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コールドケース  作者: aqri
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5 資料探し(命がけ)

「えーっとどれどれ。この番号、俺たちじゃ開けられないやつだけど。限定的に鍵開けてくれたみたいだな」


 保管資料の中でもそれを閲覧できる権限は細かく分かれている。資料の保管が仕事である山吹と笛吹はほぼすべての資料を見ることができるが、一部例外もある。それが部署の責任者だけが管理している特別なケースの事件だ。一体いくつあるのかも知らないが二人ともそれを見るのは無論初めてである。そもそもどこに保管されているのかも知らない。


「場所書かれてませんね」

「自分たちで探せってことだろ。無駄な事は好きじゃないから自分たちで探すことにも何か意味があるのかもな。この場合は外からの覗き見防止ってとこか」


 そう言いながら山吹はロッカーの中から何かを取り出した。


「多分保管庫の中にあるんだろう。何が起きるか分からないから万全の準備していかないと」


机に並べられたのはロープ、軍手、絆創膏、厚手の上着。そして自分のカバンを取り出し中をチェックする。


「よし、腹減ったときのおやつと遭難したときのための食料は二、三日分が入ってる」

「この会話だけ聞くと山登りでも行くみたいですけどね」

「エベレスト登頂するよりもやばい所だけどな。この中って時間の管理がめちゃくちゃだから数日間遭難しても一分しか時間経ってないとかよくあることだから。誰かが気がついて見つけに来てくれるとか不可能だからな」

「あ、じゃあ腹持ちが良いものを持っていきます」


 そう言って笛吹がカバンから取り出したのはするめいか。


「なかなか渋いな」

「ずっと噛んでられるので」


 二人で書かれている番号を見る。アルファベットや数字などだったら棚ごとにきれいに分かれているのだが、書かれているのは文字なのかどうかさえもわからない。


「手がかりもクソもないけど闇雲に探すのはほんとに自殺行為だからちょっと考えてから行こうか。そもそもこれ何語だよ」

「どこかの国の言語ってわけじゃないように思いますけど。番号とか一部の人しか知らないものとか」

「厳重に保管されて、課長一人が管理してるんだったら保管場所までの距離とか関係ないかもな。忙しい人にわざわざ何十分も移動時間取らせるとは思えない。条件満たせば資料の方から姿を見せるとかそんな感じなんだろうたぶん」

「呪文唱えたら出てくるみたいな感じですかね。要するにこの言葉を読めればいいってことですか」

「ミミズがブレイクダンスしてるようにしか見えないけどこれ」


 どうしようかなと思っていたが、ふと思いつき笛吹は山吹を促して上に戻りましょうと言った。


「何か思いついたのか」

「この手の事はそういうのが得意な人にやってもらうのが一番いいです」

「誰かいたっけ」

「いますよ超絶頭のいい人。人じゃないですけど」


 話しながらやってきたのは上の階にある山吹のデスク。完璧に温度管理がされている冷たい水の中で緩やかにヒレを動かしている熱帯魚に文字列を見せた。


「すみません、これ読めますか」

「マジで、グッさんそんなに頭いいの?」


 端から見れば完全に頭がおかしいことをしているが笛吹は真剣だ。待つこと数秒、わかりましたと笛吹が言って何かを書き始める。


「わかりました。ご協力ありがとうございます」

「グッさんわかった?」

「なんかものすごい量の計算をしてぱぱっと答えてくれました。行きましょう、場所は多分冷凍保管庫の奥です。課長だったら条件を満たせば入り口すぐに現物がすっ飛んでくるんでしょうど、俺たちは権限がないので直接場所に行きます」

「わかった。グッさんありがとう」


 笑いながらついでにジュースも持っていこうと自販機に走っていく山吹を見て笛吹は熱帯魚を見つめる。


「何か伝えることあります? あなたの声が聞こえてるの俺だけなんですけど」


『別にないわ、気にしないで』


「そうですか」


 本人がいいと言うのならいいかと笛吹は地下へと戻った。おそらく彼女の力を借りることも想定して課長は資料番号だけ送ってきたのだと思う。外野がチャットツールも全て調べていると考えれば具体的にあの場所のあそこを調べろなど言えるはずもない。

 冷蔵庫の中を行くということで二人とも厚着をして電動バイクの前にきた。乗り物は一台しかない。


「じゃんけんで良いですか」

「お前乗っていいよ、俺走る。疲れないし」


 笛吹は先輩を走らせて後輩の自分がバイクに乗るなんてできません、などいう人間ではない。山吹がいいと言っているのだからいい。いちいちそんなことで問答したりしない。保管庫までは八キロ、電動バイクならおよそ二十分弱といったところだ。


「じゃあ先に行ってるわ」


 そう言うと山吹は軽く準備運動をした後一気に走りだした。その速度はバイクに乗っている笛吹が絶対に追いつけないスピードである。


「相変わらず足速いな」


 人間とは思えないスピードであっという間に見えなくなった。のんびりしていても仕方がないのでなるべく笛吹も急いで向かう。

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