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03 聖女の聖水で世界を浄化する(直球)

「でもね、アスが強くなったのは私のお陰だよ?」

「まぁそりゃな。知らず知らずの内だが」


 お昼休憩の時間。

 俺とノエル、サーラは食堂の一角でご飯をとっていた。

 今日はステーキ定食、これが無料なんだから本当に国立に来て良かったと思える。

 まぁ、この国では国立の学園以外ないのだが。


 それで先ほどの会話だが、ノエルのお陰で俺の身体能力は群を抜いている。

 何故なら俺は、知らぬ内に聖水の力を蓄えていたのだから。

 ……ノエルのあれの後始末によって。


「昔からノエルは漏らしてばかりいたからな、まさかそれが聖水という理由があったとは思わなかったが」

「そうなんだよ! 私も途中まで知らなかったから、まさかこれが聖水だなんて思わなかったけどね」


 幼馴染であるノエルは、頻繁におしっこを漏らしていた。

 街中であろうが山の中であろうが家の中であろうが。

 それを掃除するのと、泣くノエルをあやすのが俺の役目だったからな。


「へへんっ、だからアスは私にもっと感謝すべきだよ!」

「いや、俺ずっとノエルの面倒見てきたんだけど。お前が俺に感謝しような」

「いつもありがとうね!」

「その素直さだけは褒めてやる」


 いやぁ、ノエルのおしっこが聖水だと知ったときは本当にびっくりしたもんだ。

 聖水によって身体能力が上がっていると聞いたときには、涙したもんだよ。

 ……努力って、こんな形でも結ばれるんだなあって。

 非常に不本意な、真面目に身体を鍛えている人には聞かせられない形ではあったけれども。


 ノエルとの話が終わった瞬間、サーラはスプーンを音を立てて置いた。

 頭は駄目な癖に、テーブルマナーは確りしているサーラにしては珍しいな。

 何か伝えたいことがあるのだろうか。


「アスタ、ノエル」

「んー? どったの?」


 俺は目線でサーラに問う。

 すると彼女は席を立ち、俺達を指さして大声で叫んだ。

 沢山の生徒たちが集まった、皆が食事をとっているこの食堂で。


「食事中におしっこの話しないでくださいませっ!!」


 その日の食堂では、飯を噴き出す生徒が多かったらしい。




「んんっ、そろそろ我慢の限界かも」

「よし行ってこい」

「ほらアスも!」

「……はぁ、なんで俺が」


 ノエルには一日に六回ほど、やらなくてはいけない行為がある。

 それは、聖水作り。


 ……包み隠さず言えば、おしっこだ。


 別に普通にトイレに行けばいいのでは、と思うだろうがこれには問題点があった。

 聖水をトイレにまくと、下水が浄化されて終わりなのだ。

 シーコ聖教では数日に一回聖水を街中に撒き、魔を祓うという非常に大切な仕事がある。

 聖女一人では街を回り切れないということで、聖水を予め作っておいてシスターたちに配るのだ。

 つまり。


 ――ノエルのおしっこは聖教に保管され、他人の手によって街中に散布される。


 なんて街を歩きたくなくなる言葉だろうか。

 ご丁寧に奴等は霧吹きで街中の道、壁、公園、そして店の中まで浄化していく。

 事情を知っている俺からすれば、どんどん街が汚くなっているようにしか思えない。

 一応、聖水の効果以外を取り除く濾過をしているらしいが、内情を知った国民は卒倒するに違いない。


「いつもごめんね、アス」

「そう思うなら俺以外の奴を雇えよ」

「ええー! 嫌だよ。女の子でも、私のおしっこを受け止めてなんて言いたくないもん!」


 俺ならいいのか。


「勿論だよ!」


 地の文を読むな。

 婚約者だからいいのか、それとも俺に迷惑をかけるのが当たり前になっているのか。

 そんなわけで俺は、ノエルのおしっこもとい聖水を汲む仕事をすることになっている。


「なぁ、俺って目隠しとか駄目なの?」

「わ、私一人じゃ零しちゃうし、容器の入れ替えも出来ないし、アスも零したり手についたら嫌でしょ?」

「いやまぁ、そりゃな」

「私的にはアスに飲んでもらいたいくらいだけどね!!」

「はっ倒すぞアホ」


 聖教の方からの要望で学園内に作られた、教会の一室。

 ノエルは二つの台に足を載せて、台の間に腰を落とす。

 そして俺が下半身を露わにしているノエルの前に座って、容器を置く。

 普通の男なら襲っている状況だ、俺も正直恥ずかしい。

 でもそれ以上に。


「アス、もっと近付いていいんだよぉ?」


 この変態が苛つくから理性を保っている。

 というか逆に怒りで理性が弾けそうだ。


「ほらさっさと済ませるぞ」

「それじゃあ出すよ?」

「ああ」


 今思うとサーラのあれを見ても意外と無事だったのは、ノエルのこれで慣れているからかもしれない。

 ヤンキーのような座り方という点と、そこから何かを出しているという点でいえば同じだしな。


「んんっ」

「……」


 そして今の俺が考えることはたった一つ。

 無心になれ。

 ただこの聖水を汲むことだけを考えろ。

 これは聖水だ。

 決してやましいものではない。

 聖なる水だ、これは社会貢献なのだ。


「んくっ、ふっ、はぁ、んっ」


 ……サーラは魔石を捻り出すときが気持ちいいなどと言っていた。

 それをわざわざ俺に言う変態だ。

 それはノエルも同じ。


「んふっ、や、っぱぁ、アスぅの前でするのぉ、いぃ、かもぉ」


 悩ましげな吐息交じりに、こんなことを仰る。

 頑張れ俺の鋼の精神。

 しかしこれまでも何回も繰り返してきた行為だ、もうおしっこを採って五年は過ぎている。

 云わば俺は、おっしこマスターなのだ。

 おっしこ採りで生計を立てられる気がする。

 ……いかん、精神がおかしくなっている。


「んっ、ん……」

「終わったか?」

「あと、ちょっとだけ」


 最後にチョロチョロっと絞り出してから、ノエルは聖水作りを終えた。

 俺は採取している間、小さな容器に何個も入れ替えながら汲んだ。

 容器を入れ替えるときに手が濡れて、ぬるい感触が頭にこびりつく。

 結局汚れてんじゃねえか。


「ありがとう、アス」

「どうしたしまして、これはここに置いておけばいいのか?」

「うん。またシスターの人が取りに来てくれるから」


 この聖水の秘密は、教会でも地位の高い数人の女性だけが知っているらしい。

 前代聖女の魔法の如雨露も、ただの如雨露だったらしい。

 信じてたのに、悲しい。

 夢は夢だった。


 後ろを向いている間にノエルはお尻を拭いて下着とスカートを履きなおした。

 俺も水で手を入念に洗ってからハンカチで水滴を拭き取る。

 背後から抱きついてくるノエルの気配を感じて振り返り、床に落ちている布切れを見て俺は思うのだ。


 なんでこいつパンツを履き忘れているんだ、と。

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