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殺しアイランド~ザイキン12個集めてみた~  作者: 葵尉
2章 第1回殺人コンテストお題は「焼き鳥」
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16 殺人は早い者勝ち

16 殺人は早い者勝ち



 ──砂浜


 涼しい森を抜けると南国ばりに輝く太陽のお出ましだ。その陽射しを全面的に受ける白い砂浜が、みんなと共に俺とアスカさんを迎える。


 漆「おはよう寝坊助のアスカ妃美子(ヒミコ)さん」


 アスカ「おはよう漆さん。一晩寝てもあなたの考えは変わらないのかしら?」


 漆「それはこっちのセリフっしょエリートさん」


 俺は誰かに声をかけることはしなかった。


 ギンターとは顔を合わせたが会釈をした程度。正直それすらする必要なんてないと思った。だってあいつらは殺人を考えているんだ。


 けれどそれでも声をかけていかなきゃこの状況が何も変わらないのは分かってはいる。


 タマゴ《ぷっぱか♪ ぷっぱか♪ ぷっぱかプー♪》


 ああ、またタマゴか。さすがにもうあの黒船に彼の映像が現れても驚かない。声がどこから出ているのは相変わらず不思議ではあるが。


 ウラハ「もう良いよその歌!」


 キケツ「微妙に長いしね〜」


 タマゴ《うるさーい! みんなもこの歌歌ってよ!》


 シドウ「歌わねーよ!」


 サイセ「ぷっぱか──」


 ギヨウ「サイセちゃん。歌わなくて良いのよ」


 皆がヤジを飛ばす中しょんぼりとするのはサイセだけ。その口元はギヨウに言われた後もかすかに動き歌いたい気持ちを隠せていない。


 漆「つーかさタマゴ。私早く殺人したいんだけど」


 タマゴ《その前にまずは朝の荷物を送るね〜!》


 チカイ「朝の荷物?」


 またビッグ烏骨鶏(うこっけい)からドローンたちが飛び立つ。ちゃんと俺たちの人数分見える。


 おそらく荷物を運んでいるであろうそれはすぐに海を越えて砂浜に到着。昨日と同様頭上から乱暴に箱を落とす。


 箱は昨日と同じアルミ色。


 タマゴ《夜の荷物と朝の荷物はこうやって自動的に投下していくから定期的に浜辺に来てね〜》


 タマゴ《ちなみに荷物は自分宛以外のものは開かないから気をつけてね!》


 ギンター「箱は全て同じに見えるが、自分の箱以外は開けられないのか?」


 タマゴ《それぞれの箱のボタンは本人以外が押しても開かないようになってるのさ。まあ、勘で選んでよ》


 「どうしてそんなことしたんだ? 中身は人によって違うのか?」


 タマゴ《もー。ノリタクはデリカシーがないなー》


 「で、でりかしー?」


 というかいつの間にあいつは俺のことをノリタクと呼ぶようになったんだ。昨日は俺のことを殺す気でいたのに。


 タマゴ《女性と男性じゃ着るものが違うでしょ? それに服のサイズとかだって知られたくないでしょ?》


 それはごもっともだ。もう女性に怒られるのはごめんだしな。もしも俺がまたラッキースケベを起こしたら今度は命がないだろう。


 漆「──っていうのは建前で本当は()()()()()()()()とかあるんでしょ?」


 タマゴ《あれ? 漆さん知ってるの?》


 漆「早朝にギンターが青鬼に何か言っているのを見たのよ。どうせ何か頼んだんでしょ?」


 キケツ「そうなのかい?ギンター・アッシュ」


 マイジ「まさか凶器じゃ!?」


 ギンター「違う。そんなに慌てるな。悪いがタマゴから言ってもらえないか」


 モニター内のタマゴは手にメモ用紙を持つと、ギンターから注文されたであろう物の名前を読み上げる。

  

 タマゴ《えーっと。ギンターからの注文は朝ごはんにパンとコーヒーのブラック。夜は枕が欲しいのとサイズが1つ上のパジャマ……だったかな》

 

 シドウ「あいつ枕がないと寝れないのか」

 

 ツエヘシ「意外と繊細なんだね」


 アスカ「ちなみにその注文って私達もできるの?」


 タマゴ《出来るよ。()()()()送ってあげるよ》


 タマゴ《僕はみんながこの殺し合いコンテストで快適な生活が送れるように、そういうところはサポートするさ》


 漆「ならとっとと凶器を配りなさいよ!」


 なんでも送る──確かにそう言ったがそれはどこまでなんだろう。今、漆が言ってハッとしたが包丁なども送れるのか?だとしたらどんどん殺人が加速してしまう。


 でも逆に島から脱出するための物資を送ってもらうことも可能なわけだ。


 タマゴ《それじゃあみんなお待ちかね! ()()()()()の発表です!》


 先ほどよりも多くの数のドローンが船から飛び立った。何やら赤くて長い箱を運んでいる。


 あれが今タマゴの言った〝殺人グッズ〟か!?


 ウラハ「殺人グッズっていうのは要するに──凶器のこと?」


 キケツ「昨日のお題といい何だか料理をするみたいじゃないか。好きだよそのセンス」


 タマゴ《でしょでしょ? キケツさんは分かるよね!》


 ギンター「荷物のように落とされると危ない。離れるぞ」


 そう注意され全員が後方へと下がる。


 しかしそんな心配をよそにドローンは丁寧に長い箱を砂浜に置いた。


 凶器は丁寧に置いて俺たちの生活道具は空中から落下ですかそうですか。


 血に浸けたかのようなその長い箱はいざ見てみると細くて、そこまで大きくなかった。


 物干し竿でも入っているのか?箱を立たせた場合はサイセの背より少し高い。


 タマゴ《その中にあるのが今回のお題の〝焼き鳥〟をクリアするために必要な()()だよ!》


 タマゴ《数は1本!そしてこの箱は誰にでも開けられる。つまり早い者勝ち!》


 ギヨウ「早い者勝ちですって!?」


 ウラハ「それっていつから!?」


 ツエヘシ「今から? 今から始まるの!?」


 狼狽(ろうばい)する群れの中から赤い髪の毛が赤い箱に向かって走り抜けて行くのが見えた。


 気がついた時にはもう手遅れ。漆はすでに赤い箱の赤いボタンを押していた。

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