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ソード&ウィッシュ  作者: おいのち
7/11

招集

闘いが終わると、健闘を讃えようと団員達が集まってきた。


「いい試合だったよ、ライデン。結構惜しかったんじゃないか?」

ラストはそう言い、ライデンの木剣を拾って渡す。


「団長の剣筋をあそこまで捌くなんてなぁ、ライデンさんもさすがって感じですよお。いや、ほんとに。」

フェイも続いてライデンを称えた。


テリーが、肩で息をするマナに跳ねるように飛びつく。

「マナ、結構ヤバかったでしょ〜。遠目から見ても焦ってたのがはっきりわかるんだから〜。」


「前に手合わせした時はいつでしたっけ?1年くらい前かなあ。」

フレンは盛り上がった土をならしながらに呟いた。


「ほ、ほんとに。前に戦ったときより、全然、つよくて...負けちゃうかと思ったわ。」

ふぅ、とマナは息を整え、ライデンの方ちらりと見ると、苦笑した。

(まだ私が勝ててはいるけど、ライデンは全く疲れた様子はない…力ももう負けているし、追い越されるのも時間の問題...かも。)

マナは1人思いにふけり、黙々と剣を振った。


団員達はそれにならい、自分たちのペースで持ってきた木剣を振り始めた。


───

昼も近くなると、団員達は素振りを切りあげて酒場に戻り、昼食の準備を始める。今日の料理の当番はマナ、テリー、フレンの3人。

作る料理はシチューだ。

分担して野菜を切っていると、テーブルのある部屋で待つみんなに聞こえるように、マナが言った。


「今日はね〜、午後から王様と会議があるからね〜。予定は空けておいてよ〜。」


「んー?会議ってこたぁ、玉座の間ではないんですかあ?」


命令ならば、忠誠を誓った六剣聖は必ず目的を遂行する義務がある。それをしないということは、大事な告知であるか、あるいは意見を求めるか、ということは想像できる。

「大事な話かしらね?」

マナは疑問に思いつつ、手を動かし続ける。





グツグツと音が響き、良い匂いもだんだんと広がっていく。

鍋をテーブルに持っていき、その場で蓋を開けると、食欲を掻き立てる匂いが部屋に広がる。

一人一人の皿にシチューをよそい、人数分のパンと野菜を配る。

テリー「結構いい出来じゃない?」


フェイ「お前はお手伝い程度だろ。」


フレン「いい匂い...」


ライデン「美味そうだ。」


ラスト「シチューかあ、長らく遠征行ってたから久しぶりだね。」


マナ「みんなに行き渡った?じゃあ手を合わせて」


6人「「「「「「いただきます。」」」」」」


よく煮込まれた具材にとろみのあるシチュー。香草が良いアクセントになっていて、飽きの感じさせない作りだ。


マナ「2人はどう〜?久しぶりの”おふくろの味”は」


食事ながらにマナはニヤリと笑い各々にスプーンを向けるとラストが笑みをこぼす。


ラスト「ふふ、まずどこから突っ込めばいいのやら。俺らは同い年だし朝サンドイッチを食べただろ?でもそうだな、このくらい凝った料理だと、やっと帰ってきたなって思うかな。」


「ふーん。あっちでは何食べてたの?」


テリーがライデンに問いかける


「木の実か生き物を狩っていた。魔熊1匹だけでも何日かはそれで凌げる。」


「うわ、全然ご飯が楽しみになれないわ...」

今目の前にある”温かい料理”に少しだけ感謝をしてもぐもぐと食べ始める。





人間には皆、魔力が少なからず巡っている。それは微量のものであり、魔法を使えるほどのものではない。だが決して、無い訳ではないのだ。王国の研究員達が日々研究をして発見した真実である。


人間にとっての魔力はそれ自体が体の栄養を整えてくれる。つまり、魔力を含んだ水などを飲んでいれば、理論上は生きていけるということだ。だが、魔力を含んだものは基本的には魔国の土地にしかない。10年前から貿易を閉じている魔国のものを手に入れることは今の状態では難しいことだ。

その上、あまりに濃い魔力は人体がその量に耐えきれなくなり、破壊される。普通の住民には大量の魔力を含んだ魔国産のものは食べられるものでは無いのだ。


だが稀に、人間の中でも保有できる魔力が多い者が産まれる。

魔族と人間の間に出来た子供は、魔力の少ない人間の子、又は魔力の多い魔族の子のどちらかが産まれるが、とても低い確率で魔力を多く保有できる人間の子供が産まれる時があるのだ。ラストが魔力を取り入れても問題なかったのはこの体質だからだ。


───


シチューを食べ終えると、6人はそれぞれ城に向かう準備をするのだった。




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