11 ザイキンのエサ
11 ザイキンのエサ
タマゴ《ぷっぱかぷっぱかぷっぱかプー♪ ぷっぱかぷっぱかぷっぱかプー♪》
ウラハ「またこれか」
サイセ「やっぱり良いリズム」
ギヨウ「サイセちゃんは本気でそう言ってるの?」
シドウ「タマゴだ! ほらまた黒船に!」
タマゴ《違うよシドウくん。この船の名前はビッグ烏骨鶏!》
タマゴ《黒船なんてそんな物騒な名前で呼ばないでよ!》
黒船──ビッグ烏骨鶏に再びタマゴが映像として現れる。
夕方になってもタマゴの姿を映すモニターは相変わらずよく見える。いつの間にかドローンたちも上空を飛んでいた。
ご機嫌そうに歌っていたタマゴは相変わらず椅子に座り偉そう。腕まで組んでこちらを見下している。
キケツ「で、君は何しに出てきたんだい?」
タマゴ《そろそろみんなお腹が空いたんじゃないかって思ってさ》
シドウ「まさかメシをくれるのか!?」
アスカ「そんなわけないわ。あいつは私たちに死んで欲しいんだもん」
タマゴ《今ドローンでご飯を運ぶからそれぞれ受け取ってね。毒もないから安心してよ》
奴がそう言うと船から虫の羽音が近づいて来る。
あっという間に砂浜の上空に来たそれは真っ黒い正方形のドローン。とてもシンプル。
それはクレーンゲームのようにアームで箱を抱えている。砂浜に到着すると大胆にも木と同じ高さから大事そうに抱えていた箱を落とした。
下が砂浜だから鈍い音がなるだけだったが、タマゴが俺たちに対して敬意を持っていないことがちゃんと伝わる。
タマゴ《その中にはご飯と歯ブラシとあとパジャマも入ってるよ。あと明日の着替えも》
漆「どうせ爆弾じゃねーの?」
タマゴ《なら見てみなよ》
恐る恐る自分の前に落とされた箱に近づく。アルミ色の箱は正方形で小さな冷蔵庫くらいの大きさ。
この大きさならタマゴがさっき言ったものが全て入っていてもおかしくない。いや、それ以上の物も入っているかもしれない。
全員が目を合わせてから箱に目を向ける。箱の上にある黄色のボタン。これを押せば箱が開くというのは直感的に分かっていた。
俺がスイッチに指を当てた時、空気が抜けるプシューという音が周りから聞こえてきた。
既に何人かがスイッチを押して箱を開けたということだろう。俺も急いでそれに続く。
スイッチを押すと噴出した白い煙が顔に直撃。冷たくて息ができない。おじいさんになってしまう煙かあるいは毒ガスか。
死を覚悟したが──箱の中を見てそんな覚悟はすぐに消え去った。だって中には本当に食事とペットボトルの水があったんだ。
ジャージは黒と黄色で2つ。黒がパジャマで黄色が活動用っぽい。歯ブラシもちゃんとある。
ギヨウ「おにぎりが2つと焼き鳥が5本。それとミカン。変わった夜ご飯ね」
マイジ「でもボリュームはあるよ。多すぎるくらいさ」
ところで気になるのはなぜあいつが俺たちにこんなものを用意してくれたのかだ。
まだ油断はできないがもしも俺たちを何か酷い目に合わせるつもりならこんなことはしないはず。
さっきの煙だってドライアイスの煙だ。箱の中はちょうど良い程度に冷えている。
ご飯と着替えまで用意するなんてあいつの目的はなんだ?
タマゴ《さっき誰か言ってたけど僕は別に、君たちに死んで欲しいなんて思っていないんだよ》
タマゴ《ただ殺人コンテストをやって欲しいだけ。だからちゃんとコンテストの運営者として面倒は見る。夜に寝る場所だって用意してあげる。トイレも洗面場もね》
タマゴ《殺人コンテストの為なら何だって用意するよ?》
シドウ「あいつあんなにいいやつだったのかよ!」
アスカ「シドウくんあなたふざけてるの?」
「寝れる場所ってもしかして船の中か!?」
《君たちを毎日ここまで運ぶのは大変だからそれは出来ないよ。じゃあ先に寝室に案内しちゃおうか。おいでー〝青鬼〟》
タマゴが指を鳴らすと後ろの森の葉っぱがかさかさと動き出す。ざわついている。何かが出てくる。多分大きい。
てか、青鬼ってなんだ? また機械か何かか?
タマゴ《紹介しまーす! 君たちの暮らしをサポートしてくれる青鬼でーす!》
それを見た俺たちは言葉が出なかった。ロボットとかの方がまだ良かった。困ったことに現れたのは本当に青鬼そのもの。
頭に黄色の角が2本。全身青い彼らは虎の模様のパンツを履いて棍棒を持っている。絵本や歌に出てくる鬼が4体現れた。




