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軍用機VS競技用機

 シド達は何やら用意をしている。

 きっと、この後仕掛けてくるであろうテロリストとやらに対応しようとしているんだろう。

 なら私はどうする。

 ペイルライムの攻撃は一応通用する。けど、相手を破壊するつもりなら時間が掛かりすぎる。

 一方であちらの攻撃はいくら堅牢な装甲を持つペイルライムでも当たれば致命傷。

 考えろ。考えろ一文字リオ。

 ビームベイヨネットのチャージショットなら通じる。それは解ってる。さっき掠めた装甲が融解しているのを確認している。

 邪魔をしてくれた爆弾魔の爆風をモロに受けてエクスエイトとかいう奴の装甲も大分傷がついたはずだから、さっきよりも通り易いはず。

『か、観客の皆さん、直ちに会場から離れてください! 緊急事態です、避難を!』

 実況が実況席に残り観客たちに避難を促す。

 当然会場はパニック状態で、避難もスムーズに行えていない。

 幸い、相手は普通の観客に対して攻撃をするような仕草を見せてはいない。

 聞いた話だと、元軍人だったとかだっけか。

 腐っても元軍人。民間人への攻撃には抵抗があるか。

 で、VIP席を撃ったのは相手がどこかの国の要人だったり世界的に有名な資産家だったりで、その死そのものが世界に対して大きな影響を与える人間だから。

 初撃が失敗したとみるや否やエクスエイトはコースから飛び降りる。

 狙いはあくまでもVIP席にいた人間。ここで失敗したなら追いかけて外で仕留めるつもり、ということだろう。

「逃がすか!」

 こちらもエクスエイトを追いかけてコースから飛び降りる。

『動くな! 貴様等のコクピットポッドには爆弾を仕掛けた!』

 と、テロの首謀者らしき男の声がするが、それでもペイルライムには関係がない。

 爆弾なら、シド達が解除した。

『我々はアバーブハート。この歪んだ世界を正すべきものであり、世界に拒絶された者である』

 そりゃあ、戦争が終わったのに未だにドンパチやろうとしている連中が今の世界に許容されるわけがないでしょ。

『戦争が終わり、争いのない世界が訪れた。それはいい。それは我等もかつて目指したものだ。だがしかし、我々はかつて銃を握り、国のために人を殺してきたという理由で新たな世界秩序からは忌み嫌われ排除されてきたのだ。そんなことがあっていいはずがない!』

「そういうの、その石頭をどうにかしてからにしなよ!」

 分割したビームベイヨネットを乱射する。

 狙いをはもちろん、地上に向かって降下し続けているエクスエイト。

 チャージショットではないにしろ、それ相応な威力はあるし、相手の装甲もモロくなってる。

 ビームの雨はエクスエイトの装甲を打つと、それを抉る。

 だが、浅い。軽く三桁近くは当てたぞ。

 それだけ当てても装甲を貫通しない。元々の装甲が固すぎるし、厚すぎる!

 あれ積層装甲か何かじゃないの? 軍用ならそこまでやるかもしれないけど、ってあれ軍用か。

『国のために人を殺したにも関わらず、我々は国から後ろ指をさされる! なのに、人は兵器を捨てない。捨てずに今も、こんなごっこ遊びに使い続ける! 捨てられた者たちのことなど忘れ去り、戦争の置き土産を楽しそうに使って! それが許せない。なぜラピッドマシンは許され、我等は許されないのか!』

 ああ、クソ鬱陶しい。

 恨み言というよりこれでは八つ当たり。聞いているだけでも頭が痛くなりそうな被害者面。

「居場所がない? 最初からなじもうとしていない奴が言うことか」

 先に着地したエクスエイトが上を向いて右腕を突き出すなり、弾丸をばら撒きだす。

 スラスターを噴射させて旋回しながら回避。その間も速射モードで反撃する。

 あちらもこちらの攻撃を避けるために動き出す。

『その答えなど、我々は民衆には求めない。今の世界を作ったあらゆる者たちに問う。そのための贄として、この場にいる各国要人各々方には死んでもらう事にした。世界は我等を歪みだと言うだろう。だが、その歪みを生み出したのは誰なのかと問うために!』

 言ってることが無茶苦茶だし、滅茶苦茶幼稚!!

 そんな理由で、私達のレースを、平和の象徴を否定させてたまるか!

「ッ!?」

 エクスエイトの脚部にある追加装甲がひらく。違う、あれはミサイルポッドだ!

 次々と放たれるミサイル。弾幕を展開しつつ急降下。地表寸前で逆噴射して着地し、即座にダッシュローラーを展開して走り出す。

 その背中めがけて弾幕で撃ち落とせなかったミサイルが追いかけてくる。

 とんでもない追尾性。普通あれだけの急加速したら追尾切れるんじゃないの?

「それにしても」

 言葉がいちいち薄っぺらい。

 まるで台本通りに演技しているようだ。

「んの……」

 とりあえず追ってきたミサイルは速射モードで対応。

 だけど、視線はエクスエイトから決して離さない。

 距離を取った戦いだと、こちらがいくら撃っても装甲をぶち抜ける気がしない。

 チャージショットを狙えば腕の一本くらい持っていけるかもだけど、その時間がない。

 あのミサイルポッド、まだ弾が残ってるみたいだし。

「ちっ」

 かといって接近戦を仕掛けようとしても右腕のマシンキャノンが邪魔で近付けない。

 仮にそれが弾切れになっても、今度は携行武器のマシンガンの弾幕が待ってる。

 こうしているうちに左腕のビームランチャーの冷却も済んでしまうだろうし、近付けないし決定打もないなんてキツすぎる。

 と、後方で何かが光った。

 瞬間、ダッシュローラーを逆回転させて一気に後退する。

 直後。閃光がエクスエイトを直撃する。

 視線をその閃光が飛んできた方向へ向けると、ネメアーが両肩の装甲を展開していた。

 スマートギアを吹き飛ばしたあのビームだ。

「なんで……?」

『リオ、各チームに仕掛けられた爆弾、全部解除し終わった。ついでに、こちらの鎮圧に動いたテロリストも撃退。ベスティアの社長が人を手配してくれたから、もう安全だ。気にせず戦え!』

「なるほど。それは重畳(ちょうじょう)

 各チームの安全が守られている今、ここにある全戦力をあの機体の討伐に向けれる。

 ネメアーのビームに続き、コースから飛び降りてくる機体。ブリュンヒルデとホワイトファングだ。

 地面寸前でスラスターを全開にして着地した二機は、それぞれの近接武器を手にネメアーのビームを受けたエクスエイトへと向かって走り出す。

 ブリュンヒルデは細身のレイピア型の単分子ブレードを、ホワイトファングはビームソードを。

 この場にいる全員が、エクスエイトを共通の敵だと認識している。それだけはわかる。

 だが。相手が悪い。

 ネメアーのビームを受けてなお動くエクスエイト。その腰の装甲が展開してサブアームになって、二機の攻撃を受け止めた。

 それどころか、展開されたサブアームのパワーだけでブリュンヒルデの腕はひしゃげ、ホワイトファングも装甲が砕けていく。

 反撃しようとホワイトファングがビームライフルでエクスエイトのサブアームを撃ち抜こうとするが、そのサブアームまでビームの直撃を受けて無傷。いや、多少はダメージを与えられているか。

 でも、破壊するには至らない。

 結局抵抗もできないまま、ホワイトファングめがけてマシンガンが火を噴いた。

 続けてブリュンヒルデにもマシンキャノンの銃口が向けられる。

 が、ブリュンヒルデは自身の装甲の薄さと関節強度の低さを逆利用して全出力を以て掴まれている右腕を引きちぎって後退し、マシンガンを左手でつかみ乱射する。

 だがそれを豆鉄砲だとでも言わんばかりに受け止め続け、マシンキャノンで反撃。

 何とか回避しているブリュンヒルデだが、足元を弾丸で砕かれ転倒。そこへ弾丸が殺到。ブリュンヒルデが爆散した。

 けど、時間は稼いでくれた。

 両手のビームベイヨネット。そのどちらもチャージ完了。

 即座に連結させてそれをエクスエイトに向けて、放った。

 現状、安全に撃てる最大火力はこれ。これが通じなかったら――あとはもう博打を打つしかない。

 真正面から放ったビームがエクスエイトの装甲へ命中する。

 そしてそれは、確かにエクスエイトを貫通した。

 だけど――違う。

「急所を外した!?」

 まだ、動く?!

 メモリドライブを焼き切れなかった。

 胴体に仕込まれていないのか、あれは!

 だったら、どこだ。ありえるとしたら――頭か?

「なんて考えてる場合じゃないッ」

 倒しきれなかった以上、反撃があるのは当然だ。

 と、エクスエイトが左腕をパージする。どうやらこっちの攻撃で左腕が使い物にならなくなったようだ。

『抵抗は無駄だ。エクスエイトは競技用機体では絶対に勝てない。たとえ機体に穴があこうともな!』

 ブリザードフォックスが降りてきてエクスエイトへ攻撃を仕掛ける。

 マシンガンによる牽制は意味がないと理解したか、確実に相手にダメージが通る損傷個所を狙って攻撃しているが、それが逆に読みやすいのか的確に防がれ続けている。

 フェリスもコースを逆走し、なんとかこちらに合流しようとしている。何せあの機体は推進剤をほとんど搭載していない。高所からの落下にはそもそも機体が耐えられない。

 こちらの今動ける戦力はペイルライムとブルースカイ、そして今まさに戦っているブリザードフォックス、地上まではまだ時間のかかるフェリスのみ。

 軍用機相手にどこまでやれる。どのくらいの攻撃力ならば、あれを倒せる。

「チャージは……させてもらえそうにないか」

 ブリザードフォックス一機だけでは足止めしきれない。

 何より、こちらは機動力以外で奴に勝てる要素がない。

 と、そこへ上空から急襲する機体。ブルースカイだ。

 プラズマ推進で高度を稼ぎながら、上空からの狙撃。

 決して高い威力ではないが、傷だらけのあの機体にとっては直撃さえすれば痛手にくらいはなる。

「これなら、どこまでいける……?」

 相手の足は止まっていない。

 明確に相手に傷を与えられるのは多分、ペイルライムだけ。

 けれど、さすがに無理だ。短期間で高出力ビームを連発したビームベイヨネットはもうチャージショットを撃てない。

 なら、どうする。どうやって傷だらけになっても動き続ける化け物を仕留める。

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