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四人の誓い(第2部 / 古代龍の婚儀)

午後の穏やかな陽射しが、第三都市の中央神殿に降り注いでいた。この神殿は、今日のためにセリュナの故郷である古代龍族の伝統に合わせて特別に装飾されていた。

祭壇の周りには、古代龍族の聖なる魂の石が配置され、神秘的な青い光を放っている。その光は、千年の歴史を持つ古代龍の婚儀にふさわしい、厳かで美しい輝きだった。

参列者は、これまで四人が救ってきた人々だった。しかし、今日は特別にセリュナの婚儀を祝うため、古代龍族の長老たちも参列していた。彼らは人間の姿を取って現れ、セリュナの新しい人生を祝福していた。

「本日は、古代龍セリュナと人間篠原慶一郎の婚儀にお集まりいただき、ありがとうございます」

司式を務めるのは、古老ヴァルガンだった。彼は威厳ある老人の姿をしているが、その瞳には古代龍の深い知恵が宿っている。

「セリュナは我が龍族の誇り。そして慶一郎殿は、彼女の千年の孤独を癒した恩人。今日、二つの魂が永遠の愛で結ばれることを、古代龍族として心より祝福する」

エレオノーラとマリエルは、祭壇の両脇に立会人として控えていた。二人の表情には、嫉妬や不安ではなく、純粋な祝福の気持ちが表れている。

「セリュナ」ヴァルガンが厳かに呼びかけた。「汝は人間慶一郎を夫として迎え、古代龍の誇りを持って彼を愛し続けることを誓うか?」

セリュナは祭壇の前で深く頭を下げた。「はい。私は慶一郎様を心から愛し、古代龍の力を持って彼をお守りし、永遠に寄り添うことを誓います」

「慶一郎」ヴァルガンは慶一郎に向き直った。「汝は古代龍セリュナを妻として迎え、彼女の誇りを尊重し、愛し続けることを誓うか?」

慶一郎は力強く答えた。「ああ。俺はセリュナを心から愛してる。彼女の千年の知恵を尊重し、一緒に新しい未来を作っていくことを誓うぜ」

その時、セリュナが古代龍の姿に変化した。しかし、今日の彼女は婚儀用の特別な装飾を身に纏っていた。銀色の鱗には金の文様が描かれ、首には龍族の婚儀の証である首飾りが輝いている。

『慶一郎様』セリュナの声が、すべての参列者の心に直接響いた。『私の全てを、あなたに捧げます』

セリュナの口から、美しい光の息が吐かれた。それは古代龍の愛の証で、慶一郎を包み込んで、彼の魂と永遠に結びついた。

そして、セリュナは再び人間の姿に戻った。

慶一郎は調和の炎を燃やし、それをセリュナに向けて差し出した。「セリュナ、これは俺の愛の証だ。この炎と一緒に、俺の心も受け取ってくれ」

調和の炎が大きく燃え上がり、神殿全体を温かな光で包んだ。その光の中で、慶一郎とセリュナの魂が完全に結ばれた瞬間だった。

「では」ヴァルガンが宣言した。「古代龍族の名において、セリュナと慶一郎の永遠の絆を祝福する」

神殿に集まった全ての人々が、一斉に歓声を上げた。エレオノーラとマリエルも、心からの拍手でセリュナの新しい人生を祝福していた。

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