第三話 こんなイケメンが友達だなんて聞いてない!
玄関を出ると、とても大きくて豪華な馬車が止まっていた。
「坊ちゃまは、第一王子エドワード・グリフィン・マルテル殿下と一緒に登校するお約束をしておりましたね」
第一王子ってことは、めちゃくちゃ偉い人じゃん。
そんなところにお友達がいただなんて。転生前の俺、ヤバくない。
足元に気をつけてビクビクしながら馬車に乗ると、二人、人がいた。
一人は、俺と同じくらいの年齢で、さっきメイドさんにエドワードと呼ばれていた王子だろう。
サラッサラの少し長めの金髪を後ろでひとつ結びにし、俺と同じ魔法学校の制服を着ている、青目の人。
もう一人は、十代後半くらいの年齢で、茶髪、執事の服を着ている男の人。いわゆる従者というやつだろう。
「ギル、おはよう。今日は寒いね」
にこやかに、エドワードが声をかけてくる。
王族に声をかけられるなんて、もちろん初めてなのでとても緊張している。さっきお父さんに会うときに緊張したっていうのに。
「お、おはようございます、殿下」
失礼のないように出来るだけ丁寧な口調で挨拶をしてみる。
だが、俺の対応がお気に召さなかったようで、むすっとした顔をしている。
さっきから、俺の心臓はドキドキしっぱなしである。恋愛とかそういうのとは別の。
「魔法学校の方針が、『身分に関係なく、交流活動を積極的にする』だったから、もっとフレンドリーな感じで話してって、この前言ったじゃん」
どうやら、転生前の俺とした約束を守られなくて起こっている様子。
王族だから、あまり友達とかいなさそうだし、フレンドリーに話すとか周りの人から不敬って言われそうだしね。たしかに、エドワードも俺のこと『ギル』って言ってたしな~。
「分かったよ、エドワード。こんな感じでいいかな?」
言葉遣いを変えた途端、エドワードは目をキラキラ輝かせている。
どうやら、エドワードのお友達不足はとても深刻なようだ。まぁ、俺にとっちゃ慣れた言葉遣いだし、それだけで機嫌が良くなるというのなら、この話し方でいこうかな。
馬車の中で、外の景色を観察していると、急に馬車が止まった。
「アルフレッド・リドリー公爵様のお屋敷に到着しました」
従者が言う。
もう一人の、エドワードのお友達かな。なるべく、俺もお友達になれそうな、いい性格のやつだといいけど。
馬車の扉が開き、俺とエドワードと同じくらいの年齢で、若干俺らよりも背の高い人が現れた。
多分、この人がアルフレッド・リドリーという人だろう。
ワインレッドの短髪に、緑色の目、すらっとしていてエドワードと同じくらい制服を着こなしている。
エドワードが清楚系アイドルみたいな感じなのに対して、アルフレッドはクール系男子って感じがする。
二人ともイケメンだから、俺だけ浮いちゃったりしないよね? まぁ、転生したから結構イケメンになっているはずだけれど。そこは、天使さんがどうにかしてくれてるだろう。
「おはよう、アル。学校楽しみだね」
「お、おはよう。これから学校がんばろうね」
エドワードに習って、少し挨拶をしてみた。あまり友達が多かったほうではないので、これくらいでもビクビクしている。
こんなに俺ってこんなに人と話すの苦手だったっけ?
「久しぶり、ギル、エドワード。一緒に登校できて良かった」
「よし、それじゃあ早速、カノヴァン魔法学校にしゅっぱーつ!」
「「おー!」」
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