53 言い残したこと
53 言い残したこと
タマゴ《それじゃあ鬼さんアスカ妃美子の処刑の準備よろしく〜!》
レイナ「逃げてアスカさん!」
漆「無駄よ。あいつはもう放心状態。それに罰を望んでる」
アスカの元にやってきた2体の赤鬼。彼らは彼女を縄で拘束した。当然、武器となる日本刀は没収。鬼はそのまま罪人を船の甲板という処刑場まで連れ出す。
先ほどまでキケツと鬼の対決ゲームが行われていた甲板。だがその痕跡は爆発後に綺麗さっぱり無くなり処刑場の準備を鬼たちがしている。
レイナ「結局、キケツ藍也は死んだんでしょうか」
漆「ゴミとして瓦礫ごと海に捨てられたんでしょ」
レイナ「犯罪者だから、人を殺したから、どんな風に扱っても良いなんて私は間違っていると思います」
漆「今更それ言うの? それにそういうのは私たち犯罪者じゃなくて、一般人が言うもんでしょ?」
「でも実際チカイの言う通りだろ。俺たちが犯罪者だとしても、こんな風に殺されるのが当然なのかよ?」
漆「そういう議論は国に帰ってからたくさんしてよね〜」
タマゴ《お待たせしました〜! これより殺人者、アスカ妃美子の斬首刑を開始しまーす!》
甲板には時代劇のようなセットが出来上がっていた。
いかにも偉い役人が座っていそうな高い台とその前で正座をするアスカ妃美子。
こんな光景を俺はテレビで見たことがあった。だいたい白い服を着ている罪人が斬られるんだ。いや、あれは切腹とかだっけ?
何にせよ。彼女はもう助からない。本人も死を覚悟しているのだろう。すでに死んだかのように落ち着いている。
せっかく脱出できたかもしれないチャンスだっただけに、彼女がこうなるのは残念だ。やっぱりあの時、ニセタマゴを殺さなければ良かったのか・・・いや、どっちみち変わらない運命か。
漆「いつも思うけどタマゴっていい趣味してるよね。斬首でやられたから、斬首でやり返すなんてさ」
レイナ「確かに準備が良いですよね。まるでこうなることを知っていたような」
「自分が死ぬ時にどうなるのか、少し気になるな」
レイナ「や、やめてくださいよ! もう誰も死にません。3人で島から出るんですから!」
漆「──待って。その3人って……私が入ってるよ? 2人の間違いじゃないの?」
「何言ってんだよ漆。お前意外と真面目なのか?」
漆「うるせえよアホクソ童貞」
・・・くぅ〜。殺してぇ〜。
タマゴ《ちょっとちょっと砂浜組! ちゃんとこっちも見てよね!》
「ああ、見ているよ」
アスカ妃美子は首を斬ってくれと言わんばかりに下を向いていた。おかげで横に付いている見張りの赤鬼は何もすることがなく、ただ立っているだけ。
今か今かと刀を待つアスカ。その首の元にやっと刀を持った赤鬼がやって来た。タマゴを処刑した彼女のように刀を首に当てる。
その刀は先ほど没収されたアスカの刀。鬼が持つとより刀の武器としての魅力が増す。あれならこの島の木でも一刀両断してしまいそう。
タマゴ《アスカ妃美子。言い残したことはあるかしら?》
アスカはその問いに少し微笑んでモニターの中のタマゴに答える。
アスカ「ぷっぱか。ぷっぱか。ぷっぱかプー」
タマゴ《ふふっ。復活するといいね!》
──鬼が刀を振った。それは一瞬の出来事。わずかな黒髪が舞い頭が空へ跳ね上がる。その下では血の虹が出来上がった。
主を亡くした彼女の体はぽてんとマヌケに倒れ、その横に頭が落下。それを鬼が拾い晒し台に飾るまで時が止まっているようだった。
レイナ「……アスカさん」
漆「晒すのは流石に悪趣味が過ぎるわね」
タマゴ《さてさて未だに生きている罪菌──ノリト翼、チカイ零那、漆幸香》
タマゴ《君達さっき3人で生きて帰るんだ的なキモいこと言っていたけどさ、いつ僕がこの殺人コンテストが終わったなんて言ったの? 悪いけどさ、最後の1人になるまで続くよ?》
レイナ「もう十分じゃないですか!」
タマゴ《十分?別に何も十分じゃないよ。そもそも君たちはこの島で死んでもらうために呼ばれたんだからさ》
漆「最後の1人になるまでってことは、次に私が2人のうちどっちかを殺して、私が脱出すれば残ったそいつは何もしなくてもこの島から出られるってこと?」
タマゴ《そうならないために最後は特別ルールだよ! なんと最後は──1人で2人を殺してもらいまーす!》




