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殺しアイランド~ザイキン12個集めてみた~  作者: 葵尉
5章 殺人と処刑ソースのハンバーグ
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46 一途な吸血鬼

46 一途な吸血鬼



 ギヨウ「わ、私をハンバーグに!? ちょっと落ち着きなさいよ! それに恨みってなんなのよ!」

 

 キケツ「とぼけるなっ! 君がサイセありやを殺したんだろう?」


 後ずさりするギヨウに、キケツは一歩一歩確実に間合いを詰める。


 今すぐ逃げればギヨウは助かるだろう。でもいざという時に体は動いてくれないものだ。

 

 ギヨウ「私がサイセちゃんを殺した……? 嘘を言わないでくれる?」


 キケツ「嘘を言っているのはお前だ! その手に持ったハンマーはこれからサイセありやに使うつもりだったんだろう!」


 ギヨウ「おかしなことを言わないで!サイセちゃんは生きているし、これはあなたからあの子を守る護身用のための──」


 吸血鬼は彼女の話を聞こうとしない。接近して(なた)を持つ右腕をぐわんと振り上げる。


 それはすぐにギヨウのハンマーを持つ右腕目掛けて振り下ろされた。脱力し重力に任せたキケツの一振りはとても綺麗な動作。


 その為か、たったの一振りでギヨウの右腕を切断した。


 ハンマーと共に宙を舞う彼女の右腕。ギヨウは自分の腕から吹き出す赤い噴水を黙って見ていた。


 彼女がそれを血だと自覚した時、聞くに耐えない彼女(おばさん)の叫びが始まった。まるで獣の咆哮。


 その場に膝をつき苦しみもがくギヨウ。


 どうにか止血をしようと残った左手で押さえつけるが勢い止まらず血液は溢れ続ける。


 その隙を見てキケツは切断されたギヨウの右腕からハンマーを奪った。

 

 キケツ「さてと、料理の時間だ」


 うずくまるギヨウの前に仁王立ちするキケツ。両手には鉈とハンマー。


 俺はこれから人が惨殺される瞬間を見ることになるだろう。今助けに行けばそれを見なくて済むかもしれない。


 しかしギヨウ恵子(ケイコ)はサイセありやを殺した──()()()()()()


 な、なら助ける必要なんてないよな?どっちにしろもう手遅れだし。


 キケツ「さーて、どこから()()()()()()? 左腕? 足?それとも〜。顔からいくかい?」


 キケツの腕が上下に動く度に彼女の苦しみの叫び声が森に響く。


 なんどもなんども彼女の悲鳴が俺たちに助けを求める。耳を塞いでもそれを振り払う悲鳴。


 もう、(あたま)から離れないほどギヨウの叫びは続いた。きっとこの悲鳴は死ぬまで俺に付きまとう呪いのようなものになるだろう。


 もうやめてくれ。もう聞きたくない。もう良いじゃないか。悪かったよ。助けなかった俺が悪かったよ。


 キケツ「ほら見えるかいギヨウ恵子。これが君の左手だ。こっちの右手と握手をしてあげようかね。そしてこれが腕。綺麗だろう?今取ったのが耳だ。まだ右の耳はあるから聞こえるだろ?おいおーい。生きているなら返事をしろよ。しないならその口に鉈をぶち込むよ?」


 ドチャ──その気色悪い音を最後に叫び声は聞こえなくなった。


 その代わりピチャピチャと、水遊びをしているような音がする。だが遊びとは無縁な音。


 それとあの殺人鬼の笑い声。硬い何かを砕く音も聞こえてくる。


 これ以上ここにいてはいけない。聞いてはいけない音ばかり流れてくる。


 「もう、行きましょう。今なら逃げられます」


 レイナ「アスカさんは行かないんですか?」


 アスカ「──私は最後まで見届けるわ」


 こんなものを何故最後まで見届けるのか俺には察しがついていた。いや、彼女がそう言ったことで()()()()


 だから何も言わずにその通りにアスカを置いてレイナと砂浜へと向かった。



 ────砂浜



 先ほどまでの悲惨な光景とは無縁な白い砂浜が見えると同時に、そこに赤い髪が見えた。漆だった。


 彼女は赤色の長細い箱を2つ繋げてベンチ代わりにして、ただ座って海を眺めている。


 きっとあの赤い箱にさっきの凶器が入っていたんだろう。

 

 レイナ「近づいて大丈夫でしょうか?」


 「大丈夫だよ。だってもう殺人コンテストはキケツが参加して終わりだから。それに道具もないし」


 漆は俺たちが近づくとベンチから立ち上がりこちらへ歩いて寄って来た。


 漆「なんだ生きてたの。で、誰がキケツに殺された?」


 「ギヨウ恵子だよ。それとサイセありやも()()()()()()()

 

 漆「へ〜。それはそれは、面白いことが起こったね」


 彼女の声は茶化す感じはなく冷静。彼女も俺と同じく何かを察しているんだろう。


 念のため漆に今まで何をしていたのか聞いてみると、ギヨウ恵子の悲鳴が島中を包んでいた中、漆はずっとここにいて海を見ていたらしい。


 「意外だな。お前は誰かを殺すと思っていたよ」


 漆「私はハンバーグなんて酷い殺し方は嫌いなんだよ。安らかに一瞬で殺したい」


 恐ろしいことを言っているのは変わりないが、これまでになく真剣な表情で喋る彼女からは殺し方に対する拘りのようなものを感じた。


 漆「そろそろタマゴの放送が来るだろうね」


 すぐに漆の言った通りになった。タマゴの放送はいつも通りに〝砂浜に集まれ〟というメッセージ。


 今までは覚悟をして集まっていたが今回はもう全てを見て来た。何も感じることはない。とっとと終わって欲しい。


 キケツが脱出しようがしまいがどっちでもいい。とりあえずあいつがいなくなれば、少しは島が平和になる気がするよ。

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