30 卵の割り方
30 卵の割り方
タマゴを殺す。1つの目的に向かって協力することになった俺たちはその後、今まで通りに再び2つのチームに分かれた。
だがそれは以前のように対立して分裂したわけではなく戦略的にあえてだ。
10人が一箇所に集まって話し合いをしていれば当然タマゴに警戒される。そういうリスクを下げるためにも島の探索組と作戦会議組に分かれた。
念のために10人が二手に分かれる際にちょっとした芝居までした。まあ、その喧嘩みたいなものだ。
探索組はアスカ、ウラハ、ギヨウ、サイセ、シドウの5人。
探索と言ってもそれは建前。本音はタマゴを殺すために必要な物、役に立ちそうなものを探すこと。
もちろん島から脱出する手がかりが見つかればそれに越したことはない。
もう1つの作戦会議組はタマゴをどうやって殺すかを話し合う。
メンバーは漆、キケツ、ギンター、チカイ。そして俺の5人。
今はタマゴの殺し方について話し合っている。もちろん割り方というのは殺すの隠語。
ずっと同じ場所にいては怪しまれるというギンターからの提案で、砂浜や森などを移動しながら小声で会議を行っている。
もうそろそろ陽が海に沈んで夕食の時間になるが、今のところ誰もが賛成するような案は出ていない。
キケツ「青鬼に変装して、鬼たちと一緒に船に乗り込むのはどうだい?」
チカイ「それってあの鬼の被り物を用意する必要がありませんか?」
漆「殺せば良いんだよ」
ギンター「鬼を殺すのはルール上OKだが、その時点でターゲットが警戒しないか?それに万が一負傷者が出たら最悪だぞ」
「ほんと・・・どうやってあいつに近づこうか」
漆「だから鬼に変装して近づくつってんだろが!」
あ、先生。僕、漆さんと話し合うの無理そうです。
ギンター「思ったんだが、あのタマゴという子供は実在するのか?」
チカイ「確かに今までモニターの映像でしか見たことがありません」
「──それだ。それだよ!」
漆「声がでけえよクソ!!」
こいつを一瞬でも可愛く思った俺の見る目のなさよ。ちょっと優しくしたら調子乗るタイプだぞこの人。
「あいつに言うんだよ。お前は本当に存在するのかって」
キケツ「なるほど?それで誘い出すわけだ」
我ながら名案だと思った。あいつを挑発してなんとかその本体を俺たちの島に登場させる。そして出てきたところを俺たち10人で捕まえれば良い。
漆「別にあいつは煽られたからって出てくるやつじゃないでしょ?」
ギンター「いや、そうとも限らない。相手は小学生だから可能性はありそうだ。それに失敗した時のリスクがない」
漆はギンターを横目で睨むと何か言いたそうなその口を閉じた。いいぞ。我慢しようと思えばできるじゃないか。俺にも使ってくれませんかねその我慢。
チカイ「良い作戦だとは思うんですが、挑発したらタマゴから何かされないでしょうか」
「大丈夫。俺がその役をやるよ」
漆「いや、お前はあいつに嫌われてるからやめとけって。第一印象最悪だから」
ギンター「申し訳ないが俺も同意見だ」
「でも嫌われていないやつなんているのかよ」
こう言った時、俺の頭の中には1人の顔が浮かんでいた。ああ、うるさい顔だ。この場にいないのにうるさい。
だがこの場にいない彼の名前を出して良いものかと俺は戸惑っていたのだが、どうやら顔を見合わせているみんなも俺と同じ考えらしい。
キケツ「シドウくんなんか適任じゃないかい?」
シドウには申し訳ないがそれには満場一致で賛成した。
チカイ「となると後は殺す方法ですね」
その後、具体的にどうタマゴを殺すかまで順調に決まった。さすが殺しのエキスパート集団。殺し方については詳しい。
夜、戻ってきた探索組とはそれぞれの洞窟で合流し作戦を共有。危険な役割を任されたシドウだがそれを快諾してくれた。
タマゴを殺す〝オムライス作戦〟は3日後に決行だ。




