38 好きな鍋は石狩鍋
38 好きな鍋は石狩鍋
ギンター「誰かを殺そうと考えている」
直後漆は〝鍋〟が入っている箱の前に立っていた。 しかしギンターはそんな漆を見て隣に座るよう促す。
漆「堂々と殺害宣言したやつの隣に座れるわけないでしょ?」
漆「お2人さんも早く逃げたほうが良いよ」
チカイ「ギンターさんはそんなことしません。きっと〝オムライス作戦〟のように何か暗号的なことを言ったんですよね?」
ギンター「それも含めて話す。とにかく話を聞いてくれ」
漆がしぶしぶその場に座ったところでギンターは話し始める。だがそれは暗号的なものではなく言葉通りの意味──誰かを殺すことに変わりなかった。
それでも俺たちが最後まで彼の話を座って聞いたのは、それが全員の為になる作戦だと思ったから。
「ギンター。俺はその作戦に協力したい」
ギンター「ありが──」
「だけどな。俺は誰かを殺すことを許しわけじゃない。例え自分が助かるための殺人でも正当化されないと思う。殺人はどんな場合でも殺人だ」
「でも、その信念でやってきた俺が誰も救えていない。それどころか犠牲を出している。だからギンター、俺はあんたに賭けるよ。一発で決めてくれ」
ギンター「ああ。俺だってノリトと同じ想いだ。だから死ぬ気でやるさ。認めてくれてありがとう」
握手を交わす俺とギンター。漆はそれを快く見ていなかった。
漆「ほんとあんたは人が良すぎるよね〜。なんでそいつが言っていることは信用出来るのさ」
漆「もしも私がそいつと同じく〝誰かを殺すことで島を脱出して、脱出した後で国に戻って救援を呼ぶ〟って作戦を言っても信じたの?」
チカイ「漆さんの場合は日頃の行いが──」
漆「うっさい処女ブス!」
チカイ「ぶ、ブス!? 私が!?」
「おい! なんてことを言うんだ!」
漆「で、どうなの? 私だったら信用出来るの?」
「出来ないよ。お前にはそういうところがあるからな」
漆「じゃあ私はその作戦には協力しない」
ギンター「ならどうする? 鍋を使わせないつもりか?」
漆「いや、それは殺人コンテストを妨害することになってタマゴに処刑されかねない」
漆「それでも私は出来る限りの妨害はするけど」
ギンター「それで、どうしたら妨害をやめてくれるんだ?」
漆「殺すならキケツ藍也を殺して欲しい」
「……実は俺も、そうして欲しいと思ってる」
ギンター「確かに奴は今の所大人しいが何をしでかすか分からないからな、良いだろう。食人鬼の鍋を作るとしようか」
この作戦はこの場にいた4人──ギンター、漆、チカイ、俺以外には知らせないことで漆とも一致した。
また、殺人を起こすタイミングはギンターに一任してあり、鍋は引き続き漆とギンターの2人で見張ることになった。
ギンターがキケツを殺し脱出をかけた鬼との対決ミニゲームをクリアする。
そして島から脱出後、彼が母国から救援を呼んで、残っている俺たちを助けるという作戦。ギンターなら本当にやってくれると俺は信じている。
ちゃんと救援を呼んでくれる男だと今までを一緒に過ごして感じているし、握手をして彼の想いが伝わった。
だから俺が心配なのは鬼との対決ミニゲームをギンターがどうクリアするかだ。




