした・・・・・・そして私も変り者の一味でした。そういえば、さっき走り去った車、ひき逃げで逮捕できますね。」
女の子はにこりと笑ったが、話がかわりすぎ・・・・・・。
「ま、いーや・・・・・・あたしの母さんがどうしたって?」
「お亡くなりになりましたよ。ユノより強い力を持つもの達によってユノは虐殺にあっていましたから・・・・・・魅夢様はあなたを奴らから守るため、命をかけ、戦われて・・・・・・もちろん私たちもそれは同じでしたが、ついには力尽き、魅夢様は私達だけ助けてくださって、最後にゆのんを頼みますと、それだけ残して・・・・・・今、ユノの一族でゆのんさんのことを知っているのは魅夢様の右腕である私とあともう一人しかいないのですよ。」
壮大なスケールですこと・・・・・・私の夢さん・・・・・・。
つーか、ミユメってどんな名前よ!?
「どーでもいーけど、あたし、何もできないよ?」
あたしはため息をつきながら後ろ頭をかいた。
「そんなはずないですよ。さっきだってご自分で車を回避されたのですし。」
帰ろうと歩きだして転んだ。
「ヒャッブ!」
「おかしいなぁ・・・・・・。」
もうやだ・・・・・・何がどうなってんの?
あたしなんか、どー考えたってバトルマンガの主人公になれるわけないじゃん。
大体、誰と戦うの?