告白
デート前日、私は眠れなかった。
緊張しすぎて眠ることが出来なかった。
幸いなことに、目は腫れておらず安心した。そして、待ち合わせの時間、9時まであと10分。でも私は8時半には来ていたのでずっとソワソワしている。
「そろそろかな、楽しみだなー。今日は頑張って先輩をリードするぞー。」
すると後ろから、
「なにをリードするの?」
「せ、先輩!え、えっと何でもないです!あ、おはようございます!」
「うん、おはよう。じゃ、行こうか」
「は、はい!」早くも先輩に引っ張られてる。どうにかして私がリードしなきゃ・・・
「そう言えば、今日はデパートで何するの?」お?きた!ここでプランをビシッと言ってその流れで・・・
「えっとですね、今日はまず映画を見ます。それからショッピングですね!そこからは決めてないので一緒に決めましょ先輩。」すごく楽しそうに笑いながら答える未耶に健太は一瞬、感じたことのない気持ちを感じた。
「なんだ?この気持ち?」独り言だ。
「先輩どうしたんですか?行かないんですか?」未耶が不思議そうな顔をしてこっちを見ていた。
「なんでもないよ、早く行こう。」今はこの時間を楽しもうと思った。あの気持ちは後で考えよう。
「で、なんの映画見るの?」この質問に未耶は少し声を震わせながら答えた。
「デッド サーカスっていうホラー映画ですよ。」
「ホラーかー、あんまり得意じゃないんだよな。」でも未耶の方が怖がっている気が・・・
「最近のオススメの映画はコレだそうですよ。私もホラーはあんまり得意じゃないんですけどね・・・」声を震わせている、やっぱり・・・
「じゃー、入ろうか。もうすぐ始まるし。」
「はい。そうですね、あ、飲み物買っておかないと。」
飲み物を持って映画館に入る。座る席は真ん中で結構いいところが取れた。そして上映が始まる。私は怖くなった、なんでホラー映画なんて見てるんだろ・・・などと考えながら横を見ていたら・・・
ドガーン!!
急に映画の中で爆発が起こった。その音にびっくりして隣の先輩の腕に抱きついてしまった。
「あ、あ、あの未耶さん?」
「・・・ごめんなさい、少しびっくりして・・・もう少しこうしててもいいですか?」
こんな時に考えないようにしていたあの気持ちが出てくる。やばい、ドキドキする。
「う、うんいいよ。」恥ずかしい、未耶さんにこんな事されて・・・嬉しいけど恥ずかしい。
結局、映画が終わるまで未耶はずっと健太の腕に抱きついていた。
映画が終わり次は買い物の予定だったがあまりにも映画が怖かったらしく未耶はまだ動けないでいる。
「ごめんね、お腹すいたよね」
「いいよ、まだ大丈夫、今日は未耶と来たんだから未耶が動けないなら一緒にいるよ」
「ありがとう」未耶は少し申し訳なさそうにして言った。励まさなければ・・・
「そうだ、今日の最後に連れていきたいところがあるんだけど・・・いいかな?」
「え?・・・うん、いいよ」
「良かった、断られたらどうしようと思ってた」安心した。
「先輩が連れてってくれる場所だし、気になるし・・・あ、私そろそろ動けますよ」
「じゃ、行こうか」動けるようになった未耶とフードコートに行く。お昼ご飯は、未耶がオムライス、健太は天ぷらうどんを食べ、フードコートを出る。
「じゃ!先輩!これから洋服を見に行きましょ!」未耶はテンションが最高潮になっている。
「よし、じゃー行こう」健太も楽しそうだ。
それから色んな洋服屋を回った。
「先輩!こんなワンピースどうですか?」少し派手だか未耶にはすごく似合っている。
「うん!すごく似合ってるよ」
「そうですか?じゃーこれは?」次から次に服を試着し、最終的に服を5着買った。そんな中、健太はトイレに行くと言って5分後に戻って来た。手に何かをもっている。
「先輩どうしたんですか?それ?」
「ん?これか?これはある場所に行ったら教えるよ」
「えー、じゃーもう回り切りましたしそこに行きましょ!」
「そうだね、行こうか」こうして2人は歩き出す。向かったのはデパートから少し離れた丘の上だった。
「先輩ここですか?」
「うん!ここだよ、僕のオススメの場所なんだ、夕日が綺麗なんだ」
「へー!たのしみですね!そう言えば、あの手に持ってた物なんなんですか?」
「未耶さん・・・実は今日の途中から未耶さんのこと未耶って読んでたの気づいてた?」え?そうなの?自然すぎて分からなかった・・・
「実は初めてあった時から、未耶のことを意識してたんだ。それが今日、一緒にいて気づいたんだ。」未耶は少し戸惑いながらも真剣に聞こうとしている。
「未耶・・・僕と付き合ってください!!」未耶の目から急にに涙が出た。未耶にも理由は分からない、でもこの告白に答えるべき言葉は、わかっている。
「こ、こちらこそ宜しくお願いします」
「え?ほんとに?いいの?」不安になって聞いてみる。
「はい、本当です。私もせんぱ、健太の事が好きです。」
そして、夕日が沈む頃、2人は丘の上でキスをした。