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06 母は美魔女から魔法幼女になりました。

魔法って凄い。最後までチョコたっぷりだもん。

 お風呂場に入って直ぐに自分の身体を反転させる。

 チラリとだけ見えた母、カナタのつるぺったんな姿を思い出さないように、自分の腕の皮を抓る。


「あらら? アスタちゃん、お背中お流しするのよ? ご褒美じゃない?」

「なんでいるんだよ母さん!?」

「だから言ってるでしょ? お背中お流ししますって」

「普通の母親はしないだろ!?」

「よそはよそ! うちはうち!」

「便利な言葉使ってんじゃねぇ!!」


 今日もノエルの聖水採集やら、リリカの鍛錬とついでにドラゴン倒したりやら、アイナのおっぱ……魔力を絞ったりやらして疲れてるんだよ!

 拍車をかけるんじゃねぇ!


「分かったわ。お母さん、背中だけじゃなくて前も洗っちゃうわ!」

「何にも分かってねぇし文脈が繋がってねぇよ!!」


 くそ、こうなったら裸を見てでも風呂場から連れ出すしか無い。

 大丈夫だ、どれだけ美人でも自分の母親。

 裸を見るくらいどうってことないはずだ。


 もう一度体を翻し、目の前にいる母さんを見る。


「あら、漸くこっちを向いてくれたわね。どぉ~? お母さんの身体綺麗でしょ?」


 俺と同じ位の身長だが、魔女という職業も相まって筋肉の少ない柔らかそうな身体。

 何にも隠されていないそのスレンダーな身体といつもはサイドテールにしている下ろした髪は、お風呂場の湿気によって艶やかに光っている。

 姉のアイナは魔力によって大きさが変わるので除外するが、仮にも超おおきなものをお持ちな妹のリリカがいるのに、その母親は無いんじゃない? って思うくらいに貧相だ。


 学生時代は男装の麗人として女性から人気だったらしい。

 まぁ、母は男装どころか普通に女子制服を着ていたようなのだが、スカート履いて男装の麗人って……そこまで無かったのか……。


「ねぇアスタちゃん、どうして泣いているの? 私の裸に感動したの?」

「いや……、可哀想だなって思って」

「ガーン」


 謎の効果音を口に出しながら、四つん這いになって絶望する母。

 丁度隙になっているし、持ちやすそうだから立ち直る前に運び出すことにする。


「可哀想……可哀想……。リリカ……分けてもらえるかしら……?」


 無理だと思うぞ。

 いくら普通の人の二倍以上持っていても、あげられないものはあげられないだろう。


 只管に四つん這いのポーズのままブツブツと呟いている母を脱衣場の前の廊下に置いて、脱衣場の扉に魔法で鍵を掛けておく。

 魔法で解除されないように魔力を認識させる必要があり、魔力はDNAのようなもので人其々違うので、これで俺以外はこの扉を開けることは出来ない。

 突き破られないように防護の魔法も掛けた上で、念願の風呂へと入るのだった。




「ぷんぷん、アスタちゃんったら酷いんだから」

「お母さんの方が悪いと思うわよ?」

「母様、兄様に迷惑を掛けては駄目ですよ!」


 夕飯を食べ終わった後、婚約者二人に洗い物を任せてやっと一息吐けるようになる。

 リビングで一つのソファに横並びで座っている母のカナタ、姉のアイナ、妹のリリカを見ると三姉妹にしか見えない。

 息子に欲情する変態な母親だが、流石は美魔女と言った所だろうか。

 前半の部分で戻れないほどにマイナスになってるけど。


 リビングにある亡き父がよく使っていた一人用の椅子に座ると、飛んで来るようにリリカがやってきた。


「お疲れ様です兄様! 肩をお揉みしましょうか?」

「あぁ、頼む」

「了解です!」


 鍛錬の成果か段々と握力が強くなっているリリカは、程よい力加減で凝り固まった肩を揉み解してくれる。

 この家で一番の癒しはリリカだな。


「あ、そうだアスタちゃん。明日から弁当一つ追加してもらってもいいかな?」

「まぁ一個増えても対して作業は変わらないから、別にいいが。仕事か?」

「仕事と言えば仕事かな?」

「何で疑問系なんだよ」


 首を傾げる母に少し心配しつつ、明日から弁当追加のことを記憶に刻む。


「うふふ。楽しみだわ」

「お母さん、何企んでるの?」

「あらアイナ、企んでるなんて人聞きの悪いこと言うわね。何も企んでなんか、ふふっ、無いわよ」

「いやお母さん笑い漏れてるわよ」

「うふふっ、うふふふふ」

「怖っ」


 不気味に笑う母からソファに座りつつも距離を取ろうとするアイナ。

 そんな様子を見ながら俺は考える。


 ――明日何かあったら、とりあえず母のせいにしよう。と。




「――皆さん初めまして!! アスタちゃんのお母さんで、今日からこの教室で一緒にお勉強する、カナタ=クロックです! よろしくね!」

「……は?」

「あれが、お義母様?」

「お義母さん、小さくなっちゃったの?」


 次の日の教室。

 授業が始まる前に担任から紹介されたのは、背の小さい見た目だけなら小学生位の女の子。

 見覚えのある顔付きと、若くなってはいるものの聞き覚えのある声、黒い髪をサイドテールで纏めた髪型。

 そして魔力から見るに間違いなく、このクラスに転入してきたこの幼女は。


「何やってんだよ……母さん」


 俺の母だった。


「アスタちゃん、今日から一緒だよ!」

「……はぁ」

「こくお……ごほん、先生にせんの……ごほんごほん。先生にお願いして、入れてもらったの!」

「……はぁ」


 適当に頷き返しながら、これからの学校生活を憂鬱に想像する。

 いやもう、面倒臭い予感しかしない。

 ていうか今国王を洗脳したって言わなかった?


「お義母様、ど、どうしてこのようなことを?」

「アスタちゃんと一緒に学園生活を送ってみたかったの! 姿は一晩で作った『幼女になれる魔法』を使ったのよ! 因みに元に戻る魔法は作ってないわ!」

「もうやだこの母親」


 多分その気になれば一晩で元に戻る魔法位は作れるんだろうが、作っていないということは元に戻る気が無いということだ。


「お義母さん! わ、私もその魔法使いたい!」

「ノエルちゃん、いいわよ! じゃあさっそ」

「アホか!!」

「ふべっ!? あ、アシュラちゃん、ひたはんじゃったじゃらい」


 誰が阿修羅だ。

 一応、これでも一応国内で有数の権威を持つ聖女をそう簡単に幼女にされてたまるか。

 俺が母、いやもうカナタでいいか。

 カナタの頭を叩くと、どうやら舌を噛んでしまったらしいが、いいからさっさと魔法で治せよ。

 あざとさで攻めたいのだろうか。


「んんっ、とりあえず今日からアスタちゃんの隣りの席で勉強するから、よろしくね!」


 右隣に王女(サーラ)

 後ろに聖女(ノエル)

 そして左隣に母親(カナタ)


 これまで以上に喧しくなりそうな学園生活に、俺は溜め息しか出なかった。

 ……というか隣りの席にいた男子、何処に飛ばされたんだ?

 教室にも居ないんだけど。国家権力怖ぇ。

バブみ(実母)を目指します。

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