表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コールドケース  作者: aqri
冷水熱帯魚
24/91

10 侵入者への対応

「容疑者が死亡したんじゃ捜査一課に復帰するための手土産がないだろ。事件は真相が全くわかってない。この事件の真相を証明して一課に戻りたいんじゃね? それには証拠品を回収して調べる必要がある。村上紗智子が四十年前の事件と三年前の事件両方の犯人だって証明するには、そんな体になった事を証明しなきゃ話にならんし」

「なるほど。鍵をすり抜けたのはこっちでしたか。もともとここの部署にいたんですし、まあ頑張ればできなくはないですかね、たぶん」


 二人が会話している間も安達はあの熱帯魚はどこだと叫び続けている。加藤美帆のように異様な見た目ではないが、正気とは思えない雰囲気は十分に異様だ。事件を解決することが捜査一課への復帰の道だと信じ込んでいる。


「要するに先にこの人が侵入して、多分この人ずっと付け回していた加藤美帆が後から侵入して、二人して村上紗智子に関わるものを探してたってことですか。仲良しですか」

「加藤美帆の方は別にどうでもいいからほっとくとして、パイセンに関しては課長からは対応頼むって言われた。部署内の事だし、別に俺のせいでもないからお前に任せるよって言ってた。課長から許可もらったからさ、何とかしないとな」


 その言葉に笛吹は数歩後ろに下がる。安達が一気に突っ込んできた。さっきの加藤美帆といい、この二人山吹の普通の人間とはちょっと異なる性質を見ているはずなのに、なんで突っ込んでくるのかなと思いながら見守る。

 山吹はすぐ近くにある資料保管用の大きな棚をつかむ。まるで家庭菜園の小さな野菜でも引っこ抜くかのように、床と壁に固定されていたスチール製の巨大な棚をベキッと引き剥がして持ち上げた。棚に保管されていた資料はバサバサと全て床に落ちて空になる。長さが数メートルあるそれを勢い良く安達めがけて振り下ろした。安達には直撃したが、すぐに棚の下から抜け出し大きく距離を取る。


「手足切断されてもあれだけ動けるのか。どっちかって言うと加藤美帆よりあっちの方が村上紗智子に近づいてるんだな」


 笛吹の言葉にロッカーからわずかにカタカタと音がした。面倒なのでロッカーの外からガツンと蹴飛ばすと悲鳴が聞こえて再び静かになる。

 スチールで出来た棚は鋭利な刃物と同じだ。左の手足を切断し安達からは大量の血が流れているが痛がる様子も死ぬ様子もない。あっという間に血が止まる。ただしダメージはそれなりにあったようで距離をとったものの何も仕掛けてこない。

 山吹は先ほど投げられた鉄板を拾うとポイっと軽く投げつけた。丸めたティッシュをゴミ箱に捨てるように本当に軽く投げたように見えるが、安達が投げつけた時とは比べ物にならないほど凄まじい速さで飛んでいき安達に直撃する。パァン!! と激しい音がして安達の頭が吹き飛んだ。しかしそれでも安達は立ったままでいる。


「脳みそ破壊してもダメか」


 やれやれといった感じで言うと安達は目にも留まらない速さで奥に向かって走っていた。山吹は追いかける様子は無い。


「追わないんですか」

「エレベーター付近の資料は本当に紙ばっかりで壊れないから棚使ったけどな。奥にあるのは壊れ物ばっかりだし、大暴れするわけにはいかないだろう。それともお前なんとかできる? ユピテの時みたいにピンポイントで」

「できなくはないと思いますけど。あの時は人形だったから部品撒き散らすだけで済みましたけど、生物相手にやったらいろんなものがそこら中に飛び散りますよ」

「それは困る。さすがにそれやったら課長にぶっ飛ばされるわ。そうだなぁ、一番平和的に解決するにはこれがいいか。笛吹、四千八番の冷凍庫の鍵開けて」

「四千八番。ああ、アレですか」


 タブレットを操作して四千八番のキーロックを外す。向かった方向的にもおそらく扉が開けば中を覗くはずた。動くもの、生き物系は冷凍保管することは特殊課にいたのだから知っているはずだ。あの体では冷凍庫に閉じ込めても自由に動き回るだろうからゆっくり冷凍庫内を探すだろう。


 吹き飛んだ頭は再生した。たいしたダメージではない。目の前の扉の鍵が開く音がした。おそらくこの中に熱帯魚がいると思わせ、入ったら閉じ込めるつもりなのだろう。そんなことをしても無駄だ、地下の鍵は自分も自在に操ることができる。あの熱帯魚は必ずどこかに保管されているはずだ。

 この中に絶対ないとは思うが、冷凍庫に入れて閉じ込めて凍らせたと勘違いをさせておいて後でゆっくりすべての冷凍庫を探そう。そう思って冷凍庫の中に入る。

 しかし意外にも扉は閉まらず鍵がかかった様子もない。中を見るとどこまで続くんだ、というくらいに奥行きがあって広い。自分がいた頃より数倍広くなっている、地下なのにどうやって増築したのだろうか。綺麗に並ぶ管理番号と事件名を見るが全て自分の知らない案件だ。

 不思議に思っていると、どこからか笛のような口笛のような高い音が聞こえた。聞こえてきたのは保管庫内に設置されているスピーカーだ、おそらくタブレット端末から操作しているのだろう。


何のための音だ? と周囲を警戒する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ