卜伝との過去
~~~10年前~~~
午前四時薄暗い部屋、生ゴミとカビが混ざったような酷い悪臭がただよっている。道端にはぐちゃぐちゃの肉片や黒焦げの人間の死体が転がっている。
俺は犯罪者の頭を掴み、シックを使おうとする。
「ま、まってくれ、なんでもするから命だけは」
なかなか面白いことを言う男だ。
「ハハハッ、面白いなお前、あれだけの人を殺しといてよく命乞いできるもんだなぁ、その調子で地獄で謝ってこい許してくれるかもな」
「や、やめ、ぐあああああああああああああああああああああああああああ」
シックを使い、電流を流し込むとその男は悲鳴を上げる。
焦げた肉のにおいが鼻をつく。
「はぁ、くっさ」
花を抑えながら手を振りにおいを払う。
「君、暗部のものだな...法律はもう改正されてる、もう殺す必要はない」
いきなり知らない男が後ろから出てきて俺をにらむ。
確かに法律はシックの発現から10年で俺が15歳のころに改正され、ペーシェントの犯罪者も捕まえられるようにはなった。
だがそれがどうした?どうせこいつは死刑だ、俺が殺したって同じだ。
「あ?うるせえよ、俺が誰だかわかって言ってんのか?」
「三原色の【赤の稲妻】こと佐山伊吹だろう、しってていってるんだ、、君の行動を英雄視する者もいるらしいが君のその力の使い方は私は納得できん、ここで灸を据えてやる。年上のいうことには素直に従った方がいいぞ」
偉そうな態度で上から見下していってくる態度に嫌気がさす。
「だったら俺も教えてやる、自分より強い奴には素直に従った方がいいぞ?」
ガギン、ドゴォッ、バギィッ
「読めてきたぜ、その攻撃ィ!」
「!?」
ガギィィィン
俺と卜伝の戦闘は2時間にもわたる激戦の末、結局卜伝の降参で戦いは終わった。
最初こそ剣筋がわからず、追い込まれたが目が慣れてからは逆転し、動きを読み押し返した。
「その歳でここまでの実力とはな...もうすぐ夜明けで人も来る。私の負けだ。」
卜伝は刀を鞘にしまい、あきらめたように手を上げ降参の意を伝えてくる。
「ああ、いいぜ、初めてここまで追い込まれたよ、あんたもなかなかだな」
終わったと思ったら疲れがどっとあふれだし、しりもちをついてしまう。
地面の冷たいコンクリートが傷だらけの手にしみる。
俺たちはお互い初めての経験を得た、その後和解し、お互いの実力を認め合った。
卜伝は立ち上がり、落ちた刀を拾う。
「だが一つ覚えてほしい、強き力を持つものはその強さと同時に責任が伴う、ということだ、君はみなの手本にならなければいけない」
「そんなの嫌だね、俺は俺の好きなように自由に生きる、これが俺の生き方だ、悪人を殺すのに躊躇なんていらないね」
「・・・そういう生き方もあるのか」
卜伝はそのまま納得したような顔で、暗闇に消えていった。




