28 ザイキン集結!?
28 ザイキン集結!?
俺たちはまだ砂浜にいた。ついさっき見たマイジ博和が処刑されたあの光景。まるでゲームや映画の映像が今も見える。
朝っぱらからこの世のものとは思えないものを見せられて心は──無。なにもない。むしろ教えて欲しい。俺はこれからなにをすればいい?
沈黙が続いていた砂浜からツエヘシの死体がいつの間にか消えていたことに誰も触れなかった。マイジが処刑されたことだってもう話にはしない。
それぞれが自分の箱から荷物を持って洞窟へ戻ろうとしている。
漆「全員着替えて朝ごはんを食べたら、砂浜に来なさいよ!」
まるで鼓舞するように、気を引き締めるように、突然彼女が大声を発した。彼女はそれだけを言い放つと一番にこの砂浜を去った。
みんなもそれに続いて行く。すれ違う彼らと目で「また後で」の確認をした。俺はまだ、戻らない。もう少しここにいる。
シドウ「なーに深呼吸してんだよ。遅れるぞノリ──」
「急に声をかけるなよ!!」
シドウ「わ、悪い・・・ごめん」
「いやごめん。俺がおかしかった。シドウはまだ居たんだな」
海を見て風に吹かれながら深呼吸をしていたが、ゆっくりするには似合わない奴に見つかってしまった。それに対しての激昂じゃない。今のはただの八つ当たりだ。
シドウ「お前がいない洞窟には戻りたくないんだよ。分かる?なんか空気が気不味いっていうかさ」
そうか。彼にも空気を読む感覚器官があったのか。
「シドウも深呼吸したらどうだ。ここの空気は美味しいぞ」
シドウ「いや、気不味いってそういう意味じゃ──」
「分かってるよ。バカにすんな」
シドウに荷物を持たせて一緒に洞窟へ戻った。こいつといると通学路を歩いているような、そんな気分になれる。別に俺は荷物を持たせるタイプじゃないけど。
******
────左の洞窟
シドウ「食べたら野球でもすっか」
ギンター「いいぞ。相手になってやる」
チカイ「そういう娯楽品も頼めばくれるんですかね」
サイセ「なら私は本が欲しいな〜」
「野球でも読書でもいいが、とりあえずはご飯を食べて洞窟から出るのが優先だな」
アスカ「そうね。青鬼から無言のプレッシャーを感じるわ」
朝ごはんのカツサンドを食べる俺たちを洞窟の入り口にいる青鬼がじっと見ている。
必要以上は洞窟内にいてはいけないというルールのせいで、夜以外はゆっくりできない。
1人消えたにも関わらず洞窟内の空気は今まで通り。分かってる。みんながそうやって装っているんだ。
誰も言わないがマイジの荷物は消えていた。おそらく青鬼が回収したのだろう。
ツエヘシ隆とマイジ博和がいなくなって残っているのは俺と──
ギヨウ、ギンター、アスカ、サイセ、シドウ、チカイの7人。
向こうの右の洞窟は──漆、キケツ、ウラハの3人。
合計で10人。
チカイ「ノリトさん? 聞いていますか?」
彼女は少し不満気な顔をして俺を見ていた。
「え、ごめん。なんの話?」
ギンター「さきほど漆が言った通りに砂浜に行くのかどうか。俺たちのリーダーの意見を聞きたい」
「……俺は行くべきだと思うよ。だって漆が自分から協力を求めたんだ」
ギヨウ「何かの罠だったりしないかしら」
サイセ「それは大丈夫だと思う。まだお題が出ていないから、少なくとも殺されることはない」
シドウ「お題が出ていないってことは、例の殺人グッズもないってことだから安全だな!」
一同(シドウが賢くなってる!?)
「心配なら無理に砂浜には来なくても大丈夫だよ。俺だけで行くから」
アスカ「みんなでいる方が安全──これはあなたが言った言葉でしょ?」
彼女は優しく笑った。
そういえばそんなことを言ったなと、みんなもその言葉を思い出しだようで結局全員で砂浜へ行くことになった。




