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グレイトワンダーワールド!  作者: fuu
序章 はじまり〜ある晴れた日〜
1/4

◆開幕!!◆

最初に…色々ごめんなさい。


ドーン!ドーン!ドーン!

段雷(だんらい)が鳴り響く。


私たちアスター家一同は、アジュールの街の特別席のボックスで、この大会を見守る。


「さあ、皆さん!大会の始まりを告げる合図が、たった今、蒼天に響き渡りました!雲ひとつない空、まさにレース日和。世界中の者たちが待ちわびたこのレース!!今、ここに、片足ケンケンレースの開幕を宣言致します…!!」


「本日、実況解説を努めさせていただきます、私、毎度お馴染み、レース協会放送部所属、オールドメゾンです!どうぞ、みなさん、よろしくお願い致します!!そして、実況のアシスタント務めるのは、ソフィです!」


「皆様、ご機嫌よう!只今紹介に預かりました、実況解説のアシスタントを努めます、イロンデルライダー・隊長兼、レース協会放送部所属、ソフィと申します♡世界中の皆様に、この興奮を、この感動を、実況を通してお届け致します!どうぞ、よろしくお願いします♡」


「誰もが、世界中の誰もが待ちわびたこの瞬間。ついに…ついにやって参りました。もちろん、私もその一人であります。ルーエミルの皆さんと契約している他国の皆さんには、各地に設置されています、希少なクリスタルを使用した水晶大画面と、魔導具のスピーカーを通して、今回のレースの熱戦模様をお届けして参ります。」


「実況中継は、我々がイロンデルに乗って行いますが、水晶画面への投影方法につきましては、極秘となっておりますので、申し上げることができません。こちらに関しまして、問い合わせは不可とさせていただいております。ご容赦ください。しかし、我々、レース協会一同、皆様がお楽しみいただけるよう、万全を尽くして参りたいと思います!」


「ええ、そうですね。4年に1度、4年に1度…4年に1度のこのレース。今年も競技者たちによる、熱い熱い熱いレースが繰り広げられることでしょう!!」


「はい!とても楽しみですね!前回は、初参加、史上最年少にして、レースを制したブルー様!今年はどんな戦いを見せてくれるのでしょうか…!私も、大ファンです♡」


「そう、今人気を集めているのは、4年前、初出場、史上最年少にてこの大会を制した、前回チャンピオンのブルー!敬意を込めて、皆がそう呼んでいるこの男!街中で見ない日はない。4年前のあの日から、至る所に、彼を起用したスポンサーのポスターが貼られるようになりました。」


「ポスターだけでも盗難者が現れるほどの大人気!しかし、今年のレースも何が起こるかわかりません!今年も、ベテランも初出場の競技者も、強者(つわもの)ぞろい!どんな展開が待っているのでしょうか…!この日を待ちわびてきた皆様、ご期待ください!予選のタイムアタックでも、すでに波乱が巻き起こっておりました♡」


「今年も、観覧者に棄権者が続出か…!レースで波乱を起こすのは、誰なのか…!選手入場まで、しばし、このレースについて解説させていただいましょう。ソフィお願いします!」


「はい!それでは、この競技につきまして、ルールを説明したします。勝利の方法は、単純明快♡

このルーエミル国、貿易の要、東の港から王都まで設定されたコースを、片足ケンケンにて走り、一番早くゴールした人がチャンピオン!!」


「ただし!!いくつかのルールは守っていただきます。まず、両足を地面についた時点で失格!片足を交互に2回以上地面についた場合と、コース以外を通った場合も失格!そして、なんと言っても、如何なる場合も、相手(ライバル)への(トラップ)や攻撃、自他問わず競技中の魔導具以外の魔法の使用は一切禁止となっております!」


「そうなのです!魔法を使える者、使えない者、両者の参加を認めていますからね♡」


「少々、グレーゾーンもありますが、それらを行なった時点で即失格!己の威信にかけて、ただその足と身体能力、装着された魔導具の性能のみで戦っていただきましょう!我々、レース協会執行部門が、我々と一緒に、随時空から監視を担っております。」

「はい、その通りですね♡」


「そしてこのレース協会、ただ単純に実況解説や監視だけしているわけではありません。コース設定や整備も、勿論仕事のうち!(トラップ)は、こちらにお任せください。レース協会コース設定部!競技者には過酷な試練が待ち構えているやもしれません…!」


「身分も年齢も性別も、国籍もここでは関係なし!ただただ己を信じて戦うのみでありまーす♡」


「この競技への参加をお考えの皆さんに、補足でご説明致します。競技者は、偽名で出場可能。顔を隠す仮面やマスクの着用が認められています。公に素性を晒す必要はありません。ただし!このレースに登録する時のみ、厳正な審査を行う為、本籍・本名・年齢等々必須、つまり世界共通パスカが必要となりますので、ご参考まで!」


「何か有事が起こっては、大変ですからね!危機管理もしっかりと行なっております!」


「万が一、事故やトラブルに備え、緊急対処隊と、ヒーラー数名が待機しております。緊急事態には、各選手に一つお渡しするコンパスの裏にある、非常ボタンを強く押して貰えば、駆けつける仕組みになっています。観覧者の皆さんも、ご安心ください。」


「そしてー!これはかなり重要な確認事項ですが、選手自身の魔導具装着可!となっております♡」


「そうです!これぞレースの要!レース協会魔導具部の厳正なる審査の上、レギュレーションをクリアした魔導具につきましては、競技中の装着が認められています!マントやブーツに魔導具を仕込みたい方、そのほか持ち込みなど、詳細なレギュレーションを確認したい方は、レース協会広報部までお問い合わせください。」


「レースの説明は、以上となります♡」


「ソフィ、ありがとうございます。後は、今回のコースの説明ですね。」


「はい、畏まりました!これから数時間!本来街道を使うと王都まで徒歩2週間、馬車で1週間弱の道のりを、街道を途中迂回して、山間部を通って、アジュールに入り王都を目指すコースとなっております。」


「東の港を擁するジニア侯爵領をスタートすると、一つ目の街、をそれ、森へと向かいます。森の先には湿地帯。そこを抜けると標高約1500mエクレア山。山道を下り、アジュールの街に入り、シュヴァリエの街を通って、王都の広場のゴールを目指します。」


「ただの片足ケンケンでも過酷な長距離を、たった数時間、そして数々の罠をくぐり抜け、ゴールを目指す、鬼畜な所業のこのレース♡」


「誰が始めたかは、現在も不明!しかし!選手たちの覚悟は固い!さあ、このスタート地点、東の港の会場も、盛り上がって参りました!皆さんの熱気、そして選手たちの熱気、ものすごく伝わってきております!競技者入場は、間も無くです…!!」


ザワザワ。

各地で観覧者たちは盛り上がる。



ドーン!

号砲一発、鳴り響く。


「さぁ!選手、入場の時間がやって参りました!予選のタイムアタックでの、上位10名が、有利な位置からスタートできる仕組みになっております。」


「入場は、下位の方からの入場となります♡それでは、参りましょう!」


「まず先陣を切って入場するのはー!!この方!!

出場回数は、どうやら2回。前回大会全く記憶にありません。しかし今回!そのリベンジを果たすのか!?

中肉中背、特徴のなさが、逆に特徴的!向かい風のエリオポール!」


うん…?

わー!パチパチパチパチ!

一瞬遅れて、とりあえずの歓声と拍手が聞こえる。


「続きましては、この方。

片足ケンケンとは、かけ離れた足の動き。まるでダンスのステップように、月面歩行のように、片足を駆使する男!初めて観た時には、衝撃を受けました!もちろん、基準をクリアしています。

片足ムーンウォーカー!ミシェル!!」


ヒューぅ!わー!ミシェルー!大好きー!と、歓声が聞こえる。

一部の人たちに、割と人気の選手のようだ。


「続いては!

今年も、その甘いマスクに観覧者に棄権者続出か…。少々ナルシスト気質、しかしそんなことはなんのその!どれだけ泥に塗れても、どれだけ仮面で顔を隠しても、気高いその気品が失われることはありません…!!

ぬかるみの貴公子…!フラック!!」


フラック様ー!!愛してるー!こっち向いてー!ナルシストー!

ディスられてるけど、ご婦人人気が高いようだ。


「続きましてー、

この人も決して忘れることはできません…。

甲冑のコスチュームで、雄叫びをあげ、疾風怒濤の走りかと思いきや、なんと軽やかで繊細な走りである事か…!

変わった形の甲冑コスの隙間から覗くその美脚。そギャップにやられる人が毎度続出、年々ファンを増やし続けていると噂この人!

美脚の戦士!イヴォンヌ!!」


うぉー!もっと脚見せろー!イヴォンヌー!頑張ってー!!

美脚の秘訣はー??

切実な質問が聞こえたが、男女問わず人気が高いようだ。


「続いての登場はー!そうです、この人です。

人智を超えた身体としか言いようがありません。うん億人に一人、かもしれない、その足首の持ち主。

常に先頭集団に入ってレースを引っ張ってきた、この人は、出場5回目にして、栄光をつかみ取れるのか…?!

マッハの足首!シェヴィル!!」


シェヴィルー!今年こそ優勝しろー!足首大丈夫ー?その足首、俺に診させろー!

尋常じゃない足首を心配する声が多いようだ。


「続いて…!おっと!こちらは、初登場!

新星、つまり、期待の星!仮面から覗かせる可愛いらしい雰囲気とは裏腹に、猪突猛進のその走り!

それ以外は、情報数が少なすぎて、未知であります!

さて、このレース、どうやって盛り上げてくれるのでしょうか!

初登場、飛脚のアルティン!」


ヒュー!女の子だ!可愛い!走れるのか?

初登場の彼女に色んな声が浴びせられる。

思わず応援したくなる子だ!


「続きましての登場は…!

彼女もまた、間違いなくレースを毎年盛り上げてくれる一人となりました。出場回数3回。常に上位争い。

仮面から滲むその美貌、抜群のスタイル、魅惑的な身体で駆け抜ける姿は、軽やかで美しく羽を広げて飛び立つ鶴の如し!

女性初の優勝者となるのか?!

雲中白鶴!追い風のジェーン!」


ヒュー!ジェーン!俺の所へ飛んでこーい!ジェーン姐さん!今年そこ!応援してるー!私たちの分まで、頑張って!

男どもの下心ある声援も聞こえるが、同世代や年下の女の子たちからの声援が大きい!



「さあ!さあ!さあ!さあ!

ついに、この男の登場です!

ゆっくりと、今、ゆっくりと自分のポジションに向かっていく、その背中。

最年長にして過去最多出場10回、優勝回数4回を誇るこの男!

作業着に覆面マスク、一見すれば、ただの強盗。その上着を脱ぎ捨て、タンクトップにマントを付ければ、早替わり!弟子と家族、そして真面目に働く者たちのヒーローであり続ける!

生き様は、背中で語れ!親指のボス!グロウ!!」


ドカーン!そのくらいインパクトのある歓声だ!

誰も彼もが応援しているかのよう、まさに最年長のヒーローだ!


「残すところは、あと二人!

おーっと!?こちらも初登場であります!これは、波乱の予感か?

予選での見事な走り。トップとコンマうん秒の差…これはもしかして、またまた女性ファンをさらっていくことになりそうだ!羨ましいぞ、その容姿!

予選の走りだけで、この異名を獲得した男!果たして、果たして、この本番でもその走りを見せつけてくれるのか?!

悪魔の左足!ディアクロー!!」


おぉー!新人かー?期待してるぞー!あいつを王座から引き摺り下ろせー!イケメーン!こっち向いてー!

女性に向けて微笑んで手を振れば、たちくらむ女性が続出する。


「選手入場も、最後の一人となりました。みなさんお待ちかね!!

予選一位通過、前回大会では、最年少、初登場でその栄光を掻っ攫い、一躍時の人となりました…

まだ記憶に新しい、前回大会。その影響も人気も、今日まで衰え知らず!今や、街中でこの人のポスターをみない日は、ない!!

色んなスポンサーを味方につけ、多くのファンも味方につけ、今回も…、今回も、満を辞しての登場です。

それは、天からの贈り物か、それとも、この人自身が天なのかー!

今年のポールポジションは、それはもちろん、この人!

神の右足ー!!ブルーラエド!!!」


観覧者たちはうわぁー!!きゃーーー!!!と爆発的に盛り上がる。

今年もやってまえー!!期待してるぞー!お前に賭けてる!ブルー様ー!結婚してー!投げキッスしてー!


う…ん、ものすごく人気なのは、よくわかった。



「さあ、選手出揃いました。」

「レースはまさに戦場。スタートグリットでは、激しい睨み合い♡」


「各選手、ウォーミングアップはバッチリか!後は、スタートの合図が鳴り響くを待つばかり!!」

「全員がライバル同士!!熱い、熱い、熱い火花が飛び交います♡」

読んでいただき、ありがとうございます!

今年も、よろしくお願いします!

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