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80話目 夜の白い形を 僕は美しいと思って 置いておくことにしたんだ

 ただ 愛の形を そこに 置いてきたんだ


 ああ、夜の声が聴こえる


 僕はなにを思うのか


 愛しい時があるんだ 悲しい胸の痛みに


 ああ、夜の帳が落ちていく


 悲しい日々 愛しい何かをふりかけていく


 あの頃から


 失われたもの 今も見つめていると


 傷ついた名残りが 見えるから


 いっそ くだけて しまえばいいのに


 ぎゅっと握る 拳は柔らかで


 ああ、ああ、手のひらに 感触を感じている


 ずっと じっと ゆっくりと 溶けていってくれ




 見つめていた あなたの影


 今は 見えない


 暗闇に吸い込まれていく 時間という名の 渦に


 呑み込まれて僕は 忘れかけている


 胸の奥に 仕舞い込んだ 痛み


 小さな傷跡


 子供の頃にできた ずっと


 ついてくる 痕


 きっと あの時に 一歩


 踏み出せば よかったのに


 僕は 僕は 僕は


 ただ立って 見送ることもできず


 君と 最後 別れた日が 分からない


 そんな状態に 涙を 流せない


 あの瞬間を 取り戻したいけど


 もう 時間は無くなって 人の寿命に儚さが


 その頃の僕には 理解できてなくて


 ずっと 君と まだ 時間が あって


 取り戻せると ただ信じていた






 君の面影を 探して


 進む 思春期の 敗残者


 好きとか嫌いとか どうでも良くなって


 一心不乱に 部活をして


 なにも考えずに 時が流れて


 ずっと ずっと ただ 一つの初恋の 失敗作を


 焼き焦がして 白い骨のように


 灰色の 青春を 眺める


 一人の 残像


 壊れたものは なくなって


 代わりなんていなくて


 誰も 彼女ではなくて


 後ろ姿に 夢を見ている ありえないのに


 君の お墓の 場所も知らない


 そんな くだらない 小さな恋の カケラ


 結晶に なる 前の 


 触れれば 壊れて 失われる 


 誰もが 踏み消していく 初恋の景色


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