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雨一粒 流れて とっていけん
沁みる 雨宿りの軒下で
私の心が 溶けるように
小さな雫の二つが 渦潮のように
交わり 回って 落ちていく
何も映さない 水溜りに
私の心の棘が 刺さる
悲しみに 歪んだ 表面に
バスの車輪が 突っ込んでいく
最果ての 場所に 止まった
誰も 降りない バス停で
一人 首を振る
傷つき 壊れた トタン屋根
錆びた 看板のポール
カエルの鳴き声
人の来ない 待合所
雫の痛みに 感化され
涙 頬を 流れる前に
舐めとった
赤茶けた味の 水が
小さな 器に
受け止めきれない
若い 微かな 苦い キズ




