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殺しアイランド~ザイキン12個集めてみた~  作者: 葵尉
2章 第1回殺人コンテストお題は「焼き鳥」
22/82

19 ザイキンってなんて面白いんだろう

19 ザイキンってなんて面白いんだろう



 ────洞窟



 自分の荷物を持った俺たちは洞窟へと戻った。当然漆たちがいない左側の洞窟。向こうの右側の洞窟には漆たちがいるはず。


 様子が気になったのでこちらから洞窟を覗いてみたが、青鬼が2体見張りをしていること以外は分からなかった。


 アスカ「着替え終わったから入って来て良いわよ」


 「お邪魔します」


 さっきの箱には着替えのジャージと朝ご飯が入っていた。昨日の焼き鳥の件があったので恐る恐る確認した朝ご飯はサンドイッチ。


 サンドイッチが3つというのは女性には多いと思ったがサイセでも完食できていた。食欲があるのは肉体も精神も元気な証。全員に食欲があって安心した。


 ギヨウ「着替えも寝間着と同じジャージに変わったのね。男は黄色で私たちはオレンジ」


 マイジ「普通なら男が青で女性が赤とかだと思うけど、何か意味のある組み合わせなのかもね」


 ギンター「これは・・・よく見ると蛍光加工されているな」


 ジャージを手に取ったギンターはすぐにそれが分かったようだ。試しに影に当ててみると発光しているのが確認できた。


 チカイ「島のどこにいても目立つ。たとえ洞窟の奥でも隠れることはできないってことですか」


 アスカ「殺人コンテストにはうってつけね」


 そんなジャージだが着てみると意外と悪くない。動きやすく通気性も良い。部屋の中ならこれで1日過ごしても良いだろう。


 ギヨウ「けど地味ねー。私ヒョウ柄がいいわ〜」


 シドウ「ますますおばさんに近づくぜ?」


 ギヨウ「殺すわよ?」


 マイジ「シャレになっていないよギヨウさん」


 笑顔で拳を振り上げたギヨウだったが、マイジさんに言われるとすぐにそれを引っ込めて笑顔を作っていた。それもそれで不気味である。

 

 にしてもシドウの奴はよく今まで生き延びてきたもんだ。今までの人生でこいつは女性に殺されかけたことが何度もあるだろうに。


 チカイ「そういえば私たちが元々着ていた服はどうなったんでしょうか」

 

 アスカ「多分だけど、砂浜の物資の箱と一緒に青鬼がタマゴのところへ持って行ったんじゃないかしら」


 シドウ「じゃああのビッグ……ビッグなんとかの中か!」


 サイセ「烏骨鶏(うこっけい)。ビッグ烏骨鶏ね」


 マイジ「服は返してくれるんですかね〜」


 ギヨウ「服なんて買えるじゃない。それよりも早く島から出して欲しいわよ」


 「じゃあ行こう。島の調査に」


 ギンター「アテがあるのか?」


 「ない」


 アスカ「ちょっと、誰かさんじゃあるまいし。ハッキリ言いすぎよ」


 「でも、調査以外に俺たちがやれることってないと思うんだ」

 

 マイジ「そうですね。ただ殺すならまだしも、人間の串焼きなんて作りたくありません」


 チカイ「じゃあ行きましょう! 島の隅々まで見てあげましょうよ!」


 ギヨウ「サイセちゃんは行けるかしら? 無理しなくてもイイのよ?」


 サイセ「私〝ちゃん〟がつくほど子供じゃないよギヨウさん」


 座り込んでいたサイセは立ち上がってもう大丈夫だとアピールする。ジャージのサイズが少し大きいせいか、そんなアピールもやはり可愛く見える。


 シドウ「何かあったら俺とギンターが守ってやるから安心しろよー!」


 ギンターとシドウの2人がサイセの両サイドにしゃがんで肩を組んだ。するとサイセは急にそこを抜けて俺の元へやって来た。


 サイセ「ノリトは? ノリトは私を守ってくれる?」


 真っ直ぐ見つめる少女の瞳と、その言葉が俺の心に突き刺さる。俺の心を見透かしているような目で少女は答えを待つ。

 

 彼女が漆に襲われた時、俺はすぐそこにいたにもかかわらず何もしなかった。やはりそのことを怒っているんだろうか。もしくは不信感を抱いているのかもしれない。


 俺はあの時、漆の殺意という恐怖に屈した。何もできず、あいつが人を殺すのを黙って許したんだ。そんな俺だ。サイセにこう問われるのも仕方がない。


 けれど今、助けられません──なんてことは言えない。

 

 「もちろん。もちろん守るよ」


 サイセ「良いよ。そう思ってくれているなら安心できる」


 シドウ「おーし! 俺に続けー!」


 俺は嘘を上手く言えなかった。簡単な言葉なのに声と目線は揺れてしまった。


 みんなに笑われるシドウを見ても笑えなかった。洞窟を出て行くサイセ達に道を譲って、俺は最後に洞窟を出る。

 

 チカイ「どうしたんですかノリトさん。具合が悪いんですか?」


 「なんでもないよ。ありがとうチカイさん」


 チカイ「ノリトさん。私より先輩ですよね。それなら〝さん〟はいらないですよ」


 「これはちょっとクセみたいなもんでさ」


 「日常からって意味ですか?ノリトさんって真面目なんですね」

 

 「そんなことないよ。俺は真面目なんかじゃない」


 せっかくチカイさんと話が出来たのに、俺は彼女からも逃げるように前の方へ向かった。


 別に俺が集団をまとめる必要なんてないんだ。ギンターとかシドウとかの方が向いてる。


 マイジさんだって教師のような雰囲気でまとめられるはずだ。ギヨウさんが副担任のようにそれのサポートをするだろうし。


 チカイさんだって俺なんかよりよっぽど大人っぽい。こんな俺がリーダーみたいにしていて良いのか?


 いざという時に隣のやつを見殺しにするような俺が、自分が殺されなくて良かったと安心するような俺が!


 ずっとそう考えてしまい、自分から提案した森の調査にもあまり身が入らなかった。

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