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殺しアイランド~ザイキン12個集めてみた~  作者: 葵尉
1章 12人のザイキンとゆかいなタマゴ
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4 殺人コンテスト開始だよー!

4 殺人コンテスト開始だよー!



 この子供のような声は一体どこから出ている? 


 森か? 海か? あの黒船からか?──いや、もはや島全体から聞こえているような気がする。具体的にどこから出ているのか分からない。


 ???《もー! みんな僕を仲間はずれにして、勝手に盛り上がるなんてずるいずるーい! これからは僕の言うことをしっかりと聞いてもらうからね!》


 気弱そうな男「あの船、何か映ってる」


 声の主は巨大な船の横腹、黒い鉄板に映像として現れ俺たちを怒鳴った。


 しかし見た目は可愛い子供だから全く怖くはない。私立小学校らしき黒い制服を着て黒いランドセルを背負っている小学生くらいの少年。


 彼は薄暗いその部屋で社長椅子に座ってマイクを持っている。


 僕という一人称がとてもよく似合うおぼっちゃま──という見た目だがレモンのように黄色い髪の毛が不思議なオーラを放っている。


 眼鏡のおじさん「あれはプロジェクションマッピング? どこから投影を?」


 太った男「あれだよ」


 眼鏡のおじさん「あ〜。ドローンですか」


 気弱そうな男「結構な数が飛んでる。種類もいくつかあるね」


 眼鏡のおじさん「よく統率がとれていますね。にしても映像も鮮明だ。鏡みたいに映っていますし」


 そのカタカナの言葉に詳しそうな彼らがこんな時に少し嬉しそうに話している。さっき風が吹いて鳥が飛んだと思ったがどうやら正体はあの無人機(ドローン)だったらしい。


 それにしても見たことない数のドローンの群れ。数えるのも嫌になる。気持ちが悪い。


 ???《おーい!そこの変態メガネオヤジとキモデブオタと引きこもりニート》


 名前を呼ばれたわけでもないのに太った男、眼鏡のおじさん、気弱そうな男の3人が黙って船に注目する。


 ???《僕の話聞いてた? みんなも良い?勝手に喋らないでね。これはね、学校の朝会と同じなんだよ。つまり僕は校長先生ってこと。わかるかな?》


 どうやらあいつは俺たちの様子がリアルタイムで分かるらしい。ならばこの島のどこかのカメラから俺たちを見ているということになる。


 いや、それよりもあいつと会話ができるんだ。なら早くこの状況を説明してもらおう。


 「あのさ──」


 ???《次勝手に喋ったやつ、殺すからね》


 機械を通した子供の声とはいえその本気の殺意は十分伝わる。俺はつい両手で口を押さえていた。


 ──って、アホらしい。小学生が言っていることだぞ。なんであんな子供の脅しに屈したんだ。殺すなんて子供がよく言う冗談だろ。


 「なあ、俺たちはどうしてこの島にいるんだ?」


 ???《はーい。主砲はっしゃ〜!》


 モニターの中の小学生が俺を指差す。それを合図にしたのか船の甲板から何かがロケットのように発射された。


 空へと上昇していくそれに目線を上へ上へと釣られる。それは船の遥か上空、俺たちを完全に見下ろす位置まで上がると、そこから一気に急降下を始めた。


 今更気が付いたがそれは俺の方を向いている。俺に近づいてくる。迫ってくる。徐々に視界の中のそれが大きくなっていく。それの正体はペットボトル──


 外国人「バカ野郎ふせろ!」 


 吹っ飛ばされるほどのタックルに俺の肉体は地面に叩きつけられた。土に頭を打つと同時にそのペットボトルは後ろの木に激突。耳の奥が振動する聞いたことのない衝撃音が響く。


 土煙と緑色の葉が舞い吹っ飛んで来た小石と枝が俺たちに降りかかる。


 ──何が起きた?


 清楚そうな彼女「大丈夫ですか?」


 「・・・あ、ああ。ありがとう」


 その人──俺と同い年くらいの彼女は自分も立ち上がれずにいるのに俺の心配をしてくれた。


 土で汚れてしまった白いシャツに青いスカート。もしも汚れていなければ長い黒髪の彼女によく似合っているんだろうな。

 

 そして、こんな時でも素敵な笑顔ができる彼女。この島にいなきゃ今頃代々木公園あたりでデートに行っていたんじゃないだろうか。


 そう、可愛い子には出会った時から彼氏がいると決まっている。──って、何のんきなことを考えているんだ!


 外国人「2人ともつかまれ」


 白く繊細な手から一転、男のたくましい手を借りて俺は立ち上がる。立ち上がった俺の足は今も震えが止まらない。

 

 俺がさっきまで立っていた場所からは花火が噴出している。飛んで来たペットボトルが直撃したと思われる木の幹は、深く(えぐ)れていた。

 

 これが当たっていたら体は粉砕されて肉片になった俺がその辺に散乱していただろう。


 爽やか野郎「これがペットボトルロケットってやつか。おもしれー」


 スーツの女性「あなた・・・ほんとうの馬鹿なの? もしも本物のミサイルだったら全員死んでたのよ!」


 赤い髪の女「てーか。喋るのはマジでやめたほうが良いと思うよ」


 悔しいが赤髪の女の言う通りだ。あの小学生は本気で俺を殺そうとした。


 なんでだよ。なんであいつはこんなことしたんだよ。


 ???《本当なら今の花火はこの後の、とある発表の時に使う予定だったんだよねー。台本もあったんだよ?》


 ???《だけどもう言っちゃうね? 良いかな? 言っちゃうよ?》


 発表? 台本?なんのことだ。こいつは何を言うつもりだ。今度は一体何をする。


 ???《えー。12人の犯罪者の皆様!いきなりではありますが〜。今から殺しのための! 殺しだけの! 真のデスゲーム!》 


 ???《()()()()()()()を開始します!》


 目が覚めたら知らない島。地震かと思えば海には巨大な黒船。小学生に殺すと脅されてペットボトルのミサイルに襲われた。不思議の国の少女もびっくりの夢。


 ──だが、今の発表ほど最悪なおとぎ話はない。


 12人の犯罪者。真のデスゲーム。そして殺人コンテスト。


 こいつは何を言っているんだ!?


 真のデスゲーム?

 12人の犯罪者?

 殺人コンテスト?


 ???《いや〜。やっと言えたよ。僕だって本当は早く言いたくて言いたくて、たまらなかったんだよ?》


 ???《なのに君たち勝手に色々始めちゃって、タイミングが作れなかったんだよね。あっ、もう喋っても大丈夫だよ。とにかくこれを言いたかっただけだから》


 喋っても大丈夫と言われたが当然こいつに話しかける気にはならない。


 別にあの子供を信じられなかったわけではないが、もうミサイルは撃たれたくはない。それでも聞きたいことは山ほどあるのは確か。誰かがあいつに話しかけて──


 爽やか野郎「なんだ?どうしてみんな黙ってんだよ。もう喋っていいんだぜ?」


 こ、このバカはすごい。普通に喋り始めやがった。でも、何も起きない?


 この大学生には先ほどから呆れていたがナイスだ。おかげで安全性が確保された。これで話せる!


 「どうして俺たちがこの島にいるのか教えろ! ちゃんと家に帰れるんだろうな!」


 ???《どうして?どうしてってそりゃ〜。君たちが選ばれた犯罪者だからだよ。家に帰りたいの? でも君の家って牢屋だけどいいの?》


 「さっきからお前は何を言っているんだ! 俺たちが犯罪者? 家が牢屋? 嘘を言うなよ!」


 ???《あひゃひゃ! おっもしろーい! 嘘を言っているのは君だよ?()()()()()()()()()()()


 ──今、こいつが言ったノリト(タスク)。それは、俺の名前だった。

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