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愛を信じる者(第1部 / 奇跡の復元)

夕暮れ時、第三都市の中央広場は幻想的な光景に包まれていた。数千人の人々が手を繋いで巨大な輪を作り、その中心でアルヴィオンと四人が世界修復の儀式を行おうとしている。

夕日は蜂蜜色に輝き、空気は薄紫色の霞に包まれて神秘的だった。石畳の上には薔薇の花びらが風に舞い散り、甘い香りが辺りを満たしている。遠くから聞こえる鐘の音が、厳かな雰囲気を演出していた。

「皆、準備はよろしいですか?」アルヴィオンが仲間たちを見回した。

「ああ、いつでも大丈夫だ」慶一郎が調和の炎を手のひらに宿した。炎は虹色に輝き、これまで以上に美しい光を放っている。

「天界の力も準備完了です」エレオノーラが純白の翼を広げた。翼から神聖な光の粒子が舞い踊り、まるで星屑のように美しい。

「愛の女神様のご加護もあります」マリエルが愛のペッパーミルを胸に抱いた。容器から立ち上る神聖な香りが、人々の心を温めている。

「古代龍の魂の力も込めます」セリュナが銀色の髪を風になびかせながら答えた。彼女の瞳は深い海のように神秘的で、父への愛と世界への愛が混じり合っている。

アルヴィオンが空に向かって両手を広げた。すると、彼の体から美しい深緑色の光が放たれ、空に巨大な魔法陣が現れた。それは古代龍族に伝わる『創造の大魔法陣』で、失われたものを復元する最強の術式だった。

「始めます」アルヴィオンが宣言した。「『世界愛和復元の大儀式』を」

慶一郎が特別な料理を作り始めた。それは『記憶と絆を蘇らせる奇跡の料理』で、材料は世界中の人々の愛の記憶そのものだった。調和の炎から立ち上る香りは言葉では表現できないほど美しく、嗅いだ人すべての心に幸せな記憶を蘇らせる。

エレオノーラが天使の歌を歌い始めた。それは天界の言葉で歌われる『復活の聖歌』で、失われた魂を呼び戻す力を持っていた。

マリエルも聖女の祈りを捧げた。愛のペッパーミルから神聖な光が放たれ、人々の心の傷を癒していく。

セリュナは古代龍の真の姿に変身し、美しい銀色の龍として空を舞った。彼女の翼から放たれる風は、世界中に愛のメッセージを運んでいく。

そして、アルヴィオンが虚無の力を愛の力に変換し始めた。これまで破壊に使われていた力が、今度は創造のために使われる。


儀式が始まると、世界各地で奇跡的な現象が起こり始めた。

第四都市では、完全に消失していた『永遠の図書館』が、本の一冊一冊から復元されていった。最初は文字が薄く浮かび上がり、次に挿絵が色づき、最後に本全体が物質化する。司書のマスター・アルドリッチも、光の粒子から少しずつ形を取り戻していく。

「これは…素晴らしい」戻ってきたアルドリッチが感動に震えた。「すべての記憶が鮮明に戻っています」

第五都市では、『調和の音楽院』の美しい旋律が空気中に響き始めた。消失していた楽器たちが、まるで音符から生まれるように実体化していく。『記憶の詩人』エリアナも、自分の詩とともに蘇った。

「私の詩が…みんな戻ってきた」エリアナが涙を流しながら呟いた。

黄金龍都でも、外郭の『翡翠の村』と『銀泉の里』が美しい自然とともに復元されていく。住民たちは家族との再会を喜び、愛する人の名前を呼び合っている。

「お母さん!」「お父さん!」「愛してる!」

復元されるのは物質的なものだけではなかった。人々の心の中の愛の記憶も、より鮮明に美しく蘇っていく。家族への愛、友人への愛、恋人への愛…すべての愛が輝きを増して戻ってきた。

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