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幼馴染を振ったら、秘書プレイが始まりました

「ごめん、今のオレじゃ、カオルに釣り合わないから」

「えっ。そんなの、関係ーー」

「関係ある。オレは、カオルにふさわしい人間でいたいんだ。だから、それまで待っていてーー」

「待ちません。分かった。わたしが、鍛えてあげる。うんうん、あげマンとして、全面バックアップするよ。いい女は、男を育てるんだよ」

　あのー、カオルさん。

「ええっと、では、これから幼馴染改め、秘書として、働きます。早くお給金くださいね」

　あー、僕は、流されますよ。流れるプールに抵抗しないように。

「そうは思ったけど……」

「社長、今日のスケジュールですけどーー」

「僕は社長じゃない」

「え、でも、普通、秘書は、社長に付いてるものじゃない」

「僕たちが、社長と秘書プレイをしているバカップルに見られていることは、どうしてくれる」

「ああ、その件はすでに解決してます。その通りだと、通知しました」

「外堀が埋められ始めている」

「内堀もないですけどね」

「いや、僕の心の溝は、そう簡単に埋められないぞ」

「なにと戦っているんですか。それで、ダメ社長」

「社長という言葉のクオリティレベルがクリティカルにダウンサイジングしたようだけど」

「古来より、金が全てと言いまして」

「言わない言わない」

「そうですね、金の方が全より、二つ上です」

「そんな画数で格付けをされても」

「とにかく無償労働させているということは、すなわちヒモ男と一緒なんです」

「なるほどー」

「結婚すれば、解決です(ハートマーク)」

「いや、おかしいおかしい。それは解決してない」

「いえいえ、妻は家庭にお金を入れますよ。労働者では無理です」

「それは、もう完全なるヒモになっただけなのではっ！？」

「人間、金さえあれば生きていけます」

「そこは愛じゃないの」

「愛は金の上に成り立ちますね」

「……」

「うん、社会的地位も大事だよね。だから、早く愛を育てるために、金と地位という養分と土を蓄えるんです」

「ごめん、僕が間違ってました。今すぐ、キミと付き合います」

「あれっ。おかしいな」

「僕は愛があれば、なんでもできるということを証明しようと思う。全ては愛の上に成り立つと」

「社長、ここ、クラスのど真ん中なんですけど」

「カオル、それをキミがいうのか」

「まったく、ふさわしいとかふさわしくないとか、そんなことでフラれるなんて嫌だよ。わたしたちの関係は、そんなギブアンドテイクな関係じゃないんだから。ギブギブなんだから」

「それはギブアップしかけてないか」

「ネバーネバーネバーギブアップだよ。チャーチルもそう言ってる」

「愛の試練が大変そうです」