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54 ラストコンテスト

54 ラストコンテスト



 タマゴ《最後の殺人コンテストの条件は2人を殺すこと!これさえ守ればどんな殺し方でもいいよ》


 タマゴ《僕の元に来るのが誰なのか楽しみに待っているよ。それじゃあまたね〜!》


 「おい待て!こっちはまだ──」


 漆「質問には一切答えませんってか」


 奴はいつも通り映像と共に姿を消した。波の音と島を通り抜ける風が木々を揺らす。この島はこんなにも静かだったんだと砂浜に残された俺は感じた。


 ツエヘシ(タカシ)、マイジ博和(ヒロカズ)


 シドウ大誠(タイセイ)


 ウラハ輝陽(テルヒ)、ギンターアッシュ。


 サイセありや、ギヨウ恵子(ケイコ)、キケツ藍也(アイヤ)


 アスカ妃美子(ヒミコ)──9人がこの島から消えた。


 いっそのこと早い段階で死んだ方が楽だったんじゃないかと正直思わなくもない。


 でも俺は()()()()()()()


 どうせここまで残ってしまったのなら、俺は生きて島から出てやる。


 レイナ「最後の殺人コンテストはどんな殺し方でも2人を殺せば良い・・・」


 レイナ「きっともう始まっているんですよね?」


 漆「そうだよ。もはやコンテストでもなんでもない。ただの殺し合い」


 漆「今すぐ首を絞めて殺しても良いんだ」


 「漆。お前は俺たちを殺すつもりでいるだろ?」


 俺は身構えた。次の瞬間には彼女が俺の首を絞めるはずだから。しかし漆はその場に座り込んで考え込む。まるでこの殺し合いには興味がないかのように。


 漆「──もしも、今までと同じルールだったなら私はあんたらどっちかを助けてやろうかと思った」


 漆「けれどタマゴは意地でも殺し合いをさせたいらしい。なら殺すしかないのかなって、今考え中」


 こいつらしいな。自分が死んで俺とレイナ。2人を助けはしないか。


 漆「とりあえず今日は今すぐ殺したりとかはしないけどあんたはどうなの? 私を殺すの?」


 「俺は……生き残りたい。生きたいんだ。島から出たい」


 「でもせっかくここまで一緒に過ごしてきた2人を殺したくはないよ」


 レイナ「私は死ぬ覚悟は出来ています。正直私はなんとなく最後まで生き残ってしまった人間ですしそれに、殺人犯ですから」


 漆「いやそれなら私もノリタクも殺人犯だけど」


 「そうだよ。どうして急にそんなネガティブになるんだよ! 3人で出ようってさっき言ったじゃないか!」


 張本人がそういうもんだから俺と漆は詰め寄った。けどレイナは来るなと手を突き出す。

 

 レイナ「でもそれはルール的に無理じゃないですか!だったら私は、その席を譲ります」


 砂浜に座り込んだレイナはおもむろに自身の胸の中に手を入れて、そこから透明な袋を取り出した。中には錠剤のようなものがいくつも入っている。それがなんなのか、検討はつくが──


 「それは?」


 レイナ「睡眠薬です」


 漆「こんな大量にどこで」


 漆はその袋をまじまじと見つめる。とても無防備な背中。今なら俺でも殺せてしまいそう。そうか、こういう殺り方なら俺でも・・・


 レイナ「夜眠れないからとタマゴにお願いして、今まで毎日荷物で貰っていました──」


 レイナ「痛い思いをして死ぬのは嫌だったから」


 漆「・・・なるほど。今すぐにでも死ねるんだ」


 レイナ「はい。死んで欲しい時に言ってくれれば──」


 〝ばちん〟


 微笑んで返事をしたレイナの頬を漆がぶった。俺が叩こうとしたよりも速く、そして強く泣かせる勢いでぶった。男の俺だったらこんなに強くぶてない。レイナはそのまま崩れて砂の上で固まる。


 漆「気に食わねえ! ()()()()のそういうところが大嫌いだ!」


 漆「なに笑って死ぬとか言ってやがる。どうして簡単に生きることを諦める!」


 漆「どうせお前は何も苦労をせずに生きてきた。生きることの贅沢さを知らないで生きてきた。だからそんな簡単に死ぬとか、自分の命を軽く見る」


 呆然とするレイナに迫る漆。止めようと背中に触れた俺の手は虫のように払われる。ダメだ。こいつ、今までで一番キレてやがる。そして、泣いてやがる。


 漆「食べるものも寝る場所も守ってくれる親も! 何不自由なかったんだろ!そんなに軽い命なら私が殺してやるよ。そしたら生きたいと思えるよ!」


 漆「殺される寸前で誰もが生きたいと思うんだ!どんなに死にたいやつでも、死ぬ直前は生きたいと思うんだよ。思うものなんだよ・・・絶対に!」


 怒った漆の目から涙が零れる。彼女は泣きながらレイナの胸ぐらを掴み、その熱い気持ちを彼女にぶつけた。


 このままでは漆が本当にレイナを殺しそうだったので俺は漆を彼女から引き剥がした。その際漆は無抵抗だった。レイナは震えている。ビックリしたんだろうけど、怯えてはいない。


 まあ、今は2人とも何を言っても俺の声が聞こえないだろう。


 「あ、頭を冷やせよ漆。お前に何があったかは知らないけどさ、お前本当は誰も殺したことないだろ」

 

 「むしろ誰よりも命と真剣に向き合って生きて来たんじゃないか」


 漆「そんなことないね。私は今まで少なくとも1人は殺したよ」


 なんだ、真面目に答えるほど冷静かよこいつ。油断できないなほんと。


 「・・・俺はチカイを洞窟に運ぶよ。お前は?」


 漆「言われた通り頭を冷やしてくる」


 俺の言うことをすんなりお前が聞くなんて、調子狂うぜ。


 レイナと洞窟へ向かう途中、俺はなんども後ろを振り返った。周りを警戒した。しかし漆はその日、俺たちの前に現れることはなかった。

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