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第一話『夢と愛とお人好し』


ほぼ始めて小説を書きます。 よろしくお願いします。  



夕焼けが見える坂道をいつものように歩いていた

俺の名前は神谷遠時。


何処にでもいる高校二年生だ。


二年生になってそろそろ大学のことを考え始め部活を辞め、日々勉強にはげんでいる受験生だ。


なぜこんな説明をしてるかって?

それは、自分の知ってる現実ではありえないことがおこっているからだ。


夕焼けに染まる坂道に黒いフードの男は立っていた。


「おい!」

その男は不機嫌そうに言った。


「なんだよ?」

おそるおそる黒いフードの男に言った。


「もう少し驚いたらどうだ?」


男はまだ不機嫌なのか少し声をあらげて言った。 それは確かにいきなり風が吹いたとおもったら、前の道が歪んでそこからこの男があらわれたんだ。


「いや、驚いてるけど…てゆうかお前何?人間?」


遠時はまた聞いた。「人間とも言えるし別の生き物とも言えるな」

男は先ほどと違って愉快そうに言った。

「お前頭大丈夫か?俺に何のようだ?」


遠時はめんどくさそうに言った。

「そう言うな、お前には願いがあるか?」

「何?」

「これを受け取れ。」



ヒュッとゆう音とともにカードのようなものが投げられた。

「わっ! なんだよこれ?」

遠時は声を荒げていった。

「なくすなよ。お前の願いを叶えるものだ。フフ。」

男は静かな笑いと、ともに歪みながら消えていった。

「なんなんだよいったい。」

遠時は驚きを隠せない様子でゆっくりと帰路についた。




朝になり、またいつもの坂道をめんどくさそうに自転車をこいでいると、後ろから声がした。


「おーい、遠時〜」



振り向くとそこには目付きの悪い茶髪の男がいた。


「勝岡か?」

遠時は眠そうに言った。

「聞いたか?遠時 、今日内のクラスに転校生がくるんだぜ。」

勝岡は朝からニヤニヤしながら気分は絶好調です!と言いたそうな顔でスキップしながら俺の横をとうりすぎていった。


「転校生がなんだってゆうんだよ」

遠時はため息混じりの独り言を吐いて坂道を登っていった。




「転校生の香美市絵理です。いろいろわからないことで迷惑をかけるかもしれませんがよろしくお願いします。」

(めっちゃくちゃかわいいな)

遠時は歓喜の声を心のなかで叫んだ。

「うわぁ〜めっちゃかわえーな。君」


クラスの男子で一人だけ心の中で叫ばない男子がいた。

言わなくても分かる勝岡だ。

「ぜひとも僕とおちかずきに〜」

「遠慮しておきます。」

速答!!

「うわぁーフラれたわ。」


(言わなくても分かるよ。でもああゆうのは高嶺のはなだね) 遠時は諦め半分で呟いた。




屋上ではすがすがしい風が吹いている。


「やっぱりここは気持ちいなぁ」


遠時は大きくのびをしていた。

「遠時君〜」


(この声は…)


予想通り勝岡だった。


「さぁ一緒に飯食べよ〜」

相変わらずテンションが高かった。


「お前、クラスのみんなの前で転校生にフラれたのに、なぜそのテンション?」

「そんなん気にすることちゃうで。」


(もう嫌だこいつは。泣きたいぜ。)


遠時はつぶやきながら昼食についた。




「そういえば知ってるか遠時〜?」


「なにが?」


遠時は気のない返事をした。


「最近起こった殺人事件のことだぜ」

「さ、殺人事件?!」


(そんなの知らねぞ)

新聞とニュースを見ない現代っ子の遠時は勝岡の言葉に驚いた。

「そうやで。えっと、3日前だっかな河野池の近くで死体が発見されたらしいで」


「へ、へぇー」


「その死体変わっていてなぁ、腹の右側がなくなっていたらしいんやで」


(食事中にそんな話するなよ、気持ち悪い。)


だが、遠時は何も言わなかった。


「そんなもん興味ねーよ」


「あ、そーなんごめんごめん食事中にこんな話はあかんね」

(ん、今こいつ…)


遠時はとなりであんパンをかじっている友人に目をやった。

「気のせいか。」


「え、なにが?」


「なんでもねーよ」

こうして何時もどおりの遠時の昼食は終わった。




一人、暗い道で音をたてるものがいた。


「たく、自分の飲み物ぐらい自分で買いに行けよあのくそ姉貴」


遠時は怒りながら自転車のペダルをこいでいた。

家での権力が紙よりも薄い遠時にとって姉の命令は絶対なのだ。


「だいたい、いい歳こいてオレンジジュースってなんだよ!」



不運にも家の近くに自動販売機がない遠時の家では一番近いコンビニに(それでも十分はかかる)行くしかないのである。




買い物を終え自転車を走らせていると、ある臭いに気がついた。


(なんだ、この生臭い臭いは。)



自転車を降り臭いのする方に足を進めた。


着いたのは暗いビルの路地裏だった。


(なんか嫌なことがありそうだが、ここまで来たら行くしかないよな)


彼は後悔するだろう平穏の別れと地獄の始まりに




そこで見たものは自分の考えではありえないものだった。


「なんだよ、これ」


遠時の前には赤い世界が広がっていた。

「これ、血じゃねぇか!」

その路地裏には一人の男の死体が転がっていた。


「おい、あんた大丈夫か?」


遠時が近寄ろうとしたその時、一つの音が耳に入った。


カツーン カツーン カツーン


(やばい、犯人がまだ近くにいたか!?)



遠時は逃げようとしたが恐怖か興味で足が動かなかった。


徐々にちかずく足音。


遠時の頬から一筋の汗が落ちた時、暗い闇から一人の人間が姿を現した。


「お、お前は!」


遠時は驚愕の声をあげた。その、見た先の人物は―


「こんばんは、神谷遠時君。」


少し茶色が混ざったロングヘアーでスタイル抜群の転校生、香美市絵里がそこに立っていた。



「お前がこの人怪我させたのか?」


「そうよ。あ、でも怪我させたんじゃないわよ。殺したのよ。」


恐る恐るの質問に最高の笑顔をみせる絵里。


「なんで殺したんだよ?」


遠時は混乱しながら質問を投げ掛けた。


「フフフ」


静かな笑い声。


「何が可笑しいいんだよ!」

声を荒げる遠時。


「ごめんなさい。なんでそんな無駄な質問するかわからなくて。」


「無駄な質問だと!?」


「だってそうでしょ、あなたこれから死ぬんだから」


その言葉の後、遠時は振り返らずひたすらに走り、自転車に乗り、ひたすらにペダルをこいだ。後に感じる強烈な殺意から逃げるように―



家に戻るとすぐに自分の部屋に飛び込み、ベットの中で目を閉じた。


見たもの全てを嘘であると信じて。



今日、俺は学校に行かなければならない。


朝に来たこのメールのせいだ。


『おはようございます。

香美市絵里です。今日学校を休んだり、昨日のことを誰かに話したりしたら家族を失いますよ


放課後、屋上で待ってます。P.S メールアドレスはあなたの親友に聞きました。』


俺は何時も通り学校に行き、授業を受けた。そして放課後、俺は屋上に向かった。


屋上では強い風が音をたてながら吹いていた。その風の中に香美市絵里は立っていた。

「あ、来てくれましたか?けっこう心配だったんですよ」


絵里は笑顔で言った。


「俺の家族は無事なんだろな」


遠時は声を荒げた。

「もちろんですよ。あなたの家族を殺すわけないじゃないですか」


絵里は遠時に一歩ずつちかずいていった。


「私が話したいのは神谷遠時だけですよ」


その瞬間、絵里の制服の手首からカッターが取り出された。

(クソ、いきなりかよ!)


後ろに大きく跳ぶ遠時。

カチカチカチ―…


カッターの刃が飛び出る


絵里は跳んだ遠時の首を掴みそのまま押し倒した。


「ぐっ、」

カッターの刃はすでに遠時の首に置かれていた。


「いい動きよ。誉めてあげるわ」


いつもの笑顔で言った。


「何か言い残すことはある?」


カッターを持つ手に力が入るのが伝わってくる

(やばい、なにか言わなきゃこのまま殺される)


焦る脳をフルに使った。

「何のために人を殺すんだよ!?」


必死に探した質問がこれだった。


絵里は嘲る目を見せて言った


「何のため?そんなのきまってるじゃない、自分の夢を叶えるためよ。」

「夢を叶えるため?」


「そうよ。だから、あなたも私を殺しにきたんじゃないの?」


不愉快そうに彼女は言った。

「おい、待てよ。俺がお前を? バカ言うな。てゆうか、なんだよ夢を叶えるって」


焦りながら疑問を投げ掛けた。


「ふーん。本当に知らないんだ」

カッターの押さえる手が弱まった。


「いいわ、教えてあげる。夢を叶える戦い−ゲットバトルドリーム−について。」


ゲットバトルドリーム…それは自分の夢を叶えるための戦い、参加するものは主催者から特別な力を与えられ夢を持つものどおし戦う。

「わかったかしら?」


一通りの解説を受け遠時は混乱状態に陥っていた。


「質問が山ほどあるんだが」

すでに羽交い締めからとかれ腕組みをしながら座っている遠時であった。

「出来るだけ少なくたのむわ」


「まず、どうやって夢を叶えてもらうんだよ?主催者っていったな。そいつ誰だよ?」


「知らないわよ、誰かなんて。私が聞きたいぐらいだわ。」

質問にサラッと答える絵里。


「誰だかわからない奴信じて人殺してんのかよ?」


「少しは信じてもいいと思うわよ。この戦いは普通じゃないもの」絵里の言葉に驚く遠時。


「普通じゃないってどう言う意味だよ?」

「さっきも話したようにこの戦いに参加してる者は特別な力を持ってるのよ」

「特別な力?」


疑問―


「そうね。私はこれかな」


絵里がカッターを前にだす― 絵里のの手からカッターが消える。


(何!?)


その瞬間、風を切る音がした。


ギィーン!!


カッターは先ほど遠時が横たわっていたコンクリートに突き刺さっていた。

「何だよ、これ!?カッターが刺さってる?」


またもや混乱状態に陥いる遠時。


「ムーブプレイス」

絵里が静かに言った。


「ム、ムーブプレイス?」


「そうよ、それが私の能力。触れた物を今までに触った場所に移動させる」


「マジかよ。」


遠時は驚きの声を上げた。


「マジよ。この戦いに参加してる者はみんな一人ずつ特別な能力を持ち、それを奪い合うのよ」


絵里は長い説明を終え息をはいた。


「奪い合うだと?」


「また質問?いい加減疲れたは。能力を使える相手を殺すか、この戦いの参加書を奪うかして自分の参加書にポイントを貯めていき最後の日にポイントが一番高い者が夢を叶えてもらえるもよ」


そう言い絵里はスカートの中から一枚のカードを取り出した。


「これが参加書よ」


そのカードを見た瞬間に自分の心臓の鼓動が一気に速くなるのを遠時は感じた。


それは遠時は知っているはずのないものしかし頭が、脳が否定する。


「俺は、そのカードを…持っている」


おもわず口からでた言葉


絵里の目の色が変わるのがはっきりとわかった。


その目は遠時の過去を思い出させていた。


− 暗く、黒く、絶望的で狂乱なあの目と似ていた −


「今、どこにあるの?」


先ほどと違い低い声だった。


遠時は自分のポケットに手を入れた。


あの男に言われてからなんとなく持ち歩いていた自分であった。


「そう、そこにあるのね。今すぐ私に貸しなさい」

絵里の始めての迫力のある声だった。


遠時はすぐさまポケットからカードをだし、絵里に投げた。

絵里はカードを見て、すぐに投げ返してきた。

「よかったわね。私はあなたを殺さずにすみそうよ」


少し安堵した声だった。


「なんでだよ?て言うか殺すきだったの?」


胸をなでおろしつつの驚く疑問。

「あなたはまだ能力が目覚めてないのよ。奪う能力が無いんじゃ、ポイントにならないわ」


そう言い残すと遠時の横を通り過ぎ出口に向かった。


その背中を見ながら遠時は最後の質問をした。


「お前の夢は何なんだ?」

ずっと考えていた謎、絵里は口を開き言った。


「母を救うの」


夕日に染まる姿の彼女の瞳は美しかった。







夕日の日が落ちる坂の下に神谷遠時は寝転がっていた。

香美市絵里の話しが真実なのかまだ自分でもわからない。


「なんだかな〜」


ため息混じりの自分の声。


その時、


ビューン!!


空間が揺らぐ


遠時は寝転がっていた坂から飛び起きた。


「久しぶりだな。元気にしていたか?」


黒フードの男が現れた。


「この戦いのことを知りたいだろ。教えてやろうか?」


嫌味たらしくその男は話してきた。


「教えてくれんのかよ?」


ゆっくりと一歩後退る。


「どうだろうな」


ゆっくり一歩近ずいてくる。


周りには誰もいない。


世界でこの男と自分だけのようだった。


「願いなんて叶えられないんだろ」


「叶えられるさ」


男は高らかに言った。


「なぜならば…」


「なぜならば?」


手に汗がにじむ、男からはとてつもなく異様なものを感じた。


「俺が神だから」


「ハッ!?」


驚きの声。


黒フードの中で男は笑っているように見えた。


「信じる、信じないは勝手だが能力を与えてるのは俺だからな。もちろんお前にもやったぞ、能力をな〜」


遠時は自分の手のひらをのぞいた。


変わらない、いつもの手だった。


「お前が聞きたいのは戦いの敗者の行方と最後の日のことか。質問の多い奴だよまったく」

男は静かにそう告げる。


(何、心を読まれた!?)



ゆっくりゆっくり近ずいてくるその男に遠時は恐怖を感じた。


「敗者は死ねば無になり、カードを失えば記憶が消える。そうゆう仕組みだ。」


男は当然の様に言うが遠時にはまったく理解できない。


「おい、ちょっと待て消えるって―


「最後の日は時がくればわかる」


男は最後にそう言って歪みの中に消えていった。


「結局、一個しか質問してねーよ」


と、遠時はあきれた声をもらした。





家に帰ると晩飯の用意が出来ていた。


「遠時やっと帰ってきたの〜遅いって―!」


三人分の皿を並べながら姉は

「おかえり」も言わずに文句を言ってきた。


今日の晩飯は鉄板焼だった。


「あ〜なんもやらねえな」


姉はテレビのチャンネルを変えながらぼやいた。


遠時が黙々と箸を動かしている時、テレビのニュースが耳に入った。


『昨夜、北川中学の近くの路上で男性の死体が発見されました。男性の体は鋭い刃物で切られたような跡が残っていました。』


プツンー


「まだ捕まってないのかよ。あの通り魔」


テレビを消しながらブツブツと言う姉。


「通り魔か…」


遠時は小さな声でつぶやいた。


その瞬間姉が

「しまった」と、言いたげな顔になった。


そう、家族だけが知っているが俺にとって

「通り魔」はタブーなのだ。


なぜタブーかも思い出したくない。思い出そうとすれば頭が痛くなる。


― 君だから殺すんだよ、遠時 ―


あの時のあいつの目はおそらく一生忘れない。そんな目だった。


遠時は素早く食事を済ませて立ちあがった。


母にアイコンタクトで怒られ、下を向いていた姉がこちらを見た。


「ごちそうさま。ちょっとコンビニに行って来る」


遠時は出来るだけ笑顔で言った。




コンビニに行くと、思わぬ人に出会った。


香美市絵里が手にカゴを持ちながら店内をまわっていた。


「香美市」


遠時は確認しておくべきだった。彼女のカゴの中を


「あら、こんばんは。神谷君」


カゴの中にはハサミやらカッターやらとにかく危ない物が詰まっていた。


「お前それ」


指を指して言う遠時。


「ああ、これ?今きらしていて、買いにきたの」


絵里はしらじらしい嘘をつく。


「香美市、話があるけど、いいか?」


絵里は少しニヤけながら

「わかったわ」といい会計を済ませにいった。


外に出るとすぐに絵里が出てきた。


「さぁ話って何?」


絵里の手に買い物袋はなかった。おそらくはすでに体に仕込んだのだろう。


「今日、お前は誰かと戦う気か?」


いきなり確証をつく遠時。


絵里は笑いながら


「どうしてよ。コンビニに来たら誰かと戦うの?私は普通の女子高生よ。そんなことしないわ」


あくまでシラを切る絵里。


「能力使える時点で普通じゃねーよ。それにこんな時間にハサミやらカッターなんかコンビニで買わない」


遠時は息をきらしながら言った。


「じゃあ、今から戦いに行くって言ったら神谷君はどうするの?」


絵里は遠時を試す目で見てきた。


遠時の答えは決まっていた。


「俺も行く」


「なぜ?能力もないあなたが?」

遠時はひたすらに答えた。


「お前に協力したい。俺には叶えたい願いはないけど、だから力になりたい」


心から素直な気持ちで言ったつもりだった。


絵里は少し近ずいてきて言った。


「能力が無いんじゃ協力してくれても死ぬだけよ。でも―



絵里は遠時の顔のギリギリのところまで来た。


「ありがとう、そんの言われたの始めてよ。場所だけ教えておくわ、多分間に合わないと思うから。北川橋の下よ、そこにあの通り魔をおびきだすの」


頭がまた痛くなりそうになったがこらえて言った。

「お前そんな危ない奴と戦うのかよ。ならなおさら俺も―


「私が生きてたらまた会いましょ」


香美市絵里は最高の笑顔で遠時の肩に手をおいた。

その瞬間、遠時は北川高校の前に立っていた。

肩に触れられた時に能力を使われたのだ。

ここから北川橋までは速くても30分はかかる。


(だから間に合わないか…)

遠時は絵里の言葉を思い出していた。


「おもしれー! やってやろうじゃないか。ぜったいに間に合ってやるよ、香美市!!」


遠時は夜の明かりのない道を全力で走り始めた。



香美市は北川橋の下で静かに息をひそめていた。

犯人は必ずここに来る!、確証があった。


昨日の晩、参加者を捜しているとあの通り魔をみつけた。そいつは能力を使い非参加者を殺していた。死体が消えてないのがその証拠だった。

この戦いで命を失えば死体は無になり、参加者以外の人達のその死亡者に関する全ての記憶が無くなる。それがルール。


そのおかげで絵里は人を殺してもなんの問題にはならなかった。



絵里は昨日、犯人に

「明日の晩、北川橋の下で殺しあいをしましょう」と言い全力で逃げ、今日戦う準備をし、たりない武器を買いにいった所遠時にあってしまったのだ。


「ついてないわね、私。」絵里は静かにつぶやいた。


(あんなこと言われたら刺し違える事が出来ないじゃない)

絵里は強く思った。

その時、ゆっくり歩いてくる音が聞こえた。


(きたか…)


絵里は服の袖からカッターをだしながら身を潜めた。


男は橋の下に降り、中央に移動し始めた。


(神谷君。もう一度あなたにあってみせるわ)


絵里は勢いよく物陰から飛び出した。


カチカチカチ―!

カッターから刃をだして全速力で男に近ずく。

男は絵里に気ずきふり返るが、

「遅い!!」


絵里は叫びながら地面を蹴り、男の眉間にカッターを突き刺した。

ブシューッと血が水道の水のように出てくる。


絵里は地面に手をつき

「やった」と思った。

その直後―


血を流す男の手が鞭のように伸び、絵里の腹を浅く切断する。


「痛ー!?」

絵里の脳では疑問が殺到する。

(なぜ?致命傷のはずよ)


絵里は男の体をよく見た。

すると服に見えていた部分は形をなくしていき、手は先ほどよりも鋭くなり

「赤い死神」と言える化け物が立っていた。


「クソ、まずいわ」

こんな能力があるなんて。


「やるねお嬢ちゃん。でも僕の能力― メタモルフォーゼ ―には勝てないよ」

男は陽気に言った。


「この能力はね、僕の血を媒体として身体を思いのままに変化させられる。さっきの攻撃はよかったけどギリギリ僕の能力で血を止めさせてもらったよ」

男は笑いながら近ずいてくる。


絵里は動こうとするが、痛みが激しく脚が動かない。

(動け動け動けー!)

焦れば焦るほど痛みは増してくる。


男は絵里の前に来ていた。そして手を上にあげ、

「じゃあね。お嬢ちゃん」


手を振り下ろす!!

(母さん!)


「待ちやがれ!」


遠時の声は静寂の闇に響きわたった。


寸前の所で止まる刃。

赤い死神の男はゆっくりと後ろをむいた。


遠時は激しく息をきらしながら絵里に言った。


「見たか!まにやったぜ香美市」


― どうしてだろう ― 絵里は思った。

普通、ここは遠時を追い返すべきだ。しかし、絵里は追い返せなかった。

「ありがとう」

そっと絵里の口から言葉が漏れた。なぜだか痛みもひいていた。


「君はこのお嬢ちゃんの友達かな?」

男は遠時にニヤけながら質問する。

「ああ!俺の大事な友達を傷つけたお前は許さねー!」

叫び、拳を握りしめ男のもとに走った。

「アハハ!面白いこと言うね君ー!」

赤い死神も遠時のもとに向かう。


(駄目。能力のない彼じゃ殺される)

絵里は遠時を止めたいがその手段が彼女にはない。


「神谷君!!」

絵里は叫んだ。

赤い死神の手が振りまわされる。その刃は遠時の首を狙っていた。


「終わりだよ!少年」

ドゴーッ!!


赤い死神は地面に転がりながら倒れた。


(どう言うこと?)


遠時は自分の拳を拡げて男に近ずいていく。


(あの男の動きが止まった!?)


絵里は疑問の眼差しで遠時を見る。

遠時はその視線に気ずき笑顔をつくり

「俺がなにもせずにここにくるかよ」と言ってポケットからカードを出した。

カードには金色の色が着いていた。

「色が着いてるってことはあなたまさか―

「そうだ。俺はこの戦いに参加する」

そう言って絵里の手からカードをとった。


「― デスティニーチョイス ―それが俺の能力だ」

遠時は笑顔で笑いかけてきた。

「何時からなの?」

絵里は遠時に質問する。

「お前と話した後に主催者と話した直後かな」

遠時は絵里の目をしっかりと見ながらアバウトに言った。

「そんなことって―

「貴様ー!よくも僕を殴ったな。殺してやる殺してやる殺してやるるるー!!」絵里が言い終わる前に赤い死神の男は起き上がりながら叫んだ。

「まだ気絶してなかったのか。しぶとい野郎だ」

遠時は笑顔から殺意のある顔になり拳を握りしめ、しっかりと相手を見た。


男は刃となった手を乱暴に振る。その一撃は完全に遠時を捕らえていた。

「死ねー!」



「残念だがそれは無理だ。 ― 止まれ ―」

遠時が目を見た瞬間、男の時が止まった。


「これで―

遠時は拳を引き力をためた。


「終りだ!」


男は遠時のアッパーカットにより宙にういた。


「俺の勝ちだ」


拳を上にあげ、堂々と言い放った。




― デスティニーチョイス―

自分の寿命の10日間を払い自分が見据えている生物の時を1秒間だけ止められる能力。

「自分の命を払って使う能力か…」


絵里は昨日、遠時に教えてもらった能力を思い出していた。

通り魔の男に勝った後、カードを私に渡して

「俺は疲れたから帰って寝るよ。また明日学校で」と言って帰ってしまったのだ。


(何のつもりかしら。勝ったのは自分なのに)


ブツブツ呟いているとその本人が自転車に乗って伸びをしていた。


「ちよっと神谷君!」

慌てて駆け出して遠時のもとに向かう。


「おっ、香美市か〜おはよう。」

遠時はあくびをしながら呑気に言った。

「おはようじゃないわよ!なんでカードを私に渡したの?」

めんどくさそうにこっちを見る。

「香美市。」

「なによ」

ニッと笑いペダルに足をのせハンドルを握りしめる。


「後ろに乗れよ」

最大の笑顔の遠時。

「えっ、えっと…何?」

「ほら、速くしろ」

絵里は遠時の自転車にまたがり二人乗りで学校に向かった。


しばらくは遠時のペダルをこぐ音だけが聞こえていた。


「ねぇ。どうして協力してくれるの?」


しばらくの無言


そして遠時は口を開いた。

「別に理由なんてないさ。ただ、自分のクラスメイトが困っていて自分に助けられる力があっただけだよ」

遠時は前を向いてひたすらに全進しながら笑いかけた。


「お人好しなのね」

絵里は微笑んだ。

「ああ!かなりのな」


「それなら、まだ協力してくれるかしら?お人好しさん」


「考えとくよ」


二人は笑い合いながら学校の門をくぐった。

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