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コールドケース  作者: aqri
警視庁特殊課承認チーム
87/91

4 図星

 軽い口調で山吹がそう言うと黒いモヤの中から姿を現したのは見知らぬ男。山吹の一撃を防ぎきれなかったのか額から血が出ている。間違いない、自分たちが田中と名付けた鬱陶しくてバカでちょっかいをかけてきて自分は凄いと勘違いをしているどうしようもない存在。

 鉄パイプには先日葛から譲ってもらった何かの紙が貼り付けられている。一体何なのか詳しくは興味がなかったから聞いていない。とりあえず姿を見せずにコソコソ隠れてる奴をぶん殴れるのなんかない? と言ったら丁度いいのがありますよと譲ってくれたのだ。その紙に気づいた田中は忌々しそうに紙を睨みつけると紙は一瞬で炭となって消えた。


「ハロー、ご機嫌いかがかな。この間水木さんが来てさ、冷や汗もんだった。あの人一体何? 神様か何か?」


 山吹は相変わらず楽しそうだ。おそらく水木が何者なのかなど興味は無いだろう。田中にとって最大の煽りである水木樋の名を出しただけだ。


「ハルちゃんも消えて、色々とこっちも対処が進んでるから。いい加減お前をどうにかしないとなってことで。当初の予定通りこそこそ隠れてればよかったのにま~た俺たちのこと監視するんだもんな、懲りないなぁ。上司からパワハラでも受けてんの?」

「……」

「どうせ使えそうなアイテムを引っ張り出したいから様子探ってたんだろ。入れたんだから好きなの持ってけば。持っていければの話だけど」


 そこまで一方的に山吹がペラペラと喋っていたが笛吹がふと思いついたように山吹を見た。


「ここはやっぱり、俺たちを倒してから行け、とか言ったほうがいいんでしょうか」

「そういう問いかけなしに言えたら結構かっこよかったかもな」

「嫌ですよ、そんなクソダサな言葉ソラで言えるわけないじゃないですか」


 本来であれば緊迫した空気だというのに二人はいつも通りだ。田中は最初に山吹と会ったときのような余裕のある状態ではない。自分がここに引きずりこまれたのも予想外だったと思うし自分の状況が山吹たちに筒抜けであることもおそらくそうだ。

 ひどくプライドが傷ついている。水木樋が彼らと接触したことによって事態が変わったのはいうまでもない。脳裏によぎるのはあの男の言葉。


――あの程度の雑魚たちに苦労してるんですか、偉そうにしている割にあなた全然たいしたことないんですね。恥ずかしい奴。


 それだけ言うとこちらの反応などを確認する様子もなくそのままどこかに行ってしまった。長年()()()()に貢献してきたのは自分なのに、水木の方があの人からの評価も高い。ただの人間のくせに、自分のような様々な術など使えないくせに、なのに。


 自分ができない事を、息をするように平然とやってのける。


 そこまで考えて頭を切り替える。保管庫の中から取り出したいものは二つ、この場所も絶対に出られないと言われてはいるがおそらく出る方法はある。鍵そのものを壊してしまえば出る方法など考えなくて良いのだから。

 それにはこいつら、散々自分のことを馬鹿にして上から目線で余裕な態度でふざけたことをしてきたこいつらをどうにかする必要がある。性格や物の言い方は笛吹がそっくりだがおそらく考え方は山吹がそっくりだ、アイツに。水木樋に。最高にイライラする。


「それで田中さんは一体何が欲しいのかな。俺の予想だと神の心臓と、水鏡かな」


何故。


「なんでその二つだと思うんですか」

「神の心臓は言わずもがなだけど。水鏡はガチの神が関わってるだろ。化け物の類じゃなく純正の神だ。水鏡通じてその神を利用できるからな」


 何でもないことのようにあっさりと山吹がそう言うと田中は大きな声で笑い出した。


「本当にすごいな、よくそこまでわかったもんだ。お前みたいな優秀な奴は初めて見たよ」

「山吹さん褒められてますけど」

「褒めてないだろ、どう考えても馬鹿にしに来てるよ。痛くも痒くもないけどな。ま、でも一応言葉通りに受け取っておくか。どうもありがとう、雑魚」


 田中の姿が黒い霧となってあっという間に散った。一カ所にとどまっているわけでもない、全く見えなくなったのだ。


「多分もう保管庫のほうに行ってるかな」

「どうせ鍵を壊せば出られるとか考えてるでしょうし。鍵を壊そうが何をしようがここの保管庫は出入り口からしか出られませんから、最終的にここに戻ってくるしかないんですけどね」

「ここで待っててもいいけど、一応部外者は立ち入り禁止だし。中荒らされたら俺たちが整理整頓するしかないから行くか」


 めんどくさいなぁと言いながら保管庫のほうに向かおうとした山吹だったが笛吹がそれを止めた。


「限定的な空間であれば多分何とかできますよ」

「へえ? 何ができるんだ」

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