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仕事欲しがり義妹メアリーはスローライフを送りたい

作者: 山田 勝

「何が起きたのか教えてくれないか?」


 はい、お父様・・・・


 ゲドル様から様々な頼まれ事をされていました。


『ヘレーネ、君は伯爵夫人になれるのだ。今のうちから勉強だ。招待状を書いてくれ』

『はい・・』


 パーティーの招待状から、


『パーティーの準備も手配してくれ』

『はい・・』


 準備まで。


 時には領地経営の書類まで。


『これをまとめてくれ、これも伯爵夫人になったときに役に立つ』


 私は淑女科。ゲドル様は領地経営科・・・

 でも頑張りましたわ。


 伯爵夫人になれるのですもの。

 時々、叱られもしました。


『君、参考文献が古いって言われたぞ』

『申訳ございません』


 それから頑張りました。領地経営の本を読みあさり。教授にも面会して質問をしました。


 パーティーの準備も手を抜かないで頑張っていたら・・・


『やあ、ゲドル、素敵な婚約者だね。このパーティーもヘレーネ嬢が準備したって聞いたぞ』

『素敵なパーティーですわ。ヘレーネ様、有難うございます』


『いや、いや、私の指示がなければ何にも出来ないから困っている。子爵令嬢じゃなくて同じ伯爵令嬢と結婚出来る君が羨ましいよ』


『ゲドル、そんなことを言うな』

『ヘレーネ様は立派だわ』


 ガーン!


 このとき、初めてゲドル様の気持が分かったのです。

 目眩がしました。


『ヘレーネ様!』


 日頃の心労も重なり。この言葉で心が折れ倒れてしまいましたわ。



 ・・・・・・・・



「ゴホ、ゴホ、お父様、お母様、申訳ございません」


「何を言う。寝ていなさい」

「そうよ。しばらくゆっくり休みなさい」

「お嬢様は何も悪くないですわ」



 ・・・お義姉様の部屋に大勢集まっている。

 ドアの隙間から様子を伺う私はメアリー、へレーネから見たら義妹に当たる。6歳だ。両親が早逝し親戚のこの家に引き取られた。


「少し休もう」

「ええ、家族で領地に戻りましょう」


 お義父様とお義母様はお義姉様の療養のために大勢の使用人を伴い領地に戻った。


 私はタウンハウスでお留守番だ。


「メアリー、家庭教師のこと良く聞くのよ」

「はいなの~」


 私が庭で蝶蝶を追っているとゲドルがやってきた。

 こちらから声をかける。


「ゲドル、お義姉様は留守なの~」

「な、様くらいつけろ!君は誰だ」

「メアリーなの~」


 たたみかけて断れなくする話術をとった。

「伯爵令息は忙しいの~、だからお義姉様に用事ならメアリーが承けるの~、書類渡すくらいなら出来るの~」


「分かった!来週までだと伝えておけ」

「分かったの~」


 書類を見た。何々。

『王国軍の展望を述べよ』


 これ、宿題じゃーねえか?


 よしよし。

 部屋に戻って私がやってやる。書き物は得意だ。


「ペン欲し~の」

「メアリー様、日記を書くのですか?」

「そうなの~、恥ずかしいから見ないでなの~」

「はい、はい、分かりましたわ。上手く書けたら私にも見せて下さいね」


 メイドのケリーが私の世話を担当している。

 そして、ケリーは、


「ハンス、おやつよ。私が焼いたの」

「ケリー、有難う」


 恋のお年頃だ。従者のハンスとオフィスラブ。

 多くのお屋敷では旦那様の許可がなければいけない秘密の恋愛。

 故に私への目が行き届かなくなる。


「なの~」


 と宿題を終わらせ。


「ハンスしゃん。お使いを頼むの。ケリーと行って欲しいの~」

「お嬢様、もちろんです」


 ハンスとケリーに届けさせる。


 すると、どうなるかな。





 ☆☆☆貴族学園


「ゲドル君!君は何て・・・何て素晴らしい論文を書いたのだ!」

「教授・・・・」


「その若さで兵站の重要性を認識しているとは、陛下も感心しているぞ!」


「はい!微力ながら、王国に奉公したくて・・・」

「うむ。感心な若者だ」



 ・・・・・・・・・


 また、ゲドルが来た。

 今度はパーティーの招待状と準備だ。



「友人達に論文が認められたことを報告するのだ。頼むよ」


 これは・・・論文が認められたのか?

 お父様の執務室に行こう。


「ケリーしゃん。メアリーはお父様の執務室に行きたいの~。難しい本を読んでいるごっこをしたいの~」

「まあ、ダメですわ。私が絵本を読んで差し上げますわ」

「メアリーはしばらくいないの~、ハンスしゃんとメアリーの部屋を掃除して欲しいの~」


「承りましたわ」


 簡単に鍵を開けてくれた。セックスするなよと言いたいが口に出さない。さすがに子供部屋でセックスしないか。


 さて、お父様の部屋には貴族年鑑とか王国職制図とかある。

 これから偉い方に招待状を書く。


 そして、パーティーの準備は商会を呼ぶ。丸投げだ。


「チョー簡単な立食パーティーをよろしくなの~」

「はい、分かりました。お代は・・・」

「ガーナル伯爵家なの~、お義姉様の婚約者の家なの~」


 これは子供でもお義姉様がそう処置していたからすんなり通った。前例があるのだ。

 さて、これからどうなるか・・・見物だが見に行く手段はない。


「ミャアーー」

「ニケちゃん。遊ぶの~」

「ミャン、ミャー」


 猫と遊び。シェフの子、ベッキーお姉さんにおままごとの相手をしてもらいながら、幼女に戻った。


「旦那様!このライターはどこのお店なの~」

「え、ライター?」

「ごめんなの~、メアリー幼女だから間違えたの」





 ☆☆☆ガーナル伯爵家パーティー当日


「な、何だ。これは、ヘレーネ、ヘレーネはどこだ!」

「坊ちゃま・・・」


「おい、商人、これは何だ!」

「はい、ご注文頂いたパーティーです。最安値の立食パーティーですが・・何か?」


 おかしい。おかしいぞ。料理もニシンやジャガイモ、野菜だけだ。


「坊ちゃま・・・お客様が参りましたが・・」

「まあ、いい。友人だ。ヘレーネがヘマしたと言っとくさ」



「ブ、ブラウン王国軍将軍閣下夫妻でございます」


「な、何だと!」


 先触れを聞いたが意味が分からない。歴戦の勇、王国の剣、ブラウン将軍閣下だと。侯爵位だよな。


 そのほかにも。


「商務卿閣下・・・に、宰相府宰相代理・・・」


 恐ろしい面々がそろった。


「君が、ゲドル君か・・・」

「ブラウン将軍閣下、これは違うのです。ヘレーネが・・・」


【いや、素晴らしい!我輩は感動したぞ。質素なパーティー、新鮮だ。なあ、家内よ】


「ええ、お若いのに、兵は前線で苦労しておりますわ。それを忍べと言う事ね。烈士は、部下を豪華もてなし、上司は質素にもてなして意見する。この若さで出来る気概ではございませわ」


「え、はい」


「あの素晴らしい論文を書いただけのことはある。是非、我が婿に欲しいところだ!」


「いや、あの婚約者がおりますが・・」

「君、婚約は契約でもある。正直に話し誠意を持って解消することは王国の定める法である!」


「ええ、そうよ。領地に娘がおりますの・・・とても繊細な子で、ゲドル様はこれから中央に出ますわ。婚約者に苦労させないためにも解消しては如何ですか?」


 夫人は美人だ。将軍閣下の顔は傷だらけ、オークのように醜いのに・・・

 これは・・・


「はい、父上、母上に相談します」

「うむ。期待しているぞ」



 ・・・・・・・・・・・・



 何が起きてるか分からないが、お姉様は婚約解消になった。

 多額の違約金つきだ。


 ゲドルはホクホク顔だ。


「申訳ない。私は王宮で仕事をする。子爵令嬢では釣り合いがとれない。君とは婚約解消だ」

「分かりました・・・」


 お姉様にとっては良いのかもしれない。

 何でも侯爵令嬢のミシリー様と婚約を結んだそうだが。

 どんな方なのだろうか?

 まあ、どうでも良い。




 ☆☆☆ブラウン侯爵家


「おら、ミシリーだぁ!ゲドル様、早く閨にいくだ!」

「ヒィ、何ですか?」


「オホホホホホ、ミシリー、まだ早いわ。ゲドル様、娘は田舎育ちですわ。お父様そっくりで素手で魔物を狩りますの」


「おら、貴公子と結婚出来て幸せだぁーーー」

「ヒィヒヒ!」




 ・・・・・・・・・・



 さて、わたしゃ、のんびり幼女ライフを満喫するか。

 ベッキーお姉さんとおままごとするか?


 とメアリー我思うしていたら、私宛に贈り物が届いた。差出人は不明だ。

 驚いた。


 バットとグローブとボールだ。この世界にあるのか?

 素材はこの世界の物だ。


 折角だから遊ぶか。前世、ソフトを体育でやったくらいだ。


「ハンスが投げるの。ケリーが受けるの。バッテリーは夫婦なの~、キャッチャーが女房役なの~!」


 と言ったら顔をボッと赤くしてやがる。早く結婚せい!と言いたい。

 ベッキーがバッターで私が外野手で遊んでいたら。


「バッチ、こいなの~!」


 来訪者が庭に来た。


「貴方がメアリーね」


 美人に声をかけられた。年齢と服装からどこかの貴族夫人か?隣に男子がいる。


「私はブラウン夫人よ。アレクサンドラ・ブラウン、アレクサンドラと呼んでいいわ」


「初めましてなの~」


 夫人の隣の子の年齢は私と同じくらい。金髪碧眼で可愛い。将来が楽しみだ。一目で分かった。ブラウン夫人の子?


「初めまして、メアリー様、僕はオレグ・ブラウンです!」


 ブラウン夫人はにんまり笑って。


「オレグも交ぜてくれないかしら。『やきゅう』にね」

「はにゃ?」


 何故、日本語を知っている?


「フフフフ、これは転生者から得た知識よ。異界の遊戯だそうだわね・・」


「メアリー知らないの。道具があったから・・・」


 言っているそばから気がついた。

 そう言えばテレビであったな。全く野球を知らないアフリカの部族に野球道具一式を贈ったら、どう行動するかの番組が、結果は・・・


 二手に分かれて、グローブを頭に被って、ケンケンパーとやっていた・・・


「そうよ。これはルールを知らなければ遊び方が分からないわね。貴方、転生者でしょう・・・」



 どう見ても、ゲドル君が書ける論文ではない。コンテナを利用した物資輸送。均一な箱に荷を乗せ。馬車に詰め込む。

 ロスはあるかもしれないが、積み込むスピードが段違いだわ。


 調べたら、ヘレーネ様は領地で療養。

 ゲドル君の図太さはミシリー向きだと思って娶せたのよ。

 今ごろ、領地で魔物を狩っているわ。


 そして、論文の書いた者を探したら・・・



「消去法で行き着いたのはメアリー、貴方なの」

「メアリーは幼女なの~」


「そう、幼女だからとりあえず・・・オレグと野球をしなさい。貴女がキャッチー、オレグがピッチャーでね」


「はいなの~」


「オホホホホ、オレグ、メアリーを大事にしなさい。キャッチャーは夫人役ですからね」


「はい!母上」


「ギャフン!」と叫んだ私がいた。


 してやられた自分がいた。転生者、スローライフを送りたい。


最後までお読み頂き有難うございました。

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― 新着の感想 ―
「なの〜」では逃げ切れ無かったかwwwwww
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