表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コールドケース  作者: aqri
真名
71/91

8 点と点がつながってきた

 複数人が立ち会う中道具を使って何とか箱の破壊には成功した。破壊した者はその場で絶叫を上げて死亡、少し遅れてその場にいた全員が死亡した。その様子は監視カメラに映っており他の鑑識が現場に駆けつけたときには全員の死亡が確認されている。そして箱の中には何も入っていなかった。


「箱の中は確かに血でべったり濡れていたから遺体が入れられたのは間違いない。DNA検査で複数人分のDNAが見つかってるから」

「肝心の開封する様子がカメラに映ってないんじゃ意味ないじゃないですか」

「監視カメラは監視するためのカメラであって動画配信するためのもんじゃねえからな、そこまで頭が回らなかったんだろう。結局そこも掃除チームが何とかして強制的にからくり箱が特殊課に提出された。当時の証人チームはそれをそのまま証拠品として保管することにしたみたいだ。これだけ見ると別に何も問題ないけどな」


 むしろこれ以外に証拠品として保管できるようなものもない。そう匂わせるような言い方をすると笛吹は、ああ、と何かに気づいたようだ。


「また箱ですね。つまり遺体ではなく本当はそのからくり箱の中に中身がもともとあって、その中身が箱を開けたことによってなくなってしまったということですか。無くなった、いなくなったっていうべきですかね?」

「そういうことだ。証拠品として承認すべきは箱じゃない、それは本当に文字通りただの入れ物だ。願望器に専用ハンガーが必要なように、片倉ひまりが壺に入っていたように、水鏡に包むものがないと水がどんどん出てきてしまうように、道具はそれをしまうための入れ物が必ず存在する。俺たちはその中身を探さなきゃいけない」

「いたずら好きの小人さんでも住んでたんでしょうかね」

「ごきちゃんコイコイで引っかかってくれればいいんだけどな」


 資料に山吹が文章を付け加える。箱自体に何かあるのではなく箱の中身が人々を引っ張り込んだ可能性が高い。


「ヤバげなおまじないシリーズ、なんとなく共通点が見えてきました。これ絶対田中さんでしょ」

「ハルちゃんではないだろうな、十五年前じゃまだバブバブ言ってる時だ。なるほどやっとピンときた、田中さんが作りたいのはマジックアイテムじゃなくて、マジックアイテムをしまうための入れ物か。田中さんは最初から神の心臓の入れ物を作り出そうとしてたってことだ」


 二人とも口には出さないがなんとなく読めてきた。どこかに存在するであろう本物の神の心臓、これはおそらく素手で持ち歩けるものでもなく絶対に入れ物が必要なのだ。どんな方法でどうすれば神の心臓を入れる入れ物ができるのか試行錯誤の連続だった。

 そしてそれとは別に強力なアイテムも作り出そうとしている。片倉ひまりが入っていたツボもそうだが累もそうだろう。魂のレベル、憎しみなどの強い思い、そういったものを「核」として次々と厄介なものを製造していく。


「なんでそんなことするんだか、暇なんですかね」

「前も話したけどボスさんは、暇なんだろ。ただ暇の中でも明確な目的はある。この間さ、動物園でパンダ生まれただろ」

「はあ」


 突然パンダの話をされて笛吹は何がなんだか、といった様子だ。


「パンダって大体は双子産むんだとさ。でも育てるのは一匹、だからパンダの数は少ない。動物園で育てる時はこのパンダを一匹ずつこっそり交換して均等に親から母乳を飲ませるようにするらしいんだけど。体重測ったりとか健康チェックするためにどうしても母親から引き剥がさなきゃいけない時がある。そういう時はぬいぐるみを置くそうだ」

「……。なるほど、そりゃそうですよね。本物と見分けのつかないものにすり替えてしまえばわからない」


 神の心臓に代わるものを作り出しそれとすり替えておけば、時間稼ぎができる。偽物が多いのは本物に似せて作っているものがいるからだ。それがおそらくハルたちの頂点に立つもの。強力なアイテムを「偽心臓」とし、本物の心臓を専用容器に入れてもちはこべるようにすれば。


 神の心臓を手に入れることができる。


「一級品はできてるけどそれを包むための風呂敷がないってなんともは効率の悪いやり方ですね」

「それな。トレジャーハンターだってもうちょっとマシな作戦思いつくだろうに。……その程度の事に犠牲者が数百人か」


 言いながら山吹はポケットから取り出した神の心臓を見つめる。おそらくこれは本物ではない。収納箱なしに持ち歩いたり保管できるわけがないからだ。

しかしおそらくとてもよくできた、本物に最も近い偽物。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ