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殺しアイランド~ザイキン12個集めてみた~  作者: 葵尉
2章 第1回殺人コンテストお題は「焼き鳥」
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20 未成年者の飲酒は罪菌です

20 未成年者の飲酒は罪菌です


  

 2回目となった島の調査。結果は1回目と変わらず。俺たちはまた、何も見つけられなかった。


 それでも俺は不満の的にならない。それどころか、みんな落胆していない。


 普通に汚れを落として着替えて、会話を交わしながら夜ご飯を食べ始めたのだ。


 余計に俺に気を使っているのを感じた。だからそれが耐えられず言ってしまった。どうして俺に何も言わないんだ──と。


 するとみんなは俺のことを変人を見るような目つきで見た。


 アスカ「別に最初から期待していないわ」

 

 サイセ「また明日もやれば良い」


 シドウ「今日はもう寝ようぜ!」


 そんな言葉に涙が出そうだった。無駄な心配をしていた俺だけが馬鹿だったんだと気付かされた。


 おかげで気持ちが切り替わり輪に入れた。みんなと夜ご飯のカレーを食べようとすると、マイジさんが砂浜から戻って来た。


 彼はダンボール箱を抱えている。前傾姿勢で両腕を伸ばし、重たそうにその箱を持っている。それでも彼の顔はとても幸せそう。


 マイジ「今日は飲みましょう!」


 そう言って箱の中から瓶やアルミ缶をたくさん並べ始めた。それを見た大人は歓喜、未成年は困惑。彼が箱から出したのは全部お酒だった。


 ギヨウ「あらマイジさん良いもの持ってるじゃない!」


 ギンター「わざわざ全部タマゴに注文したのか?」


 マイジ「しようと思っていたんですけどね、今日()()()()()んですよ。タマゴは気が利きますね〜」


 マイジさんは1本の瓶を持つとそれを自分の頬にこすりつけた。まるでマーキングだ。瓶にはげん・・・幻想夢(げんそうむ)と書かれている。酒の名前か?


 見た目もおじさんなので瓶のお酒がよく似合うが……そんなにも幻想夢が好きなのだろうか。まるでお酒が彼の子供や孫のように見えてきた。


 チカイ「でも私たちは飲めないですよ」


 ギヨウ「何言ってんの!チカイちゃんもサイセちゃんも飲みなよ。ほらカクテルなんてジュースと同じだしさ!」


 シドウ「おっさん俺は生で!」


 アスカ「シドウくん。あなたも未成年でしょ?」


 お酒に皆の注目が集まっている今ならイケると思った俺はギンターに話したいことがあると伝えて、2人だけで洞窟の外へと出た。


 外に出て自分たちの洞窟の中がいかに賑やかだったかを実感する。


 漆たちの右側の洞窟もそうだが夜の森はとても静かだ。風の音、虫の鳴き声、何の音もしない。まさに眠っている。


 ギンター「それで話したいこと、というのはなんだ?」

 

 「俺、リーダーみたいになってるけど、本当は俺なんかよりギンターの方が良いと思うんだ」


 さっきはみんなに励まされた。おかげで元気が出てこれからもみんなをまとめて引っ張っていこうと思えていた。


 だけどギンターこそ適任だという考えは消えていなかった。それに俺は副リーダーみたいなポジションが合っている気がしたんだ。


 ギンター「俺がリーダーか。どうしてそう思うんだ?」


 突然のことなのにギンターはあまり驚かなかった。やっぱり彼の中でも自分がリーターになっても良いという考えはあるのだろう。


 ならば尚更だ。彼にやってもらおう。


 「まだお互いに名前も知らなかった時さ、俺が漆を殴ろうとした時にギンターが止めてくれただろ?」


 ギンター「フッ。懐かしく感じるな」


 「笑うなよ。でもそれだけじゃない。その後の地震が起きた時にも全員を避難させた」


 「なにより今朝サイセを助けた。俺にはどれも出来ないよ」


 ギンターは親のようにしっかり話を聞いてくれていた。そして色々と考えてくれているのか、しばらく彼は黙った。


 怒られるか? あっさり承諾されるか?気まずい沈黙が──


 ギンター「リーダーが優秀である必要はない。リーダーは周りから〝この人の力になりたい〟と、思われるような人間で良いんだ」


 ギンター「つまりノリト(タスク)──お前が適任だ」


 「ほ、本当にそう思うのか?俺にそんな人望はないよ」


 ギンター「もしも俺がやってみろ?俺がリーダーになったらあいつらは後々、俺が言ったから言うことを聞くようになる」


 ギンター「それはただの独裁だ。恐怖で従わせるリーダー、なんてものはふさわしくない」


 「じゃあギンターは俺の力になりたいって思ってくれているのか?」


 ギンター「俺だけじゃない。少なくともチームノリタクの奴らはそう思っているはずだ」


 ギンター「だから右じゃなくて左の洞窟に来たんだろう?」


 「・・・ギンターはさ、これからの俺たちはどうするべきだと思う?もちろん島から出ることは前提でさ」


 ギンター「引き続き島の調査はする。だが調査で限界を迎えたら──」


 それまで自然に話していたギンターが突然話すのを止めて、急に周囲を警戒しだした。


 何かいるのか?俺には何も聞こえないし、何も見えない。まさかトラとかいないよな・・・。


 「ぎ、ギンター?」


 彼はその大きな体を低くすると俺の耳元に近づいて「──タマゴを殺す」と、宣言した。小声ながらも語気のこもった彼の声は決して冗談だとは思えない。


 「っ!?ころ──」


 その予想外の言葉に驚き叫びそうになると、彼は素早い動作で俺の口を手で塞いだ。そのまま呼吸を止められそうなほど強い力。


 ひょっとして殺されるんじゃないか?と、死を感じたがギンターはすぐに解放してくれた


 ギンター「すまない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 「そ、そうだったのか。ありがとう。おかげで助かったよ」


 アドリブの演技。演技未経験の俺にしては上手いだろう。


 タマゴを殺す──その発想は俺にはないもの。というよりもそれはタマゴが決めたルールに違反する行為。

 

 もしもそれを知られたら俺の時のようにロケットを撃たれたりと、酷い目に合う。いや、殺されるだろう。


 だからこそギンターは今、俺の耳元で言って危うく暴露しそうになった俺の口を殺すつもりで押さえた。おまけにちょっとした芝居まで付け加えて。


 今の俺にはタマゴを殺すというのが実行すべき作戦なのか、すべきでない作戦なのか決められない。だからそれも1つの手段として持っておこうと思う。


 ギンター「最悪の場合はこの島に住み続けても良いんじゃないかと思うよ」


 多分冗談だと思うけれど彼はそう言って洞窟へ戻った。

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