プロローグ2
「ご、ごめんね〜テリー!」
テリーと呼ばれる女は白目を剥き、仰向けに寝かせられている。その横でマナは青い顔で謝り続けていた。
「今度から跳び移動の時は、絶対ついてきませんよ..こいつ」
フェイと呼ばれた男は青い顔をしながら呆れるように言い放った。
「それより、どうするんです?別に俺1人でも勝てなくはないですけど、こんな理由で自分が怪我するの嫌ですよぉ?俺の能力火力が出るやつじゃないんで。」
「ほんとにごめんねぇ、2匹とも私が責任持って倒しておくからね。フェイはサポートをお願い.....します...。」
「りょーかい」
2人は近くにある木の後ろに身を隠し、少し遠くの竜の様子をうかがった。
近くに足音が響いて来たためか、竜は辺りを警戒し始める。
女がまた、剣を光輝かせる。
竜は近くにいる膨大な魔力を感じ取り、すぐさま逃げる姿勢に移る。
女はそれを逃さずに2匹の竜の片翼を切り落とす。
竜が悲鳴のような叫びを上げて周辺に炎のブレスを撒き散らす。2人はそれを躱す。
男は剣を抜くと、手に持つそれを光らせた。その剣は光とともに形を変えて体をすっぽりと覆うような大盾に変わる。その盾を前に構えて、男は竜に向かって前進して行った。
「そっちは頼んだ!」
女がそう言うともう片方の暴れる竜に手に持つ剣を向ける。その剣が光を放つと女は竜に向かって走り出し、腹を傷つけ、尻尾、腕、足を順に切り落としていき、対象は血を大量に流していく。両足を切り落とした段階で、竜が地面に倒れ込み、動かなくなった。
それを確認するとすぐさまもう片方の竜に標的を変える。
(こっちは体が小さい...これだったら。)
女は飛び上がり腕を大きく振り上げて
───
「危険を取り除けて良かったわ〜。それじゃ、テリーを連れて帰りましょうか〜。ふふっ」
そう言って返り血をタオルで拭う女の後ろには竜の頭が転がっていた。
「ありがとうございます団長。あ、でも後でテリーには謝っといた方がいいと思いますよ。」
「う、うん...」
フェイがテリーを担ぎ、3人は帰路についた
──夜
月が上る頃、町あかりがつき始め、夜だというのにいつも賑やかなこの王国は今日も平和が保たれていた。
城の近くには、六剣聖たっての希望で、専用寮が置かれていた。その場所で、普段剣聖に訪れる任務や、街で貼られる依頼で手に負えなくなったものはこちらに回される。
───ガチャ
依頼から帰ったフェイ、テリー、マナを低い美声で喋る鳥が出迎えた。
「オウ、オツカレサン。サンニントモ」
階段からトテトテと音がすると、紫色の羽が生えた女性が次いで迎えた。
「あ、おかえりなさい。」
「ただいま〜フレン〜」「...ただいま」「やぁ、フレン。今日も可愛らしいねぇ」
3人も答えると、それぞれイスに寄りかかり、くつろぎ始めた。
だが、テリーだけはいつまでもムッとした表情である。
「あれ...テリーちゃん元気ないんです...か?」
そう聞いた途端、よくぞ聞いてくれたと言わんばかりに、テリーがフレンに抱きつく。
「聴いてよフレン〜〜〜!!アタシね〜?マナが誘ってくれたからね?行ったのにさ〜〜こいつはいるしーー!マナには虐められるしーー!もうアタシ必要あった?!もうこんなんだったら...こんなんだっだらいぎだぐながっだ〜〜〜」
「あはは...」
そう愚痴を言い散らすテリーをフレンは優しく慰めていた。
マナはテリーに対して、恐る恐ると謝り続ける。
「て、テリー?ほんとに悪かったから〜...ごめんね〜...」
だがテリーは一瞬マナを見たが、すぐにふいっと向こうを向いてしまった。
「そうさせた本人なんですよ団長。最初から嫌われてる俺はともかく、今日は団長にも非がある」
「そんなあ...」