表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染に「あんたのせいで彼氏ができない」と言われたため、距離を取ったら次の日から学校に来なくなった  作者: 桜 偉村


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/20

第15話 体は、そうでもないみたいね

「な、夏希(なつき)?」


 俺は慌てて涙を流す彼女に駆け寄り、その肩に手を添える。


「やっぱり、前倒しは嫌だったか? ごめん、俺、勝手に——」

「っばか!」


 夏希の一言が、鋭く俺の言葉を断ち切る。

 その声に、胸の奥がキュッと締めつけられた。


「本当にごめん——」

「嬉しいに決まってるでしょ!」

「……えっ? い、今、嬉しいって……」

「だって……」


 夏希がうつむきながら、囁くように続ける。


「澪が、私のために頑張ってくれたんだから」

「あっ……」


 ……なんだ。そういうこと、だったのか。

 胸に温かいものがじんわりと広がっていく。

 たまらず、夏希を抱きしめた。


「……ありがとう」

「なんであんたがお礼を言うのよ……ばか」


 夏希は俺の胸に顔を埋めて、静かに瞳を濡らした。




 泣き止んでからも、夏希は離れようとしなかった。


「それにしても——」


 腕の中で、ぽつりと切り出す。


「ん?」

「ちょっとは自信つけたみたいだけど、澪もまだまだね。サプライズをしてくれて、嫌がるわけないじゃない。私、そんなにわがままじゃないわよ?」

「うっ……ごめん」


 思わず視線を落としてしまう。言われてみれば、その通りだ。


「でも、嬉しかったのは本当だから……ありがと」


 夏希が愛おしそうに瞳を細めて、手首に嵌めたブレスレットを撫でる。

 俺はそっとその肩に手を添えると、言葉もなく抱き寄せた。


「っ……」


 夏希は小さく息を呑み、そのまま胸元に頬を寄せてくる。

 それが嬉しくて、俺は彼女の顔を覗き込み、静かにキスを落とした。


 夏希は驚いたように身体を強張らせたが、それもほんの一瞬で、やがて身を預けるように目を閉じた。

 想いを伝えるように、何度も口付けを交わす。


「……ふふっ」


 唇を離すと、俺の胸に顔を埋めたまま、夏希がくすっと笑った。


「澪はまだまだヘタレだけど……体は、そうでもないみたいね」

「っ……!」


 言葉の不意打ちに、固まってしまう。


(そうだった……夏希って、案外こういうとこ積極的なんだよな……)


 火照った頬を隠しながら、そっと腰を引く。


「わ、悪いか?」

「そんなことは言ってないじゃない」


 夏希が揶揄うように口角を吊り上げる。

 しかし、一度うつむいた彼女は、一転してどこか気恥ずかしそうに、目元を赤らめて見上げてきた。


「それで……自信をつけた澪は、どうするの?」

「——夏希っ」


 反射的に、俺は彼女の唇を奪っていた。

 先程よりも乱暴に、何度も。


 一度離れると、逃がさないように後頭部を支えて、さらに深く唇を重ねる。


「ん……っ!」


 夏希が驚いたように喉を鳴らした。

 ひと息つくと、俺は再び顔を近づけた。夏希は肩で息をしながら、


「ちょ、ちょっと待って——」

「そっちが煽ったんだろ」


 俺は四の五の言わせず、再び唇をふさぐ。

 そして、夏希の口が少し開かれた瞬間を見逃さず、舌を口内に侵入させた。


「んんっ⁉︎」


 夏希が驚いたように目を見開いた。

 やり方なんてわからないけど、必死に舌を絡めたり口の内側を味わっていると、次第に彼女の体から力が抜けていくのがわかった。


「はぁ……はぁ……!」


 唇を離すと、夏希は息を切らしながら、胸に倒れ込んできた。

 ディープキスだけでも、立派な進展だ。しかし、腕の中ですっかり頬を上気させている彼女を前にして、さらにその先へと進みたくなる。


「夏希……いいか?」


 指先を震わせながら、盛り上がったふくらみに手を這わせる。


「っ……!」


 夏希はビクッと体を震わせたあと——、

 一瞬だけ潤んだ瞳をこちらに向け、うなずいた。


「おお……っ!」


 初めて触る感触に、思わず感動の声が漏れてしまう。

 想像よりも柔らかく、それでいて張りがある。どこまでも指先が沈んでいくような感覚とともに、内側から押し返してくる弾力もあった。


「夏希、すごいよ……っ」

「い、いちいち言わないで……!」


 夏希はゆでダコのように真っ赤になりながら、唇を引き結び、顔を背けている。


(普段はツンツンしてんのに、なんて表情してんだよ……!)


 服の上からだけじゃ、物足りない。

 俺はシャツの中に手を忍ばせると、下着ごと手のひらで包み込んだ。


「あっ、ちょ……!」


 夏希が焦ったような声を上げるが、制止しようとする手は弱々しい。

 下着の上からだと、さらに感触が鮮明になる。何より、狭間の部分などは直接肌に触れることができて、俺はなんだか目が回りそうだった。


「ん、あっ……」


 夢中になって揉んでいると、夏希の吐息の種類が変わり始めた。少しだけ高くなっている気がする。

 ……もしかして、感じてくれてる?

 顔を見ると、彼女は切なげに瞳を閉じていた。


「あっ、んん……っ」


 俺が指に力を入れるたびに、小さく開かれた口から甘い声が漏れる。


(これ……そういうこと、だよな?)


 俺は机の一番上の引き出しに目を向けた。

 念の為に買っておいたものの、まさかこんなにも早く使う機会が訪れるとは。


(だめだ。焦るな。まずは——)


 俺は胸から手を離して、すべすべの肌を下へとなぞっていく。

 お腹を通過し、いよいよその部分に到達しようとした、そのときだった。


「待って……」

「っ——」


 頭上からか細い声が聞こえ、俺は一気に現実に引き戻された。

 夏希が涙を浮かべて、訴えかけるようにこちらを見ていた。


「あっ、ご、ごめん! 嫌だったよな——」

「い、いえ、そうじゃなくてっ」


 夏希は慌てたように首を振った。


「嫌じゃないけど、その……。ふ、深いキスをしたのも初めてだし、この先はまだちょっと怖い……っ」


 スッと頭が冷えていく。

 そうだ。女の子のほうが覚悟がいるに決まってる。俺が欲に溺れてどうするんだ。


 ゆっくりと息を吐き出し、先程までとは打って変わって、優しく夏希を抱きしめる。


「ごめんな、怖い思いさせて……。俺、焦ってた」

「いえ……」


 夏希が肩の力を抜いて、体重を預けてくる。


「こっちこそ、その……煽ったのに、我慢させてごめんなさい」

「煽った自覚は、あったんだな」

「あっ……」


 申し訳なさそうに眉を下げていた夏希が、みるみる赤くなっていく。

 俺は笑いながら、その頭を撫でた。


「でも、夏希が嫌がってないってわかっただけで、嬉しいよ」

「そ、そう? でも——」


 夏希が頬を染めたまま、チラリと視線を落とした。


「その、まだ収まってはないみたいだけど……」

「そ、そりゃ、簡単に収まるかよ」


 ここまでやったのだ。一度スッキリさせなければ、落ち着かないだろう。

 そんな俺の心の声を読んだわけじゃないだろうが、夏希はおずおずと見上げてきて、


「えっと、手とかなら、いいわよ?」

「えっ……」


 反射的にうなずきそうになり、先程の申し訳なさそうな表情を思い出す。


「いや、無理しなくていいぞ」

「む、無理じゃないわよ」


 夏希はムキになったように言い返してくる。


「それに……苦しいでしょ?」

「まあ、そうだけど……」

「じゃあ、任せて。私なりに頑張るから」


 夏希が、そっと俺のズボンに手を添えた。


「ほ、本当にいいのか?」

「えぇ。初めてだから、上手くできないと思うけど……私も、一歩ずつ進んでいきたいって、思ってるから」

「夏希……」


 そこまで言われては、もう断れなかった。




 最初のほうこそ、緊張で少し元気をなくしていたが、改めて状況を認識してしまえば、あとは早かった。


「夏希、ありがとう……。その、めっちゃ良かったです」

「なんで敬語なのよ」


 夏希が呆れたように笑った。どこか安堵しているような表情だ。

 スッキリさせれば少しは落ち着くかと思ったけど、むしろ気持ちは高まっていた。


「じゃあ、俺もお返しするよ」


 太ももに手を添えると、夏希が手首を掴んできた。


「わ、私は大丈夫よ」

「いや、でも俺だけやってもらうのは申し訳ないし」

「べ、別に私がいいって言ってるんだから、いいのよ……本当に」


 夏希は頑なだった。

 思わず、まつ毛を伏せてしまう。


「……やっぱり、怖いか?」

「っ……!」


 夏希が息を呑む気配がした。

 その手がわずかに震える。迷いを含んだ沈黙のあと——彼女はゆっくりと、俺の手首を離した。


「……その言い方は、ずるいじゃない……」


 夏希が真っ赤になりながら、そっと視線を逸らした。

 ——それがどういう意味を表すのかは、さすがにわかった。


 太ももに添えた手に、ゆっくりと力を込め、押し広げていく。

 夏希はもう、両手で顔を覆っていた。全身に力が入っているのがわかる。


「夏希、力抜いて……大丈夫。無理矢理とかしないし、ちゃんと優しくするから」

「わ、わかってるけど……っ」


 夏希の声は震えていた。


(そりゃ、怖いよな……)


 俺は太ももから手を離し、夏希の手をそっとどかす。


「澪? ……ん」


 優しく口付けを落とした。


「大丈夫だから」


 合間に大丈夫、大丈夫、と繰り返しながら、短いキスを繰り返す。


「ん、ん……」


 夏希の体から、徐々に力が抜けていく。

 本音を言えば、今すぐにでも触れたい。でも、それ以上に、こういうスキンシップに苦手意識を持ってほしくなかった。


 何度目になるかもわからないキスを終えると、俺は口を離した。

 夏希がそっとまぶたを開く。潤んだ瞳は、気恥ずかしげに、それでも確かにこちらを見つめていた。


「じゃあ……触るよ?」


 緊張で、声が上ずってしまう。

 夏希は顔を背け——小さく、コクンとうなずいた。


「っ……」


 俺は思わず唾を飲み込んでしまいながら、震える指先を、そっとその部分に這わせた。

「面白い!」「続きが気になる!」と思った方は、ブックマークの登録や広告の下にある星【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくださると嬉しいです!

皆様からの反響がとても励みになるので、是非是非よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ