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コールドケース  作者: aqri
模造品の心臓
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4 箱の真相の目星

 例えば最初の箱のように持ち主がこれは呪われていると思っていたらそれを家族に伝えていたはずだ。自分に何かがあっても自分と同じようにその箱を取り扱うようにと必ず伝えている。

 しかし今回のケースではおじいさんは特に家族に何も伝えていなかったようだ。大切にしていると言っても特に何か特別なことをしているわけではない。そもそもこの大切にしているという理由が邪魔だから捨てるかという話になった時、これは自分がオヤジから譲ってもらったものだから捨てちゃダメだとおじいさんだけが反対したというだけだ。

 話が聞けたのはこれだけで、他に何か新しい情報があったわけではない。神主に丁寧にお礼を言って男は神社を出た。神社内に生えている花をいくつか摘ませてもらい家に帰る。

 あまりにも失礼だと思ったので神主にも言わなかったが、自分のヤドカリという考えも結構面白いのではないかと思う。あのからくり箱の中には何かがいて、住む場所を転々としているとしたら。もしかしたら今の住処はあまり居心地が良くないのかもしれない、自分に合った自分だけの住処を探して移動しているという考えも悪くは無いと思う。



 そこまでの話を一気に話した山吹は突然ピタリと話を止めた。相変わらず運転には集中しているが何かを考え込んでいるようだ。


「彼氏さんの考えたヤドカリっていうのが何かピンと来ましたか」

「まぁな。からくり箱、正しい手順じゃないと開けられないのは本来の目的は中にあるものを簡単に出さないためだろ。貴重なものを入れるとか宝物を入れるとか。だがこの箱は捉え方が逆だ」

「誰かに開けられないためではなく、中身を外に出さないためですか。あ、わかりましたよ何が言いたいか」

「んじゃ言ってみ」

「今の俺たちがやろうとしていることと同じですよね。箱の中身は、箱から出たいんでしょう。でも出るには自分の身代わりが必要。からくり箱がおそらく超高性能なのでしょうね。何か入っていないと仕掛けを動かすことができない。なんか映画でそんなのありましたね」


 数年前に話題となった映画なのだが主人公が目を覚ますと小さな部屋に閉じ込められていた。部屋の中央の床にはスイッチがありそれを踏んでいる間だけ扉が開く。踏んでいないと扉が閉まっている。つまり何か常に重さがあるものをそこに置いておければ扉が開いた得ることができる。着ているものを全て脱いで乗せてみても重さが足りずに反応しない。ではどうやって脱出するかというミステリー映画だったのだが、まさにそれだ。


「これなら最初の事件はなんとなく辻褄が合う。人が無理矢理引っ張りこまれたって考えると食われたのかなって思ったけど、違うな。身代わりが欲しかったんだ」

「でも失敗した。中身を入れてもそこにいた誰かさんは出ることができなかったんですね。いや違うか、その後無理矢理こじ開けて人が死んでるし。身代わりは中身として承認されなかったけど箱を破壊することができる条件が揃ったってところですか」

「何もない状態だったら箱を破壊するのは不可能だったんだろうな。粉砕機に入れようが燃やそうが多分箱は傷一つつかなかった。それが違う中身が入ったことでからくりの仕掛けを動かす条件までは揃った」

「最初の箱と今回の話の箱、ずいぶんと性格が違うみたいですね。二つ目は随分と穏やかに身代わりを探しているようです、特に焦りとかもなく代わりのものが見つかったらいいな、位なもんなんでしょうか」

「一つ目の小人さんはイライラしてたのかねえ」


 呪われていると言われていた。つまりはっきりとしたそれを裏付けるエピソードがあったということだ。長年家に伝わるものとはいえ、どこかで邪魔だから捨てようという者は必ず現れる。それをやらなかったという事は定期的に呪われると思わせるような怪奇現象が起きていたのかもしれない。

 逆に二つ目の箱は確かに移動するがこれといって誰かに迷惑をかけているわけではない。やってることは同じはずなのに性質が明らかに違うように思える。二つ目の箱はヤドカリという表現がぴったりくるが、一つ目の箱はどちらかというと。


「まるで蜘蛛だな」

「ですね」


 虎視眈々と狙う。それなら誰の目にも触れないような所、それこそ倉庫等の奥のほうにしまっておけばいいのに人の目に触れるところに置いてあったのは二つとも共通している。

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