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イバラの眠り
結局 帰らない あなたのことを
もう 待つのは やめにして
言葉は 無力と ふさぎこんで
そのまま 歩き出した
深い森の奥 荊棘の 扉
あなたの 眠りを 怖れてる
ただの 声が そこに 届かない
想いを込めた 形のないもの
どこか 静かに 伝わると
イバラの痛みが 流れていく
暗闇の中 光が指すのは
あなたの 傷口を 照らすため
わたしが あなたに 近づくために
わたしは 痛みを 受け入れる
青い空も見えないけれど
今は それでいい
森の 静かさが あなたを 守ってる
その あなたの殻
あなたのトゲを
わたしは もう一度 声を上げる
形にならない 声を
振り返ると 道は閉じていく
けれど 恐れず 前に進む
あなたの 胸に 手を押し付けて
響けと
言葉で 何が伝えられるだろうか
こんな 小さな手で
何の温もりが
今は ただ あなたのそばで
無力でも
ほら 目を覚まして
一人で 痛みを 抱え込まないで




