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三智の女神ラコルージョ(ショートショート)

作者: 藻ノ かたり

昔々、この世にはラコルージョという女神がおりました。彼女は天(宇宙)、地、海の全ての知識を備えておりました。


世界に破滅が訪れようとした時、それを防がんとした勇者たちに、彼女は啓示を与えます。


「冥界の知識を持つ女神ハレッシーナを探しなさい」


勇者たちは苦難の末、かの女神を見つけ出しますが、彼女の告げた真実に驚愕します。


実は女神は最初四人おり、それぞれが天、地、海、冥府の知識を持っておりました。しかし地の知識を持つラコルージョが天と海の知識を持つ女神を殺害し、その知識を奪ったのです。冥府の知識を持つ女神ハレッシーナだけは、からくも逃げ延びどこかへ隠れてしまいました。


全ての知識を手に入れようとしたラコルージョが、勇者たちを騙してハレッシーナを探させたのです。何故ならば、ハレッシーナは他の女神から気配を消す術を知っていたからでした。ただしこの術は、女神以外には通じません。そしてもちろん、地上を襲った破滅の兆候は、勇者たちを利用するために画策されたラコルージョの自作自演でした。


勇者たちは悩みます。このままハレッシーナの居場所をラコルージョに教え、全ての知識を得た全知全能の女神の奴隷として生きて行くのか、それともハレッシーナと協力して反逆を企てるかの選択を迫られます。


結果、彼らは人間を統べないという盟約をハレッシーナと交わし、友に戦いラコルージョを倒しました。そして破れたラコルージョの持つ知識は、際限なく微細に砕け散り、時間と場所を超越して全世界へと振りまかれます。


その欠片を知らず知らずに享受した人間たちは、何千年もの時を掛け、それぞれの世界、すなわち天(宇宙)、地、海の様々な事柄を少しずつ発見していきました。一方、人間が未だに冥府について殆ど知識を得ていないのは、冥府の知識を持つ女神だけが、今もどこかで生き続けているからだと言われています。



【終わり】


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