41 スラッガー
41 スラッガー
どうしてだギンター。いや、誰かを殺すのは当然分かっていたよ。でも殺すのはキケツ藍也だったはずだ。
あの時、鍋を使うことに俺が賛成したのはキケツという、いつかみんなの危険になりそうな人物を殺すという話だったからだ。それがどうしてウラハを選んだ!
──そんな訴えはもう彼には届かない。
今、この砂浜からあの船に向けて言うことなんて出来ない。もしも伝えたとしてもギンターなら〝作戦に影響はない〟と言い返してきそうな気がする。
だが実際にその通りでギンターに誰が殺されようと影響はない。
だって後はギンターが例のミニゲームをクリアして脱出してから彼が助けを呼び、俺たちを救助してくれるからだ。
アスカ「やっぱりギンターがウラハを殺したのね」
ギヨウ「あの人が殺人をするなんてちょっと悲しいわ」
キケツ「本当残念だよね。彼は今までみんなで脱出をしようって言っていたのに結局誰かを殺してしまう」
キケツ「私も悲しいよ。でも一番可哀想なのはノリト君だろうね」
「……そうだな。悲しいよギンター!」
俺は目元を拭い彼の名前を船にぶつけた。でも今のは半分芝居。だからもう半分は本音。結局裏切られたことには代わりないからな。
キケツも俺がギンターと繋がっていたことを察してわざわざ俺にフったんだろう。そしてボロを出させようとしたんだろうか?油断できないな。
漆「人間は信じられない──ってことがみんなも分かったんじゃないの?」
漆「人は見た目通りじゃないんだよ。案外この場では私が一番マシかもよ?」
タマゴ《なんだか揉めているみたいだから彼からも一言もらおっか。はい、ギンター選手どーぞ!》
船の甲板には先ほどまで座っていたギンターが出て来ていた。その姿はモニターにも映っており手にはマイクを持っている。
全ての注目が彼に集まり島が静まる。彼の第一声がなんなのか。どう言い訳するのか。それに釘付け。
ギンター「──すまなかった。でもこれはみんなの為なんだ!」
キケツ「人は、行動が全てだ。君が言っているのは言い訳さ。私や漆くんはみんなからの信頼はないだろう」
漆「てめえと一緒にはされたく──」
キケツ「でもギンターくん。君はもう立派な人殺しの犯罪者だ。どんなに正論を伸べようと、何を言っても、誰も耳を貸してくれないよ」
キケツの言ったことには同感だ。でも、それでも俺はギンターの言うことに共犯者として耳を貸さなければいけない。
けれどここで耳を貸せば俺の立場が危ないことにもなる。もしもギンターを擁護して共犯だと疑われて全員に追及されたら終わり。
だから申し訳ないけど、今のキケツの意見には反論できないよ。
タマゴ《ギンターも可哀想に。せっかく今までみんなのために頑張ってきたのにね〜》
タマゴ《まあ人間なんてこんなもんだよ。さてそれじゃあお待ちかねの鬼との対決ミニゲームを発表します!ギンター・アッシュが挑むミニゲームは──》
もはや処刑方法を発表するイメージしかないこのドラムコール。ギンターはこの負のイメージを変えてくれるだろうか。
タマゴ《──ボンバーバッティング!》
いつもながら赤鬼たちが甲板に現れて慌ただしく準備に取り掛かる。
ボンバーバッティング。またもや不気味なタイトルだが今度は一体どう処刑するつもりだろう。




