酒を飲まないと書けないという人は、いないのか
正直に言う。
酔わずには、コメディが書けない。
作家って、酒を飲んでるイメージがありますよね。まあ、近代初期か昭和なイメージかもしれない。大学のサークルでは、タバコ派が多かったけど。タバコは、無理だ。あまり好みじゃない。
昼間はコーヒーで書く。まあ、ほぼ書かないが。
まあ、昼は用事があるに決まってるし、酒なんて飲めるわけないだろ。
夜中は、酒で書く。
酒で書くんだ。
いや、酒で書いていいのか、という指摘はわかる。
そんなので、いい作品が書けるわけないだろう。言っていることはわかる。
しかし、酔わずに書けるか。
いや、書き始める気にならないんだ。
別にプロット作りやアイデアとか資料集めとか、ここで酒を飲もうとは、カケラも感じない。
しかし、いざ書くとなれば、アルコールが必須だ。
アルコールは生命の火だ。
画家とか音楽家とかは酒で描いたり演奏したりしないだろうけど、書く人にとって、アルコールを脳内にぶち込むのは、いい。
いや、アルコール飲まない人いると思います。いや、大多数そうだと理解している。酒呑みながら書いてるから、意味不明な文章になっているんだろう、と言われたら、そうだとしか言いようがない。
でも、酒ーー、これが動力源じゃないのか。
酒と女とギャンブルが、作家が書いてきた主要なテーマだ。
お上品に言うと、恋愛と冒険、そしてーー笑いだ。
酒はコメディだ。
酒が入ると、陽気になり笑いがある。
冷蔵庫をトイレと思って開けるやつ、裸踊りをし始めるやつ、唐突に持論を吐き出すやつ、通りすがりの人に絡むやつーーああ、迷惑だろう。
これが非日常の楽しみだ。
いや、まあ、迷惑だ。当然、もうわかり切っている。
しかし、酒を飲んでいる人じゃないと、こういう体験はできない。
酒を飲むと、変わる人はいる。
見ていると、面白い。ずいぶんといろんな人間性が見れるものだ。
昔の文豪が酒を飲むのもわかる。
酒場には詩がある。
夜の街に行く。
マスターと話し続ける。
色々と街のことが聞ける。
酒場には、人間心理の奥がある。
そう、言い訳しながら、今日も酒を飲む。
しかし、アル厨には注意だ。
酒は飲んでも飲まれるな。
そして飲んだら乗るな。
そして、今のご時世、コロナ対策をしっかりとーー。
しかし、静かな夜の街だ。
本当に人が減った。
だから、1人、マスターと話し続ける、深夜の夜長を。
大変だね、と言いながらーー。
一対一で気まずい、いや、それも、また、一つの人間の距離だ。
コミュ力とか、そんなバカなことは言わない。
ただ時間はある。人はいない。
ゆっくりと話すだけだ。
身の上話や恋愛話、街の話ーー、ああ、今日も夜は長い。
思いつくままに話しながら、思いもかけないことを聞いたり、言ったりーー、そうして、夜も更けていく。
しかし、酒を飲んだ時に、女やギャンブルはやるものじゃない。
たいてい、ろくな目に合わない。
一つに絞るべきですね、やるときはーー。
酒は酒。
女は女。
ギャンブルはギャンブル。