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殺しアイランド~ザイキン12個集めてみた~  作者: 葵尉
4章 第2回殺人コンテストお題は「鍋」
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43 負け負けの負け

43 負け負けの負け



 ギンターが持っていた銃の口からは今も煙が出ている。


 その数秒前に何があったのか。知りたかったのはタマゴも同じ。


 タマゴは数秒前──投手の赤鬼が投球を行う時のモニターの映像を再生した。


 見ると赤鬼がグローブを構えた時ギンターはバットを捨て、自分のズボンのジャージに手を突っ込んだ。


 そして股の下辺りから彼の手の平よりも小さい銃を取り出していた。一瞬で銃を構えたギンターは引き金を引く。


 放たれた2発の銃弾は正面にいる投手の赤鬼の頭を撃ち抜く。銃弾が抜ける度に赤鬼の頭から血液が噴き出ていた。いくら鬼とはいえ当然マウンドに倒れる。


 こうしてギンターが銃で鬼を殺した瞬間を全員が目撃した。


 さて、タマゴはこれにどう対処するだろうか? それが気になっているがタマゴは一連の映像を再生し続けるだけで、まだ自分の姿をモニターに出さない。


 ギンター《投手がいなくなっちまったなタマゴ。これじゃあ試合続行は出来ない。俺の不戦勝で良いのか?》


 今さっき鬼を撃ったギンターは怖いくらいに冷静だった。撃たれて死んだ鬼の正体は分からない。


 もしも人間だったらギンターは人を撃ち殺したんだ。それなのに彼はタマゴに平然と話しかけることが出来る。


 タマゴ《・・・僕の負けだよギンター・アッシュ》


 ようやくモニターに姿が出たタマゴ。いつもの子供の声が少し歳をとったように聞こえた。


 驚くことにギンターが銃を使ったこと、鬼を殺したことを一切責めなかった。


 キケツ「あ〜!なるほど。鬼は殺してもルール違反にはなら──」


 タマゴ《一体なんのために! お前たちの服装をジャージにしたと思っているんだ!!》


 ギンター《タマゴさん。一番大事なところは他人に任せちゃいけないよ》


 タマゴ《そういえばお前たち持ち物検査っぽいことをしていたよな! 誰だ? 誰がギンターの体をチェックをした? こたえろ!》

  

 ギンター《さてね。()()()()()()。そもそもそんなものはしていないかもしれない》


 俺は心臓が止まりそうな思いで怒るタマゴと冷静なギンターの会話を聞いていた。もちろんみんな俺がギンターの身体をチェックしたのは知っている。


 だが誰も俺の名前は出さないでいてくれた。タマゴもこの状況を見て諦めたのか、がくりとうなだれる。それは初めて見たタマゴの敗北の瞬間。


 タマゴ《──おめでとうギンター・アッシュ。君は見事殺人コンテストに合格してこのミニゲームにも勝利した。今日から君は自由だ!》

 

 島中におめでたい雰囲気の音楽が流れる。初めて聞いた音楽だ。この時のための物だろう。まさかあの理不尽なミニゲームの成功者をタマゴが想定していたとは・・・。

 

 モニターに映るギンターは最後にこちらに手だけを見せてバイバイと横に振った。


 音楽の終了と共に彼の姿もモニターから消える。映像が消えるとすぐに黒船が海の中に潜り始めた。どうやら本当に島から離れるようだ。


 彼が生存したままこの島から出ることにまだ実感がない。でも嬉しさは込み上げてきた。だってもう、この殺人の島で暮らさなくて良いんだから。


 ギンターは戻ってきてくれると約束した。そのために彼はウラハを殺したんだ。


 もう数日の辛抱だ。彼の母国であるアメリカの軍隊がきっと俺たちを助けに来てくれる

 

 チカイ「ウラハさんを殺して鬼を殺して……結局、誰かを殺さないとこの島からは出られないんですね」

 

 「島から出たい気持ちは分かるよ。でも早まったらダメだ!」


 「この島から出たとしても、誰かを殺したら結局犯罪者なのは変わらないんだから!」


 漆「でもどうだろうね。正直私は次の機会があれば()()()()()


 漆はどこまでも広がる海を見ながら呟いていた。彼女たちはギンターが戻ってくることは知っている。だから本気で殺人をするわけでもないだろう。


 問題なのはそれを知らないギヨウ、サイセ、アスカ、そしてキケツ。キケツだけは話しても通じるような気がしない。


 明日からもう頼れるギンターはいないんだ。俺が、俺がそれまで時間を稼がないと。



 ────4日後

 


 ぷっぱかプーの音で起こされた俺たちは朝から砂浜に集められた。そして何の説明もなく黒船のモニターに映像が出る。当然それを覗き込む。


 タマゴ《いやー。本当に島から出たのを証明したくてさ。ギンターのその後の生活を()()()()()()配信することにしたよ》


 そこに映っていたのはギンター・アッシュだった。だが俺の知っている誠実な彼ではない。


 ゴミが散乱した部屋で食べ物とお酒を食い散らかす男がそこにいた。そしてテレビを見て彼は爆笑している。


 ──確信した。もう、助けなんかが来ないということを。そして誰かを殺さなければ島から出られないことも。

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