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05 これは姉への治療行為である。

ちちもめ。

 リリカの鍛錬が終わった後、俺は家に戻ってアイナの部屋へと向かった。

 特異体質であるアイナの体調確認と、ケアの為だ。


「アイナ、いるか?」

「入っていいわよ、アーくん」


 扉の前で確認を取った後、部屋へと入る。

 ぬいぐるみだらけの床は足の踏み場を探すのが一苦労なほどで、進みながら通り道ができるように片付けていく。

 漸く、勉強していたのか机に向かって何かを書き記しているアイナの傍へと辿り着いた。


「少し待っててねアーくん。もうすぐ一段落つくから」

「ああ」


 手持ち無沙汰になった俺は本棚に置かれている魔術関係の本を取り出して、読むことにした。

 まぁ本棚までの道を作ることから始まるんだが。

 俺がぬいぐるみを片付けていると、アイナが手を止めずに声を掛けてきた。


「リリカはどうだったの?」

「やっぱり体力が無いからな。筋肉は徐々についているけど、体力をもっとつけないといけないだろうな」

「そう。私も何か、リリカにできることがあればいいのだけれど」

「毎日甘えさせてやってるんだろ? それで充分だよ」

「……なら、いいのだけれど」


 それから無言で、俺は本を読んでアイナは作業をしていた。

 アイナが背伸びをして席を立ったと同時に、本を閉じて本棚に仕舞う。

 アイナはベッドに仰向けで寝転び、俺はその横に移動した。


「それじゃあアーくん、よろしくね」

「ああ」


 アイナは寝転がったまま服のボタンを外していく。

 そして服を広げると、豊満な肌色の身体に薄い下着だけを着けた姿が露わになった。

 俺は理性を保つよう深呼吸をしながら、アイナがその下着を外す光景を見ていた。

 部屋の中の家具やぬいぐるみに保護魔法を掛けて、これから起こる事態への対策をしながら。


「アーくん、そんなにジロジロ見ちゃって。お姉ちゃんの身体に興味ある?」

「……魔術的な興味ならな。それじゃあ調子見ていくから、動くなよ」

「性的な興味を持ってもいいのよ? お姉ちゃんはいつでもウェルカムなの」

「動くな喋るな」

「いやんっ、アーくんの意地悪」

「……」


 会話すればするほど理性が削られていく気がする。

 そう思った俺は口を閉じたまま、アイナの大きな胸に手を触れた。


「あんっ! んっ、アーくぅん」

「……」


 アイナは生まれつき魔力を身体の一部分に溜めてしまう体質だ。

 魔力は人間にとって欠かせない血のようなもので、普通の人は自身の保有限界以上、つまり器に水が満パンに入るまでしか魔力を蓄えることはできない。

 だがアイナは保有限界を越えても魔力を精製していき、その溢れ出た魔力が身体の一部分に溜め込まれてしまうのだ。

 もし放っておけば、身体が耐えきれずに命を失う可能性もある、非常に危険な体質だ。


 俺にとっても危険な体質なのだ。

 何故ならアイナが魔力を溜め込む身体の一部分とは。


 ――おっぱいなのだから。




「んふぅ、やんっ、あ、ああ、そこだめぇ」

「……」

「先っぽもぉ、先っぽも触ってぇ、あんっ、も、もっと、強くぅ、んんっ」

「……」


 俺は今、無心になっている。

 これは検診なのだ。

 魔力が必要以上に溜まっていないか、変な溜まり方をしていないか、何か変化が起きていないか。

 れっきとした医療行為であって、何もやましいことなどしていないのだから。


「あんっ、んう、ひゃっ、そこっ、くすぐったいぃ」

「……」

「アーくん、アーくんアーくんアーくん。もっとぉ、いっぱい触ってぇ、んんっ」

「……」


 うん、とりあえず問題は無さそうだな。

 後は魔力を逃してやって、一度溜め込んだ魔力をゼロにしておこう。

 これでまた数日は検査しなくていいからな。


「アイナ、魔力を出すぞ」

「うんっ! 出して! 私の魔力ぅ、いっぱい、いっぱい出させてぇ!」


 魔力を消費するには、魔法や魔術を使う方法しかない。

 だがアイナは魔法や魔術の実践が大の苦手なのだ。

 その代わりに座学、研究が得意なアイナは、魔力を液体に変える魔法を生み出した。

 その魔法を俺が使うことによって、アイナの魔力を液体にして、おっぱいから出す。

 これは医療行為であって、決していかがわしい行為ではない。


「んくっ、んっ、あふぅ、出ちゃう、出ちゃう、きちゃうぅ!」

「……」

「ああ、あ、出りゅううううううううううううう!! んああああああ!!」


 アイナの胸の先端から、魔力を変化させた液体が噴出される。

 アイナの顔は火照り、目をギュッと瞑って、俺の顔へと付着する液体は甘い匂いを発していた。

 俺は絞り出すように胸を揉み、部屋中に散布されるシャワーを遠い目で眺めていた。


「んんんんんんんん!! 出てりゅうううう、止まんなひいいいいいいい!!」

「……」

「ああ、あん、んぅ……。いっぱひぃ、れたぁ、アーくぅん……」


 出したのは魔力であって、俺が行った行為は医療行為である。

 実の姉が死の危険に晒されているのだ、だから俺がこういったことをするのは当然。

 この魔法を使えるのは家族でただ一人なわけで、俺がやるしかないのだから。


「アー、くぅ……すー、すー」

「……寝た、か」


 治療を終えて体力を消耗したため、アイナは疲れて寝てしまった。

 俺は持ってきておいたタオルを魔法で湿らせ、アイナの身体全体に飛んでいる魔法の液体を拭き取っていく。

 勿論俺の体中にも付着しているのだが、まぁ後で風呂に入ることにしよう。


「アーくん……いつも、ありが……すー」

「どういたしまして」


 アイナの寝言に返答しながら、ぬいぐるみや家具に掛けておいた保護魔法を解除する。

 これが無かったら部屋中に液体が付着して、甘い匂いが広がるからな。

 ちなみにこの保護魔法は一度発動すると動かせないので、治療行為で動く俺と、激しく声を上げて身じろいだり、足をピンと伸ばして腰を浮かせたりするアイナには掛けられない。


 アイナに布団を被せて、漸く治療行為は終わりを迎えた。

 ああ、俺今日も頑張ったよ。

 さっさと風呂入って、家事が壊滅的な家族たちに代わって晩飯を作りますか。




「お背中お流しします、アスタちゃん♪」

「……」


 お風呂場で待っていたのは、タオルすらも巻いていないつるぺったんな母さんだった。

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