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不思議な夢を見た。
上か下かもわからない真っ白な世界に一人。
痛いくらいの静寂の中にシルヴィアはいた。
「ここは……? えっと……何してたっけ?」
独り言を言っただけだったのだが。
【君は、今深い眠りについてるんだよ】
と返事が返ってきたのには驚いた。
「誰? どこにいるんだ?」
【俺は誰でもないし、ずっと君の傍にいるよ】
声の主は、のらりくらりとはぐらかすかのように明確な返事を返してくれなかった。
ただ、気が狂いそうなくらいに白い空間にいるので、話し相手がいるだけでありがたかった。
「君が誰でもいいや。ここが、どこだか知ってる?」
【君の心の中さ】
「心の中?」
【さっきも言ったけど、君は今、深い眠りについているんだ。でも、それで良い。時が来れば、すぐに元の世界に戻れるからね】
「それって、いつ?」
【それは君次第】
「ふーん?」
【それより退屈だろう? 俺が言葉を教えてあげよう】
「言葉? 知ってるよ?」
【君が今使っている言葉じゃないよ。今、俺が使っているような本当の言葉の事だ】
「本当の言葉?」
【そう。世界は言葉で出来ているんだ。火や水、風や土、魔術、呪術、医術、古代語、君の身体だって、この言葉で出来ているんだよ】
「えー? 身体も?」
【そうだよ。初めは俺と会話するだけでいい。簡単に覚えられるよ】
「じゃ、やってみようかな?」
そう。この夢の世界は、何かしていないと気が狂いそうになるくらい、本当に退屈だった。