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第六話『バトルバケーション~CRAZY SWORD~』中編

ゲットバトルドリーム第六話!

戦場と化した『日夜タワー』で死闘を繰り広げる遠時達。

終にテロリストの目的があきらかに!?

そして、緑の真の力とは?



豪華なシャンデリアは崩れ落ち、照明も消えた『日夜タワー』のメインホールで香美市、亜理子、緑、みゆきは隠れていた。

「けっこうな時間こうしてますけど、まだ動けませんか?」

「速く遠時と合流したいのに…。ジレンマね」

ビルを支える柱の後ろで周りの様子を伺う。

その時-


ドギューーー!

静寂を撃ち破る銃声。

柱が砕けさる。

「大丈夫かぁ?姿勢を低くしときや」

「狙撃主の場所がわかってませんから、無闇に飛び出さないでください」

「わかってるわよ!」

ドギューーーン!

今度は香美市の足下の地面が抉れる。


「クッソ!」

「香美市先輩。気を付けてください」



彼女達は一人のスナイパーに狙われていた。

「……ふっ」

スナイパーは静かに笑った。

敵は四人だが居場所は知られていない、ゲットバトルドリームの参加者のようだがコチラの有利には変わらない。

ゆっくりと確実に殺していけばいい。

狙撃主はいくつもある武器一つのライフルを構え直した。






「ちょっと彦一さん。待ってくださいよ!」

神谷遠時と神童彦一は地上に続く階段を上っていた。

「五月蝿いぞ。さっさと上れ」

「優勝者ってどう言うことですか?」

「言葉通りの意味だよ」


「じゃああなたはいったい何を願ったんですか?」

…………反応はない。

「彦一さん!」

「黙れ!お前には関係がない!!」

叫び声が階段中にこだまする。

「関係あります。もし彦一さんが自分の夢のために人を殺していたなら俺は……」

「お前はどうするんだ?」

振り返ってコチラをジッと睨んでくる。

「自分のために人を殺す?なら、お前もそうだろ?」

「ッ!」

一番痛いところを突かれる。

どんな理由でも、遠時は一人の男を殺してしまった。

「自分の気持ちすら整理できてない奴に言える話じゃないだろ」

前に向き直り、ゆっくりと階段を上り始める。

「じゃあ彦一さんはこの戦いで死んだ人達を割りきってるんですか?」

「まさか」っと彦一は笑う。

「何もかも忘れてはいない。俺が殺してきた全ての人の顔と記憶。俺の背負うべきものだ」

その横顔は今まで見た中で一番哀しそうな表情だった。


その時だった。

「動くな!!」

上の階段からテロリストが現れた。

銃を構えたままコチラに近づいてくるテロリスト。

「遠時」

彦一は体勢を屈め始ながら名前を呼ぶ。

「何ですか?」

「お前の固有スキル『英雄の試練ランスロット)』は連続使用しなければ暴走はしないはずだ」

「ホントですか!?」

「ああ。だから援護を任せたぞ!!」




そして、また戦いの幕が開かれた。



狙撃主「クアットロ」は一人の男と連絡をしていた。

「こちらはまだ片付いてはいないわ。地下担当のヴァン達はどうなったの?」

無線に声をかける。

「彼等は失敗したようだ。通信がとれない。お前が狙ってる奴ら以外にも参加者がいるようだ」

雑音じみた音から聴こえてくる言葉に耳を疑った。

「ヴァンが殺られたの!?無線機の故障じゃないの?」

「間違いない。現に向かわせた部下達から連絡がない」

「……そう」

クアットロは静かに溜め息をつく。

ヴァンを少しは認めていたけど買い被りだったようね。

そう心で思いながら改めてスコープを覗き直す。

「ヴァン達を倒した奴らはそちらに向かっている。さっさと片付けろ」

「うるさいわね!わかってるわよ」

怒鳴り声をあげ無線を切る。

「そんなに速く殺って欲しいなら殺してやるわよ」

クアットロは背中の大型のギターケースからロケットランチャーをとりだした。




メインコンピュータの前に立つ男「ゼノ・ウィング」はゆったりと景色を眺めていた。

外では警察やマスコミで溢れかえっている。

クアットロに怒鳴られた耳が痛い……。

ちゃんと仕事をするか心配だった。

そういえば先程かかってきた警察からの電話では要求は何だと聞かれた。

答えずに切ったが考えてみると自分の要求は何なんだろうか。

実を言えば自分は国に裏切られてなどいない。

この世界に憎しみを持っているわけでもない。

初めは普通の名の知れないサラリーマンだった。

しかし、この戦いに参加して自分の力に感動をした。

自分はこんな神がかった力を持っているんだと喜びまわった。

そして思った。

普通の人間ではできない神がかったデカイことをしようっと。

世界の誰もが驚くような事件を起こそうと。

幸いなことに人員を集めることに苦労はしなかった。

政府に恨みのあるテロリストを上手く丸め込めてこのテロを計画した。

そして今、俺の計画は成功に近づいている。


ゼノは人質を捕らえている部下に連絡をした。

「次に俺が連絡をしたら人質を一人ずつ殺していけ。マスコミに見えるようにな」

「了解」

ゼノ・ウィングは飛び交うヘリコプターを見つめて不敵に微笑んだ。




「じゅ、銃声はやみましたね」亜理子は周りに告げた。

「油断は禁物です。おそらく敵はプロの殺し屋ですから」

机の影から顔をだす緑。

「怖いわ~」っと続けて顔をだすみゆき。

「今の内に逃げた方がいいんじゃない?」

「いえ。相手側もそれを待っているのかもしれません」

柱にへばりついていた香美市が提案をするが緑に即却下される。

「う~ん。残念だけどちょっと違うわよ」

その時、四人の後ろにクアットロが姿を現した。

「何!どこから?」

「正解はただ私が移動してるだけでした。不正解者にはこの“RPG”をプレゼント!」

クアットロは愉快に笑いながらトリガーをひいた。


発射されたロケットは柱に隠れていた香美市に一直線で突き進む。

「香美市ちゃん、逃げてーーー!」

叫ぶみゆき。

一番香美市と距離のある亜理子は「能力が間に合わない!」と嘆く。

「伏せてー!!」

緑の声と共に頭を下げる香美市。

「無駄よ。まず一人め」

クアットロが勝利を確信する。


ドゴーーン!

ロケットの爆発の音……ではなくクアットロのいた場所の隣地下に続く扉が蹴破られた。


「遠時!あのロケットだ」

「わかってますよ」

蹴破った勢いのまま超スピードで香美市のもとに駆け寄る。

「今からじや遅いっての!」

「それはどうかな?」

横を通る時に言葉を交わす。

確かにいくら超スピードでも発射されたロケットには追いつけない。

「その為に俺がいるんだろうが!」

右手を前に突きだす。

「固有スキル『英雄の試練ランスロット)』発動!」

激しい光と一緒に鞘にしまわれた刀が姿をみせる。

「能力『デスティ二-チョイス』発動!。目標物質の時間の凍結を開始」

香美市に向かうロケットのスピードが減少していき、終には止まる。

「凍結完了。今です彦一さん!」

「おおおお!!!!」

雄叫びを発しながら香美市の前に立つ。

「固有スキル『完璧を嫌悪した実像イージス)!」

彦一の手の前に円上の盾が製造される。

ロケットが動きだし彦一の盾に命中するが爆煙だけを残して消えた。

「あんたらね?ヴァン達を殺ったのは!」

憎々しくクアットロは彦一を睨み付けた。

「早急に武装解除し、人質を開放しろ」

彦一は冷静に淡々と言う。

「嫌に決まってんでしょうがー!!」

「……だろうな」

クアットロは両手に拳銃〈ベレッタ〉を構えトリガーに指をかけた。

「飛び道具は卑怯だろっ!」

大きく跳躍し物影に隠れる彦一。

隠れているコンクリートが銃弾によって削られる。

「彦一さーん!」

走りだす遠時を緑が止める。

「何で止めるんですか!?」

「ここは私がやります。『ユーセイバー』発動!」

先程の彦一にも負けないスピードでクアットロの所に向かう。

クアットロも気づくが紙一重で緑のスピードが上回る。

「ぜぁー!!」

緑の蹴りがクアットロの頭部を捕らえて直撃する。

「ぐぁっー!」

クアットロは蹴られたことによって吹っ飛び、体勢を立て直す。

「ここは…一時撤退ね」

そう言うとクアットロの姿が消えていく。

「なんや?消えてもうたで」

「アイツの能力かしら」

「少なくとも、チャンスだ。全員集まろう」

全員が物影から出てきて一ヶ所に集まる。

「どうしてこんなところに居たんですか?」

「みんなで買い物してたらな、いきなりテロリスト来てみんなを捕まえてこのホテルの最上階に移動させようとしたんや」

「それを私達は止めようとしたんですが、テロリストを倒してる途中にあの狙撃主に狙われていた」

「動けなかったと言うわけか」

「はい」と虚しく答える緑。

「お兄ちゃん達は地下で何してたの?」

「地下でも同じような事だったさ。能力者が居てそいつらを倒すのに時間がかかった」

「ふ~ん」

遠時の表情が少しだけ暗くなる。

「これから私達はどうするの?」

香美市が一拍空けてから問いかける。

「そうだな。……緑、人質が移動されたのはどちらのビルだ?」

「えっと、私達が泊まっている方だと思います」

彦一の質問に答える緑。

「それならパーティー会場のほうだな。よし、こうしよう」

彦一が全員に作戦を伝え始める。

「まず俺と香美市で人質の救出に向かう」

「ちょっと!なんで私があんたとなの?」

すぐさまに反論する香美市。

「救出するのにお前の能力は役にたつからだ。遠時とみゆきはメインコンピュータに行ってシャッターを開けてこい」

「シャッターを開けるって操作法がわかりませんよ」

「俺が電話で指示するから大丈夫だ。それにお前は人質の救出なんてできないだろ?」

「うっ!」っと口ごもる遠時。

香美市はまだ納得いかない様子でブツブツと独り言を言っている。

「お兄ちゃん、私と緑先輩はどうするの?」

「お前達は-

チューン!

言い終るよりも速く彦一の頭上の柱に穴があく。

「人質を助けた後、移動させる時に邪魔になると思うから二人でアイツを倒せ」

「わかった」

「了解!」

全員に指令が行き渡り眼を見つめあう。

「さっさと終わらせてこの夏休みを楽しもか~!」

「「「「「賛成!!」」」」」

それぞれが各々の場所に散らばった。






遠時とみゆきはメインコンピュータに続く階段を上っていた。

進めば進むほど敵が出てきて時間をロスしていた。

「敵が多くて上に行けませんね」

扉を弾除けにしながら言う。

「ねぇ、遠時君?」

みゆきは階段前の窓ガラスを見ながら言う。

「あの窓は外に繋がってるんやんな?」

見たところ外の景色も見えるので「そうだと思います」と言っておく。

ガッシャーンーー!

目の前のガラスがみゆきの矢によって割られる。

みゆきの背中には白銀の翼が生えていた。

「しっかり掴まっときや!最上階まで飛んでいくでーー!」

みゆきは遠時を抱えた形でビルの外に羽ばたいていった。



雫緑は電話をしていた。

正確には携帯に電話が掛かってきた。

その相手は神童彦一だった。

「何のようですか?作戦を伝え損ねたんですか?」

穴だらけの柱にもたれながら言う。

「いいや。作戦でなにも伝え損ねてないよ」

息は上がっていた。

恐らくは全速力で走っているのだろう。

「じゃあ、何なんですか?」

チュンーー!

一発の弾が柱を貫通してきた。

もう少しそれていたら死んでいた。

敵はかなりいいライフルを使っているようだ。

「お前、本気で戦えよ」

彦一は一拍空けて緑に言った。

「と言いますと?」

「とぼけるなよ!お前、こないだの遠時との戦いも亜理子との戦いもまったく本気だしてないだろ」

それでも白を切り続け「さぁ、どうでしょうか」と言う。

「おい!俺は唯一お前の素性を知ってるんだぞ?」

「その事は絶対に秘密でお願いします」

素早く答える緑。

ハァ~っと溜め息をつく音が携帯から聴こえる。

「とにかく、今回は本当に命がかかってるんだ。俺の妹の命もな。だから、切り替えろよ」

携帯の音が途切れてまた戻る。

「戦いと殺しを-

彦一が最後まで言いきる前に電話を切る。

緑も溜め息をつき亜理子のもとに向かう。

「あっ!緑先輩。危ないですよ」

「亜理子さん。ごめんなさい」

「えっ?」

ドッ!

手刀が亜理子の首筋に決まり、気を失う。

「すいません。少しの間だけ眠っておいてください」

言いながら当たり前のように柱の影から出る。

「さぁ、始めましょう。私達の殺し合いをーー!」

緑は右手で左の腰を押さえるような姿で動きを停止する。

「固有スキル『生死の選別ワルキューレ)』!!」






「誰に電話してたの?」

香美市がテロリストを蹴り飛ばしながら彦一に話しかける。

彦一はどうでもよさそうな声で「緑だ」と言う。

この二人はまったく止まることなくテロリストに対して一方は蹴り、一方は殴りを繰り返して進んでいた。

作戦開始から五分もたたないうちにビルの半分近くまで来ていた。

「そんなにあの二人が心配ですか?緑さんはともかく亜理子の能力は強いですよ」

横から急に出てきて敵を回し蹴りで応戦しながら言う。

すると「ふっ、やっぱり気付いてないか」と彦一は呟く。

「はぁ!なんのことよ?」

「お前の考えは逆だよ」

文房具店から拝借した(盗んだ)カッターを投げつけながら「意味わかんないんだけど」とぼやく。

「俺は強いよ」

いきなり宣言する彦一。

「緑と戦えって言われても負ける気はしない。でもな-


前方に居たテロリストの顔面を地面に叩きつけるようにして殴る。

「もし、緑と殺し合いをしろって言われたら、俺はまず生きては帰れないだろうな」

平然とその一言をのべる。

「つまり、負けるってことね」

嫌味っぽく言ってみる。

「その通りだな」っとまったくきかなかった。

この階の敵を倒し終えて次の階の階段に向かいながら「俺は天才だよ」とまた宣言する。

そして、相手に対する精一杯の同情を込めて一言-


「だけど、それ以上に緑は殺しの天才だ」

冗談でも嫌味でもなく真剣そのものな表情でそう言った。




緑の手には真っ黒な日本風の刀が握られていた。

黒刀という言葉はこの為に創られたと思うほどその刀は真っ黒だった。

「さて、かくれんぼも終わりにしましょうか」

そう呟きながらホールのど真ん中にゆっくりと歩き始めた。

その時-

ギューーンーー!

一発の弾丸が緑の頭をめがけて放たれた。

「そこですか…」

キンッという音と共に緑は振り向いた。

飛んできた弾丸は既に二つにわかれて地面に転がっていた。

「『ユーセイバー』発動!」

大きく跳躍してビルの三階の所に突撃する。

「ふしゅっ!」

鞘から刀を抜き何もない場所を一閃。

何かが落下する音がすぐ近くの地面で聴こえる。

その後すぐに頬から血を流すクアットロが現れた。

クアットロは真っ二つに切断されたライフルの半分を持ち、背中には大きなギターケースを背負っていた。

「あんた私の居場所がわかるの?」

ライフルを投げ捨て驚いた顔で問いかける。

「それだけ殺気をだしていれば気づきますよ。貴女の力は姿を消すだけみたいですから」

刀の持ち手を変えながらにこやかに答えた。

「へぇ~。でも、その刀すごい切れ味ね。さっき撃ったライフルの弾一応、対戦車用なんだけど」

「それは貴女がこの刀に選ばれたからですよ」

刃先をなぞりながらクアットロに向けて話した。

「私の固有スキル『生死の選別ワルキューレ)』は気まぐれなんですよ」

「気まぐれ?」

「この刀は斬る人物によって切れ味が変わるんです。刀が殺したい時は鋭く、生かしたい時は、脆くなります」

「て言うことはその刀は私を殺したがってるの?」

「そうみたいです」微笑みながら黒刀を構える。

ふふふっと笑いながら「悪いんだけど私は絶対に他人には殺されたくないのよ!」と言い、ギターケースから両手にマシンガン〈AK-47〉を構える。

「ばきゅーーん!」

自分から声をだして引きがねを引く。

弾は全て緑に狂いなく進むがそれを狂いなく緑は叩き斬る。

「やっぱり飛び道具は卑怯ですね」

言いながら地面のコンクリートの破片などを刀にのせ、クアットロに向けて一気に弾き跳ばす。

「うわっ!ちょっ、言ってることとやってること違うくない?」

驚きなからも自分のケースを盾にして防ぎきる。

そして、再びマシンガンを構え撃とおとしたその時、クアットロは緑の異変に気付いた。

「どうゆこと?」

虚を突かれたため言葉がおかしくなる。先程の何倍の驚きが彼女に訪れる。

それもそのはずだった。


クアットロの眼に緑の姿が増えていたからだ。



「何それ?日本人はみんな分身の術が使えるんですか?」

「ふふふ…普通の人はできませんよ」

合計七人の緑が一斉に言う。

「雫流暗殺剣術四の型〔望月〕。緩急のある速さで身体を動かすことによって残像を相手に見せることができます」

一通りの説明を終え、同じタイミングで刀を握る。

「このことはどうか秘密でお願いします」

言い終えると同時に攻めに来る緑。

しかも×7

「あー!やってられないわよ!!」

七人の緑に向けて銃を乱射する。

「『ユーセイバー』!」

一人が叫び、自らの間合いにクアットロを入れる。

「それを待ってたわよ!!」

残像ができていても能力を使えるのは一人。

クアットロは突っ込んできた相手に銃の引きがねを躊躇なくひいた。

銃口が火を吹き、弾が緑に命中する。


否!

弾は緑の身体をすり抜け後の壁に直撃する。

「こっちです」

大きなギターケースの後に立ち、刀を横に構える緑の姿があった。

「いつの間に-

ブシャーーー!

胴を下から斜めに斬られる。

もちろん、二つのマシンガンも一緒に-

「畜生!痛ったー!!」

「チッ!浅かったか」

緑は舌打ちしながら次の攻撃に移る。

「雫流暗殺剣術三の型〔十三夜〕!」

刀を横向きの水平に持ち、身体をねじる。

「やっば!」

クアットロは腰に隠していた軍事用の大きめのナイフを又も二つ取り出す。

「ぜぁーーーー!」

緑の刀から高速の突きが放たれた始める。

ギンギンギンギィーーー!!

ナイフと日本刀が激しくぶつかりあう。

「…くぅーー!」

「その程度の剣術では私には及びません!!」

鋭い突きがクアットロにくりだされる。

ガギーー!

クアットロのナイフが砕け後ろへ跳ばされる。

クアットロは肩で息をしながら緑と距離をとる。

その様子を見ながら「また能力で姿を消すつもりですか?」と言う。


「何勘違いしてんの?」

クアットロは笑いながら言う。

「私の能力は姿を消すことじゃないわよ。あれは固有スキルの一つ」

左手で浅い傷口を押さえながら右手で拳銃〈デザートイーグル〉を緑に向ける。

「そしてこれが私の真の能力」

引きがねをひき、轟音がビルの中に響く。

が、銃弾はまったく別の方向に跳んでいった。

「なんのつもりですか?」

緑は能力を使い一気にクアットロに近ずく。

「これで終わりです!」

刀をクアットロに降り下ろす。

「……能力『サプライズヒット』」

静かにその名を告げる。

ドンッ!

「ごふっ」

緑の口から多量の血を吐き出す。

服が左腹部から徐々に赤く染まっていく。


「こ…これは!?」

銃弾は緑の左腹部を後ろから貫いていた。

「どう…言うこと…ですか?弾は外した…はずです」

酷く出血する傷を押さえ付けながらクアットロを睨む。

「ねぇ、跳弾って知ってる?」

先程とはうって変わってにやけずらをしながら声高く言う。

「銃の弾を何かにぶつけたりして銃弾の向きを変える技のことよ」

「馬鹿な!あれは本や映画などで出てくるもので、実戦で使えるものじゃない」

「使えるから貴女に当てることが出来たんでしょ?」

ふふんっと言う。

「私の能力『サプライズヒット』はね人の空間把握能力を究極的に跳ね上げるの。つまり、どこに何を当てれば良いかが私には分かるのよ」

どうだ!っと言わんばかりの顔で笑いかけてくる。

「これで終わりって言ったわよね?そうね。じゃあ、これで終わり」

右手に拳銃〈デザートイーグル〉そして左手にはショットガン〈フランキ スパナ12〉を手にとる。

「Good bye」

二つの銃口から無茶苦茶な所に弾が撃たれる。

しかし、何度かの反響音と共に弾丸の雨が緑に降り注いだ。

「クッ!雫流暗殺剣術三の型〔十三夜〕!」

凄まじい突きで弾丸を一つ一つ破壊していく。

「あはははっ!やっぱりやるわね~。でも、跳弾は殺気がこもっていないから分かりにくいでしょ?」

ショットガンのポンプアクションを行いながらクアットロから緑に近ずく。

「跳弾ばっかり見てると私に撃たれるわよ」

ドカンッー!!

鈍い音が木霊する。

だが、銃弾は緑の残像しか殺せない。

「望月か!?」

クアットロが気付くよりも速く緑が攻撃をする。

(こちらの傷は浅くない。長引けば不利!ならば向こうから近づいてきたこのタイミングで決める)

『生死の選別ワルキューレ)』がショットガンをさばき斬り、クアットロへと向けられる。

「問題、さっき私の撃った弾は跳弾する○or×?」

「ッーーー!」

クアットロの元から即座に飛び退く。

が、その場には何も起こらなかった。

「正解は×でした」

「チッ!」

まんまとハッタリに騙された!

緑は怒りが込み上げるのを抑える。

「危ない危ない。やっぱ近ずいたらだめね」

そう言いながらショットガンの切れ端を捨て、ライフル〈ウィンチェスターM29〉をギターケースから取り出す。

「四次元ポケットですか?」

「嫌々~。四次元ギターケースよ」

雑談をしつつも戦闘が再開される。

しかし、それも一方的でクアットロが緑の残像を消しながら本人探すことの繰り返しだった。

(まずい。このままじゃこちらがもたない。攻めないと!)

そう思いクアットロの方を向いた時だった。

クアットロの姿はそこにはなかった。

「しまった!距離をとられ-」

ドグァンッ!

右肩に強烈な痛みが走る。

考えなくてもわかる。

狙撃されたのだ。

「うっ……くぅー!」

うめきながらも能力で移動し、狙撃された場所から離れた物影で座り込む。

(完全にやられた。殺気がなかったあの弾丸、恐らくは跳弾か。まずい、敵の居場所が分からない以上勝ち目がない)

銃声は無く。ビル内を静寂が包む。

緑はゆっくりと目をつむった。






香美市と彦一は順調に最上階に進んでいた。

「次の次の階が最上階ね。以外と早かったわね」

「人質の救出は俺が指示をだすから勝手に動くなよ」

「うるさいわね。わかってるわよ!」と言いながら階段を上り次のフロアに訪れる。

そこは展覧会が開かれていたようで広い部屋にいくつもの絵が掛けられていた。

「誰もいないみたいね。さっさと行きましょ!」

だが、彦一は香美市を止める。

「そこに居るのは誰だ。隠れてないで出てこいよ」

彦一の声と同時にスッと黒いスーツを着た男が現れた。

「女の方はいかにも馬鹿そうだが、お前は切れ者のようだな」

「どうでもいい。そこをどけ」

彦一は敵に一歩を踏み出した。






一つの決意と共に緑は目を見開いた。

(あれをするには相手の大体の位置を把握しないと…)

真っ黒な刀を身体の前に突き出し脚を開けたまま真っ直ぐに立った。

緑は既に建物の影から出ており恐らくは敵にはまる見えで格好の獲物だった。

それが緑の狙いでもあった。


静まりかえったビル内で聞こえる音は自分の吐く荒い息のおとだけ。

ゆっくりゆっくりと時間を欠けて呼吸を戻して集中していく。

そして、ビル内は完全に静寂に包まれた。

その時


………………ドヒューン

「そこだーー!」

殺気で敵の位置を知れない状態なら敵の銃声で知ればいい。

これが緑の秘策だった。

音のした方に振り向き全身を屈め飛び出す姿勢をとる。

「この一撃で終わらせる!固有スキル『勝利からの脅迫テュルフィング)』ー!!」

地面の爆発と耳を突き破るような轟音と一緒に緑の身体は敵のいる場所に向かった。





引きがねをひいた後クアットロに待っていたのは後悔だった。

「クッソ!銃声で私の位置を探しだしたってうの?」

今、目の前に迫ってきているのは轟音と一体化したターゲットだった。

クアットロの居る所は先程まで緑の居た場所の三階うえの反対側の場所。

つまり、今緑は重力に逆らいながら空中で進み続けている。

「でも、失敗ね!空中じゃ私の弾は避けられないわよ!!」

嫌でも耳に入る爆音に耐えながらライフルの狙いを緑の頭に合わせ躊躇なく引きがねをひく。

ドゥーンー!!

発射された弾丸は回転しながら狙い通り緑の頭に向かう。が、当たる直前に塵となって消える。

「何故死なないの!?」

ドカン!ドカン!ドグァンッ!

クアットロはライフルのトリガーを連続してひき続ける。

しかし、弾は全て同じ様に塵となり消え去る。

そして、二人の差は徐々に縮まっていき音がさらに大きく聞こえる。

(音!?もしかしてこいつのこの固有スキルは……)

二人の距離は後100mもなかった。

「……まさか音の壁?音速状態で進んできてるって言うの!?」

もはや避けることは不可能なほど近ずいていた。

「ふざけんなーー!こんな所で死ねるかー!!」

懐からリモコンを取り出し全てのボタンを押す。



ドゴーー―ーン!!


始めの爆発よりも強力な震動がビルを覆った。





自分のだす轟音にも負けない大きさの音に緑は気付いた。

(この爆発音……。敵の仕業か!)

残り数メートルで握っていた刀で突き刺せた敵は自らの爆弾で足場を爆破させ自由落下を始めていた。

その表情は紛れもなく笑っていた。

(クッソ!この力の弱点をもう見付けたのか!)

緑の固有スキル『勝利からの脅迫テュルフィング)』はクアットロの予想どおり発動中は音速で動くことが可能な固有スキル。しかし、その分代償が大きく速すぎるため方向転換することができない。

舌打ちをしながら更に速度を上げ落ちていく相手に刀を伸ばした。

「もう……少しーー!」

緑が伸ばす刀の先はクアットロの額に向かい、終に刃が刺さり赤い血が流れだす。

「このまま…行けー!!」

「甘いわよ!」

クアットロが右手に握られていた拳銃〈デザートイーグル〉を上に向けて撃つ。その反動で身体をずらし緑の音速の一撃を避ける。

「なっにー!?」

クアットロは崩れ落ちる瓦礫にぶつかりながら真っ逆さまに地面へと落下していく。

緑は崩壊しかけのコンクリートの地面に着地し崩れる前にその場から離れようとする。

(脚がまったく動かない!?)

音速移動の負担が一気に緑に押し寄せる。


「くっ!うわぁぁぁぁぁぁ」

身体を動かしてその場から逃げることもできず緑も地面に真っ逆さまに落ちていった。




「みゆきさん!今の爆発の音は?」

「多分、緑達のいる場所からや。爆発でいろんな所が壊れ始めてるで」

遠時がみゆきの能力で抱えられながらビルの外側から昇っていると上空からコンクリート片が降っていた。

「急ぎましょう!」

「了解や。もうすぐ最上階やで」

バサッという羽ばたきと共にメインコンピュータ室の窓に近ずく。

「ここやな?」

「ハイ。中に入って彦一さんの指示を待ちましょう」

みゆきは弓を構えて窓を壊した。


部屋の中は人気はなく大画面のモニターだけが一人黙々と稼働していた。

「あれがメインコンピュータやな。よし、彦一に連絡や」

「おいおい、ちょっと待ちたまえよ」

いきなりの声に驚いて「誰かいるんですか?」と遠時が叫ぶ。

「ああ、いるとも。君達の前にね」

クルッと画面の下の椅子が勝手に動いたかと思うと深々と腰かけた男が座っていた。

「勝手な行動はつつしんでもらいたいものだね。俺は君達に危害を加えないから代わりに君達もなにもしないでくれ」

「あなたは何者ですか?」

「テロリスト達のリーダーだよ。わかったら黙っててくれないか?今は忙しいんだ」

めんどくさそうに言い、椅子を回転さして前の画面を眺め始める。

画面にはこの事件のニュースが取り上げられているものばかりだった。

「良いぞクアットロ。もっともっと盛り上げろ。事件を大きくすれば大きくするほど世界に名が轟く」

男は独り言をブツブツ呟き満足げに笑う。

「リーダーって!?どうしてこんなことしてるん-


ビヒューーーー!

遠時が言い終るよりも先に矢が椅子に突き刺さった。

「みゆきさん!?」

「遠時君は甘いわ。敵のリーダー言うてんにゃから倒さなあかんやろ。それに、あの画面見て笑ってる奴が反省してるはずあらへん」

みゆきはいつもよりも怒った声で遠時に言った。

「さぁ、彦一に連絡や。さっさと終わらせるで」

「ハイ。ちょっと待ってください」

携帯電話を取り出したその瞬間-

ドシューーン!!

「ごふっ」

みゆきの腹の辺りを何かが抉りとった。

「みゆきさんー!!」

走って駆けつけて抱き抱えると腹からは異常なほど出血していた。

「理解の悪い女だ。何もするなと言ったのに」

男は椅子から立ち上がってこちらを見据えている。

「てめえ!何しやがる」

「こっちのセリフだ。何もしていないのに攻撃してきて」

男は長袖をまくりあげ手を伸ばして突き立てる。

「邪魔なガキどもは殺すとしよう」

右手を引いて振りかぶる姿勢をとり始める男。

「すいませんみゆきさん。痛いと思いますが少し我慢してください。すぐ終わらせますから」

上着でみゆきの傷を止血し、男の方に振り返る。

「すぐに終わらせるとは舐められたものだ。俺に勝てると思っているのか?」

「ハァ?何勘違いしてるんだよ。すぐ終わるのはコンピュータの操作のことだよ」

一度息継ぎをしてから犯人を見つけた時の様に指を敵と認識した相手に突き立てる。

「あんたとの戦いなんてまばたきしてる間に終わるぜ!」

「ふふふ…よく言った。俺の名はゼノ・ウィング!この手で貴様の無力を証明して見せよう」


神谷遠時の戦いが再び幕を開けた。



崩壊の運命すら知らずに……



続く


投稿するのが遅くてすみません。

本当に主人公が活躍しませんね(笑)。

次はもっと速く書きたいと思います。

これからもよろしくお願いします。

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