ノーベル賞第二作 『九十九歳の私小説』
といっても書くことがない。
すでに家族全員が他界している。
近所の人間は私がいつ孤独死で迷惑をかけるかということばかり気にしている。
滅多に出くわさないが挨拶をするときにも相手の気持ちが分かってしまい気まずい。
実際九十九歳の人間などというものが存在していても迷惑になるだけなのだ。
長い人生で学んだこともたくさんあったが、ネットやAIの時代に私の知識が必要となるような場面はない。
身につけた教養や経験が無意味すぎて逆に笑えるほどだ。
人生や勉強に意味はない。
凡人はネットやAIに頼って楽に生きなさい。