62 ここは人を殺す島
62 ここは人を殺す島
「違うんだレイナ! 誤解しないでくれ別にこれはイチャイチャとかじゃなくて!」
レイナ「わわわ! 分かっていますよそのくらい!」
漆(全然分かってないじゃないの)
「これは・・・俺たちが漆を殺す前に、死なないために行った治療だ!」
レイナ「えっ、えっと、え!?」
今はこう説明するしかない。普通に聞こえる声で〝実は今までの漆との殺し合いはタマゴを殺すための訓練でした〟なんて言えない。
けど、ここからどうやってその説明に繋げたら良いものか。助けを求めるように漆を見つめる。何かこう、俺とレイナが2人きりになれるように演技をしてくれ!
そんな念を察した漆は、舌打ちをして脳内ですぐに書いたであろう台本を読み始めた。
漆「なんだよ結局2人はデキてるのかよ!せっかくノリトきゅんに治療してもらえたから、本当はわたちの味方だと思ったのに、ざーんねん」
彼女はそのまま洞窟の方へと帰って行った。余計なことをほざいていたがまあ、名演技だ。
レイナ「タスクくん──」
「ご飯。食べよっか」
******
────砂浜
「そっちのおにぎりなんだった?」
レイナ「ツナと山菜と梅干しです」
「梅干し食べれるっけ?」
レイナ「好きではないですけど、体に良いから食べますよ。疲労回復の効果もありますから!」
「じゃあ俺の1つ貰ってくれる?」
「その歳になって好き嫌いはダメです認めません却下します」
違うんだ。話たいことはこんなことじゃなくて、タマゴを殺す計画を説明しなきゃいけないんだ。でも、こんな可愛い顔でお説教してくる彼女を見てしまうと、やっぱり血生臭いことは教えなくても良いんじゃないかって思う。
けどそれは、俺が俺自身から逃げていることでもある。そこまで分かっているのにやっぱり逃げてしまう。彼女だけは失いたくない。
レイナ「──私、死ぬ覚悟なら出来ていますよ。さっき漆さんと殺し合いをしても大丈夫でしたから」
「な、なんの話?」
レイナ「タスクくん私に何か伝えたいことありますよね」
「・・・バレてた?」
レイナ「タスクくんは何か大事な話をしたい時に限って、どうでもいい話をするクセがあります。まるで時間稼ぎのような」
「ああ、その通りだよ」
思わず笑ってしまった。このクセは今までも友達や親に指摘されたことがあった。まさか彼女にまで言われるとは思わなかったな。
チカイ「食べ終えたら波打ち際を散歩しませんか? 私も話したいことがあるので!!」
彼女は海のむこう、遥か遠くの人に届けるように大声を出した。なんでそんな不自然なことをしたんだろう。タマゴのことを警戒してくれたのかな?けどこれで、タマゴ殺害計画を説明する機会ができた。




