異世界転生したので、弟を理想の男に育てました
異世界転生しました。
ということで、弟を自分好みに仕込もうと思います。
だから、神様、弟をください。シスコンに育てます。お姉ちゃん大好き系の弟にします。一人っ子だったので、弟が欲しいです。チートなんていりません。
お願いします。
わたしに逆光源氏を。
若紫を立派なジェントルマンに育てますよ。
明るい家族計画です。
そうして、伯爵令嬢に転生したわけです。
そこからの日々は、弟を磨き上げる日々。飴と鞭の絶妙なバランスで、弟を鍛え上げる。まぁ、大量の飴だったかもしれないけど……。
「将来はお姉ちゃんと結婚するー」と可愛らしいことを言ってくれた時は、わたしも〜、とか答えていたけど、年齢が上がってくると、アレ、これは、また何かやっちゃいましたか的なやり過ぎ問題がーー。
「姉さん、今日も綺麗ですね」
弟が眩しい笑顔で、ホストのような甘い言葉を、邂逅一線。鼻筋も通っていて、全体的にシュッとしている顔立ち。それに肌も綺麗で整っている。乙女ゲーのどこに出しても恥ずかしくない弟です。
えっと、わたしが結婚したいんですけど、ダメですかね。異世界さん、姉弟婚はオッケーですか、え、だめ、そうですか。いやぁ、でもわたしの内なる遺伝子がオッケーと言っているんだけど。
「ありがとう」
そう言いながら、弟に抱きつく。ええ、弟に抱きついて何か問題でも。ああ、細いのに筋肉質で、体脂肪率何%なんだろう。ああ、ずっと触ってられる。
「姉さん、もう、困るよ」
きゃああああ、イケメンが照れてる。え、何、可愛い。わたしの弟、カッコよくて可愛い完璧じゃん。
わたしの弟が、カッコ良すぎる件について。弟だけど愛さえあれば関係ないよね、弟さえいればいい。さすがはわたしの弟です、さすおと。
「今日から僕も学園の高等部に通うんだからさ」
僕っ子がいいですよね。わたしは俺様系とかドSとか嫌なので、わたしも若い時はちょっと寄った時はあったけど、無理。うん、どう考えても、疲れる。
ということで、男の子はわんこ系が一番です。包容力もあるし、甘えさせてもくれるし、周りも見ているし。たまにシュンとなる姿も、可愛くて。なんというか母性が刺激される。
「そう、お姉ちゃんと一緒にご飯食べようねぇ」
「うん、そうするつもり」
キタっ!学校で弟と食事。もう、弟しか勝たん。
さてと、弟プロデュースは完璧。マイナスな点なんて、ちょっと重度のシスコンだということだけだ。うん、少しの欠点は愛嬌だよね。他のプラスを全てマイナスにひっくり返したりしないよね。
○ ○ ○
「姉さん、俺、好きな人がいるんだ」
バキャァーー。
わたしの心の中のいちごオーレが砕けた音。
「えっと、それはーー」
「でも、今のままじゃダメなんだ」
うんうん、身分の違いかな。貴族にはありがちだよ。何か功績をあげれば、でも弟に危険なことはさせたくないし。
「わかった。お姉ちゃんに任せなさい」
お姉ちゃん、無駄に頑張りました。一世一代の過労物語。なんといっても、人生二週目の、現代知識チートの使える私です。
頑張りますよ、弟の幸せな家庭生活を築くために。
ああ、うん、弟の幸せはわたしの幸せだよ。もう十分すぎるほど楽しんだし。二週目の女子の欲望は、満足しました。これ以上は、束縛粘着最低メンヘラ女まっしぐらなので。
青春とともに、シスコンは卒業するものですよね。
ちゃっちゃと稼ぎましょう。石鹸や化粧水チートを使って、美容革命です。それしかない。いや、それしか思いつかない。
結果、うーん、経済貢献で貴族の席をもらえそうな大商会を作ったんだけど。前世のわたし並に過労だなぁ。
栄養分が欲しい。
ということで、散々、弟に抱きつきまくりました。ええ、いいですよね。めいいっぱい、弟を最後に堪能しておくのです。ああ、このために生きてるって感じる。
そして、貴族の位を侯爵家に格上げしました。ええ、なるようになるものです。
あとは、わたしは消えるのみ。
だって、弟が、僕の嫁です、とか連れてきたら、うん、涙流れそう。
よーし、マンガ描こう。
異世界転生してから、マンガを読んでない。あれほどマンガ好きだったわたしが。
残りの余生は、異世界にマンガを広げることに邁進しますよぉ。
がんばれ、わたし。
所詮、妄想に生きる女子なのだ。人生二週目でも乙女やってる自分なのだから。一緒に小説も書いていこう。わたしの創作意欲を見せてやる。異世界の紫式部になりますとも。
○ ○ ○
「姉さんっ」
「は、いえ、はっ……どうして、ここに?」
ガシッと弟に、抱きしめられた。すごい力でしがみつかれているのだけど、痛い、痛いって。
さらに、たくましくなっているわね。身長も伸びちゃって、わたし、浮いてるんだけど。
「ちょっ、痛いから離して」
「ごめん、姉さん」
って、離さないんかい。
力緩めてるだけじゃない。
逃げないって、たぶん。
なに泣いてるのよ。
「ほらほら、みっともないから泣かないの」
わたしは、弟の目元を拭ってあげる。
「姉さん」
「ん、どうしたの」
「好き」
「ん、わたしも好きだよ」
あたまを撫でてあげる。まったくシスコンに育てすぎたかもしれない。わたしを、ここまで追ってくるなんて。
「よし、やっぱり最後まで、面倒みるよ。弟の理想の結婚相手、わたしが探すよ」
「え、姉さん?」
なにをキョトンとしているのかな。
お姉ちゃんに任せなさい。
弟の恋愛を見たりするのが嫌で、逃げてたけど、うん、わたし、頑張るよ。弟の幸せに協力するよ。
よーし、それでは、婚約相手探してやりますか。
「それで、理想のタイプは?」
「え……、お姉ちゃん」
なるほど、女性像がわたしに固まってしまっていると。
なかなか難しい。
わたし、異世界人だし、人生二度目だしーー。
いや、探すんだ。探すしかない。
わたしと似たーー……。
あれ、もう、それ、わたしで良くない…………。
ぶんぶん、ダメダメ、姉弟なんてインモラルなーー。それに、そんなインモラルなこと可愛い弟が考えているわけないし。こんな健気な弟に、腐の世界は見せられないよ。
姉の尊厳、大事っ!
お姉ちゃんは、弟のためなら、なんだってしちゃうんだから。
個人的には、姉萌えあると思うけど、あまり多くはない印象。やっぱり妹の方が勢力強いですね。
姉カワブーム来ませんかね。ダ・カーポの音姫とか好きだったけどなぁ。まぁ、ちょっとお姉さんキャラって、ギャップ持たせると、すごく可愛いと思うのだけど。
妹は、もう妹というだけでキャラとして強すぎるけど。