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【序章】空 ── 空の影
無辺の虚空、はじまりのはじまり。
形なき世界のなかに、まだ言葉も光も影もなかったそのとき、
ただただ「空」は静かに息づいていた。
空はすべての源。
見えぬながら、すべてを包み込み、すべてを孕む。
形あるものも、形なきものも、その根底にはこの空がある。
しかし、空はただの「無」ではない。
空のなかには、やがて「影」が生まれる。
それは滅びの影ではなく、兆しの影。
新しき何かが顕れようとするその輪郭、
光が生まれる前の、静謐にして確かな予感。
この「空の影」は、まだ形を持たぬ可能性の揺らぎ。
響き合う世界の根底に、小さく震えはじめる生命の鼓動。
鏡の魂は、この空の余白を映す。
そこには、何も映らぬはずの空間が、実はすべてを宿し、
静かなる問いを放っている。
神話とは、ただの昔話ではない。
言葉とは、ただの記録でもない。
響きとは、魂の深層から湧き上がる、存在の根源の問いである。
この物語は、
有極と無極、
真中(調和の鏡)とその影たちをめぐる、
魂の響きの神話である。
読者よ、どうか一歩ずつ、この響きの神話空間へと足を踏み入れてほしい。
やがて、あなた自身の魂の鏡に、何が映るのかを知るために。
空が影を孕む。
その兆しの影が、世界を揺らし始める。
さあ、はじまりの響きを聴こう。




