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勇者、嘆くは戦場の華


 戦場の火の光 燃え尽きるときまで


 後ろは見ずに ただ突き進む


 一人 戦場を闊歩して 


 早く 終わることを 祈り 剣を振る


 帰路の 荒れ果てた大地


 使命だけを 全てに


 あらゆる 災禍に 目を閉じた


 最後の終わりを 願って 


 終焉の戦闘を 望んで


 多くの民を引き連れ 地獄の狂気に


 突撃する 走れ 走れ 走れ


 死にたくないなら 突き進め


 魂が 命じるままに 私の身体が 動いていく


 砕けとべ 吹き荒れろ ちぎれろ 


 死の淵で 私は 一人 たたずんで


 みんなが 飛び込んでいくのを 見てゆく


 誰よりも死者を見て 誰よりも生者を見た


 いつか 最後が 来てくれる


 この剣が全てを終わらせる


 心の奥で 涙の泉が 湧いている


 この闇の道の出口が 知りたくて


 この嘆きの崖で 死者の河を 見ているだけ


 孤独の丘で 糸杉が 天高く 伸び続けている


 正義の名の下に


 けれど ただ 今は 奇跡を


 正義よりも 慈愛を


 優しい勇者の 御伽噺を


 血に溢れた手を 均衡の女神に 捧げて


 そう 私は 天使の鐘を 鳴らしたい


 終わりなき争いに 愛の唄を 奏でたい


 それは 無理だと知っているから 


 絶望が 最後まで 私に剣を 取らせる


 天から授かった 小さな勇者は


 救いを求めて 祈って


 勇気のない勇者は 天を見上げて


 地上の業火を通っていく


 ただ 一振りの 剣として


 涙の泉を 落とさないように


 偽りの誇りを 見せつけて


 意味のない 勝利を 掲げて


 言葉を なくして


 真っ赤な 土を 踏みしめて


 一粒の命から始まった 争乱に


 新しい 禍根を 育てていく

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